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【No.76】〜SPレコードをめぐり連鎖していく不思議な物語〜 『78(ナナハチ) 』吉田 篤弘(著)

こんにちは、ぽっぽです。

今日の一冊はこちら↓

『 78(ナナハチ)』吉田 篤弘(著)

 

不思議なファンタジーの世界とレコードの魅力あふれる作品です。

 

 

本の概要(あらすじ)

「その昔、もうずっと昔のこと、世界は78回転で回っていた」

 

ふたりの少年ーーハイザラとバンシャクは、<終点駅>を目指して冒険に出る。

 

無事にたどり着いた終点駅の駅長室で見つけたのは、78回転で回るSPレコードだった。

 

時を跨いで、ふたたび彼らは「78(ナナハチ)」という名のSP盤専門店で再会をはたすーー。

 

失踪した店主、ふたりが想いを寄せるカナ、ローリング・シェイキング&ジングル、「夜の塔」に棲む7人の姉妹・・・

 

さまざまな場所の、時間の、人間の、物語を描いた連作短編小説。

3つの特徴

SPレコードの魅力

僕が生まれたときには、世界はすでに33回転と45回転のふたつのスピードで回っていて、78回転で回るレコードなど、もうどこにも見当たらなかった。

 

SPレコードをご存知ですか?

私はレコードや蓄音機の存在は知っていたものの、SPレコードとLPレコードがあることや、素材や回転数が違うことなど詳しいことはまるで知りませんでした。

タイトルの「78(ナナハチ)」というのは、1分間で78回転しながら音をトレースしてゆくレコードのこと。(正確には78RPMと表記する)蓄音機がないと聴けないSPレコード(standard playing)なのです。

その後33回転や45回転で回るLPレコード(long playing)が主流となり、姿を消していきました。

登場人物たちはみなそれぞれにSPレコードの良さを語り、それを聞いているとたまらなく自分の耳で聴いてみたくなります。

「いや、SPは、空気を聴くためのものだから」

たぶんわたしは、演奏者が盤に刻んだ音を聴きながら、同時にそれを繰り返し聴いてきた人たちが刻んだ「傷」の方も聴いているーー

「レコードの良いところは回ることだよ。ひたすら繰り返し回り続ける。その正体が何なのか俺は知ってる。だあれにも教えてやらないけどね」

13の物語

  • オリエンタル・ツイストドーナツ <Mean Dog Blues>
  • 二段ベッドの神様 <Wild Cat>
  • 第三の男 <”The Third Man” Theme>
  • トゥインクル、トゥインクル <One Sweet Letter From You>
  • ゆがんだ球体の上の小さな楽団 <I Know That Know>
  • アーサーのねじ回し <Lightning>
  • 中庭の王様 <Goody Goody>
  • 夜の箱 <Blue Skies>
  • 七つの夜の箱 <The Cafe Mozart Waltz>
  • 七つの夜の箱の話のつづき <Laughing Rag>
  • クローディアと靴箱の都 <Smoke Rings>
  • カワセミ <Love Song>
  • 犬を見に行った日 <Goody Goody>

十歳にして78(ナナハチ)の魅力に取り憑かれてしまった少年の物語からはじまる連作短編小説。

<終点駅>を目指して冒険をしたふたりの少年、ハイザラとバンシャクは一度は疎遠になったものの、大人になって「78」という名のSPレコード専門店で再会します。

そこで出会った、隣のコーヒー屋で働くカナさんに想いを寄せるふたり。

それぞれが78の店主に仲介役を頼んでいたが、ある日突然彼はいなくなってしまって・・・?

SPレコード専門店「78」を軸として、13の物語は独特の連鎖をして繋がっていきます。

現実とお伽話

13の物語の中には、まるでお伽話のような物語もあります。

「七つの夜の箱」はまさにそうで、<夜の塔>に棲む七人姉妹の話はまるで童話のような雰囲気がありました。

皆それぞれに「書く」ことに取り憑かれているという不思議な姉妹。

  • 7階:長女「物語を書くこと」
  • 6階:次女「世界の歴史を書きとめること」
  • 5階:三女「楽譜を起こすこと」
  • 4階:四女「手紙の代筆をすること」
  • 3階:五女「研究の成果を著すべく実験を続けること」
  • 2階:六女「書記官として日々の出来事を克明に記録すること」
  • 1階:七女「気ままに絵を描くこと」

彼女たちはそうして一日中、塔に閉じこもってあらゆる依頼を請け負っているのだとか。

「夜の箱」を集めるひとりのチェリスト。

彼は5階の彼女を訪ねた後、未完の譜面を残したまま消息を断ち、その息子である青年は父の残した曲を探すべく「78」を訪れるーー。

不思議な物語があちこちへ散らばっていて、まるでいろんな夢を渡り歩いているかのような気分になります。

 

本の感想

吉田さんの描く世界はまるで時間を巻き戻しているかのようなレトロなものが多く、この作品もそのひとつです。

 

昔の雰囲気や時間の流れ方、今ではもう見かけなくなってしまったものたち・・・そういった魅力が存分に詰まっていました。

 

今回読んだのは二度目ですが、まだまだこの物語を掴みきれていません。

 

国や場所や時間や人がごちゃ混ぜに進んでいくので、あっちへ行ったりこっちに戻ったり、いい意味で振り回されます。

 

それぞれの物語のリンクのさせかたも、SPレコードだったり、靴やドーナツだったり、男女の三角関係だったりと独特。

 

だんだんとお伽話のような物語も出てきて、どれが本当でどれが嘘なのか、わからなくなっていきます。

 

本当に不思議な小説です。

 

それぞれの物語には一枚のレコード(曲)がセットになっているので、(例えば「オリエンタル・ツイストドーナツ」にはMean Dog Blues>が)その音楽をかけながら読むのもおすすめです。より物語の雰囲気が楽しめます。

 

読むたびに何かしらの発見ができそうなので、またしばらく経ったら読んでみたいと思います。

 

 

印象に残った言葉(名言)

「恋に比べれば、友情はほんの少しだけ長持ちすることがある」

「三つの色ーーというより、三つの光をひとつにまとめれば、不思議にも色が失せて透明になる。それが君たちの音楽だ」

「世界なんて、まだ終わらないというのに、ヒトが世界を終わらせたがっている。と思う」

「大いなる無駄を積み重ねないことには、決して到達はありえないーー」

「音楽というのは人が奏でているのか、それとも楽器が奏でているのか」

「人生は、あらかた残酷なものと隣り合わせている」

吉田篤弘さんの他の作品

【No.6】~不思議な魅力あふれる、月舟町シリーズ第一作~ 『つむじ風食堂の夜』 吉田 篤弘(著) 【No.29】~名なしのスープをめぐる、やさしくてあたたかい物語~ 『それからはスープのことばかり考えて暮らした』 吉田 篤弘(著) 【No.39】~小さな映画館の看板犬と町の人々の物語<月舟町シリーズ>完結作〜 『レインコートを着た犬』 吉田 篤弘(著) 【No.44】~子どもたちに伝えたい、大切なことはなんですか?〜 『つむじ風食堂と僕』 吉田 篤弘(著) 【No.56】~どこか奇妙であたたかな縁が、深夜の東京で交差する幻想的な物語〜 『おやすみ、東京』 吉田 篤弘(著) 【吉田 篤弘(著)】〜月舟町シリーズ三部作+番外編の魅力と読む順番〜 【No.74】〜流しの床屋をめぐる12の不思議な物語〜 『空ばかり見ていた』吉田篤弘(著)

 

この本の総評

読みやすさ
(5.0)
雰囲気
(4.0)
不思議
(5.0)
レコード
(4.0)
総合評価
(4.0)

 

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