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【No.39】~小さな映画館の看板犬と町の人々の物語<月舟町シリーズ>完結作〜 『レインコートを着た犬』 吉田 篤弘(著)

こんにちは、ぽっぽです。

今日の一冊はこちら↓

『レインコートを着た犬』 吉田篤弘(著)

月舟町シーリズ完結作。月舟シネマの犬が主人公の物語です。

『つむじ風食堂の夜』『それからはスープのことばかり考えて暮らした』の登場人物たちとも再会できます。

一作目、二作目につづき不思議で魅力的な世界観を味わえます。
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本の概要(あらすじ)

「なぜ、神様は犬に笑顔を授けてくださらなかったのか」

 

月舟シネマの看板犬、ジャンゴ。

 

彼の夢は「笑うこと」

 

ジャンゴの目線でみる、月舟町の人々と町の景色。

 

小さな映画館を舞台にくりひろげられる、彼らのささやかな物語。

 

月舟町シリーズ三作目にして、完結作。

3つの特徴

小さな映画館の看板犬

月舟町にある小さな映画館、月舟シネマ

前作でオーリィくんが通っていた映画館の看板犬が、今作のナレーターをつとめています。

ポップコーン売りの青年だった「直(ナオ)さん」が、今の月舟シネマのマスターであり、ジャンゴの名付け親です。

月舟町の人々に愛されているジャンゴ。

彼の密やかな夢は、人間のように「笑うこと」です。

そしてジャンゴには、行ってみたいところが三つあります。

ひとつめは「銭湯」

銭湯の帰りに、うちの映画館に立ち寄るお客様の誰もが揃って陽気に見えるからである。

ふたつめは「図書館」

もし、私が人間と同じように振る舞うことが出来たら、年中、図書館へ通通って、心ゆくまで調べものがしたい。

みっつめは「喫茶店」

「カフェ」などと呼ばれている現代的な店もいいが、大里さんが好きな昔の日本映画に登場する銀座の純喫茶やフルーツ・パーラーが特に好ましい。

つむじ風食堂のライバル店

一作目『つむじ風食堂の夜』の舞台は月舟町、二作目『それからはスープのことを考えて暮らした』の舞台は隣町の桜川、そして今作でまた舞台が月舟町に戻ってきます。

デ・ニーロの親方、つむじ風食堂の主人、オーリィくん、雨降りの先生、果物屋の青年・・・

これまでに出会った人々と、この物語で再会することができます。

そして今作では、つむじ風食堂のライバル店が隣町にあらわれます。

そこでは、つむじ風食堂の名物「クロケット定食」がそっくり真似されているようなのです。

心配した月舟町の人々は、デ・ニーロの親方に隣町のレストランとつむじ風食堂のクロケット定食を食べ比べしてもらうことにします。

隣町のレストランのクロケット定食を「おいしかった」と言う親方。

しかし、つむじ風食堂のクロケット定食については、何も言わずに帰ってしまいます。

そして家に帰った親方は、こう言います。

「あのさ、旨いとかなんとか、講釈を並べてるうちは大したことねぇんだよ。しょせん、感想なんてものは、その程度のもんだ。本当に旨いものは、俺を黙らせる」

そしてこのことは、古本屋をたたもうかと悩んでいたデ・ニーロの親方に、ある大切なことを気づかせてくれてーー

「ここ」の定義

今作では、『つむじ風食堂の夜』で語られたいくつかのテーマ「雨」「ここの定義」について、それぞれの考えた先がみえてきます。

「人工降雨の研究」をしている雨降りの先生は、これまでとは全く逆の考えにたどり着きます。

「晴れた空が曇るのではなく、曇ったり雨が降ったりしている空が稀に晴れるんです。そう考えれば、昼間や晴れが、いかに貴重で有難いものかわかります。そして、雨降りこそが、この星にとって親しみのある本来の姿なんだと実感できるでしょう」

「ここの定義」を求めて旅にでた果物屋の青年は、新しい考え方に気がつきます。

「よく知っているはずの<ここ>も、ギター一本で空気の匂いや温度まで変わってしまう。そうしたことが、なんだか楽しくて嬉しいんです。以前はそんなふうに思いませんでした。自分が立っている場所をしっかり踏みしめて、<ここ>がどんなところなのか見きわめなくてはならないーーそう思い込んでいました。知りたかったんです。知る、ということが何よりのものだと信じていました。でも、いまは違います。知っても知っても変わってゆくんです。そして、その規定できない自由が嬉しいんです」

何も変わらないようで、月舟町もそこに住む人々も、少しずつ変化しているのがわかります。

長い年月を経て描かれた、月舟町を舞台にした「雨」と「希望」の物語がここに。

本の感想

月舟町シリーズ完結作ということで、これまでの登場人物たちと再会できて嬉しかったです。

 

この世界観は吉田さんにしか描けないと、読むたびに思います。

 

前作までは、登場人物たちについてたんたんと描かれていた印象でしたが、今回ジャンゴの視点でみることによって、彼らの人間らしい部分をみることができました。

 

さまざまな問題に悩んでいた彼らの考えが、少し前に進んだのを知ることができて、嬉しかったです。

 

著者が今作を書こうと決めてから刊行されるまで九年間。

 

長い年月を経たからこそ、より深い味わいのある作品になったのかなと思いました。

 

今作で月舟町シリーズは完結ということですが、実は番外編がもう一冊あるので、それはまた後日ご紹介します。

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印象に残った言葉(名言)

「夜空で月が三ミリ動くたび、自分の中にあるつまらないものが三ミリずつ捨てられてゆく」

 

「だけどな、有難いものを、人はほどなくして当たり前なものに変えてしまうんだよ」

 

「人生っていうのは、先に行けば行くほど面白いもんだ」

 

「自分が移動すればするほど、自分の<ここ>が増えてゆきます。僕はそれが妙に嬉しくて、それでなかなか帰ってこられなかったんです」

 

「理屈なしに好きだっていう思いに、あとから理屈をつけようたって、しょせん無理な話だ」

吉田篤弘さんの月舟町シリーズ

次に読むのはこちら⬇︎

【No.44】~子どもたちに伝えたい、大切なことはなんですか?〜 『つむじ風食堂と僕』 吉田 篤弘(著)

月舟町シリーズ一作目⬇︎

【No.6】~不思議な魅力あふれる、月舟町シリーズ第一作~ 『つむじ風食堂の夜』 吉田 篤弘(著)

月舟町シリーズ二作目⬇︎

【No.39】~小さな映画館の看板犬と町の人々の物語<月舟町シリーズ>完結作〜 『レインコートを着た犬』 吉田 篤弘(著)

月舟町シリーズまとめ⬇︎

【吉田 篤弘(著)】〜月舟町シリーズ三部作+番外編の魅力と読む順番〜

この本の総評

読みやすさ
(5.0)
キャラクター
(5.0)
個性
(5.0)
雰囲気
(5.0)
総合評価
(5.0)

 

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