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【No.40】~家族の生々しくてリアルな部分を描いた短編小説〜 『水やりはいつも深夜だけど』 窪 美澄(著)

こんにちは、ぽっぽです。

今日の一冊はこちら↓

『水やりはいつも深夜だけど』 窪 美澄(著)

はじめて読んだ窪美澄さんの小説。

こういったリアルで胸がえぐられる作品は気軽には読めませんが、ふとしたときに読みたくなります。

 

家族の生々しい部分を描いた作品なので、共感できる部分も多いと思います。

 

本の概要(あらすじ)

「だから、これから、いろいろ話したいの。あなたと」

 

さまざまな家庭のリアルを描いた、強烈に胸をえぐられる短編小説。

 

セレブママとしてブログを書きながら、偽物の自分を演じ続ける主婦。

 

仕事の忙しさに家庭から目をそらし、家族との溝ができてしまった夫。

 

娘の発達障害を疑い、神経をすり減らす主婦。

 

父親の再婚相手との関係に戸惑う少女。

 

ときにぶつかり、すれ違い、それでも一緒に生きていく。

 

だって、私たちは家族なんだからーー

 

3つの特徴

一般的な家庭の生々しい現実

この作品では、いろんな家庭の生々しいリアルな部分が描かれています。

決して他人事ではない、一般的な家庭で起こり得るさまざまな問題や悩み。

結婚している人、子どもがいる人、複雑な家庭環境で育った人、つらい過去がある人・・・

たくさんの人の心に刺さる、胸をえぐるような短編集です。

・セレブママとしてブログを書き、異常に周囲からの評価を気にする主婦の物語「ちらめくポーチュラカ」

私はブログに作り上げた自分を、幼稚園のママの前でも演じた。ママたちは演じた私を好きになってくれた。これは皆の前であらわさないほうがいい、そう思った感情はすべてのみこんだ。けれど、のみこんだ感情は今にも決壊しそうになっている。

・妹が発達障害を抱えていたことから、自分の娘の様子に神経質になってしまう主婦の物語「ゲンノショウコ」

今も私は、風花のことを、心のどこかで普通の子どもではないのかもしれない、と疑っているのだ。

・幼い頃に自分をおいて家を出た母。父の突然の再婚により新しい家族ができた少女の物語「かそけきサンカヨウ」

「子どもを愛しているのに、子どもをおいて、家を出てしまうことなんて、あるの?大人には」

子どもから大人まで、それぞれの抱える家族の悩み。

 

男性目線で描かれる物語

すべて女性目線の悩みを描いた作品かと思っていましたが、いくつかの物語は男性目線で描かれています。

・仕事が忙しく、妻の産後うつにも気づかずに、結果として家族との溝を感じ続けている夫の物語「サボテンの咆哮」

「仕事もせいいっぱいやってんだ。休みの日だって、章博の面倒みてるつもりだよ。それの何が不満なんだよ。仕事も、家庭のことだって、子育てのことも、全部完璧にできる父親なんているかよ。なんでできないとこだけ見るんだよ」

・出産を経て別人のようになってしまった妻に違和感を持ち、若い女性に気持ちが傾いてしまう夫の物語「砂のないテラリウム」

あの頃の妻のように、自分のことで悩んで誰かに泣いてほしい。真夜中に、誰かに自分のことを恋しいと思っていてほしい。自分が誰かに好かれている、という満足感に浸ってみたい。それが誰にも言えないぼくの願望だった。

世の家庭を持つ男性の心の叫びを聞いたような気がします・・・。

家族をテーマにすると、どうしても女性の悩みに目が行きがちですが、この物語たちは夫目線で描かれているので、男性側のつらさや葛藤なども感じることができます。

人生経験豊富な著者だからこそ、性別関係なくリアルな心理描写が描けるのだなと感心しました。

女性だけでなく、家庭を持つ男性もぜひ読んでみてください。

きっと共感できる部分があると思います。

 

結婚はゴールじゃない

この作品の最後には、あとがきではなく、「加藤シゲアキさん」と「窪美澄さん」の対談がのっています。

その対談のなかでも、結婚は”スタート”であって”ゴール”ではないという話がでていました。

この作品を読むと、結婚、そして家庭を持つことの大変さが嫌というほど伝わってきます。

登場人物たちが共通して思っているのは、わかってほしいということ。

けれど、相手の考えていることを100%理解することなんて、到底無理な話です。

だからこそ、忙しくても面倒でも、きちんと本音で話さなければ、長い人生を一緒に歩いて行くことなんてできないのだと思いました。

今は自由な時代といわれますが、それでも理想の家族像、あるべき家庭の姿を押しつけられ、それに縛られて息苦しくなってしまう人が多いのではないかという気がします。

物語の中でも、妻と夫がそれぞれに不満をぶつけるシーンがあります。

「育児を手伝う、って、なに。自分の子どもなのに」

「どうして、そんなに私と章博をほうっておけるの」

「なんでお酒のにおいをさせて帰ってくるの。私は息抜きひとつできないのに」

「なんでも、おれはやってるじゃないか。やってたじゃないか。章博が赤んぼうのときだって、今だって。早紀に言われたことはおれはおれなりにやってきたつもりだ・・・。早紀の望むままにやってきたよ。それで、何がいったい、不満なんだよ?」

ちなみに、奥さんに対して「手伝う」は地雷ワードらしいですよ。世の旦那さん、お気をつけください。

 

本の感想

登場人物たちの抱える悩みがほんとうに生々しくて、心がえぐられました。

 

心に余裕があるときに読むことをおすすめします。

 

男性目線での家族に対する本音が描かれている作品はあまり読んだことがなかったので、新鮮でした。

 

結婚って、家庭を持つって、大変そう・・・と尻込みしてしまいそうですが、どの物語も最後は前を向けるような終わり方なので、大丈夫です。

 

大変なことはたくさんあると思いますが、ささやかな幸せにも目を向けられるといいですよね。

 

母親はこうあるべきだ、父親はこうあるべきだ、という社会の価値観に囚われず、ひとつひとつの家族のありかたが尊重される世の中になるといいなと思いました。

 

 

 

 

印象に残った言葉(名言)

「その場所が嫌なら逃げていいんだよ。逃げるのは悪いことじゃない」

 

「逃げて、逃げて、そこから逃げ出したはずなのに、私はまた同じ場所にいた」

 

「人が食べ、寝て、生活することに、どれだけの時間と手間が必要か、おれは早紀と結婚をして、章博が生まれてきて、初めてそれを知った」

 

「考えてよ。本気で考えてよ。母さんを幸せにしてよ。それは父さんの役割だろ」

 

この本の総評

読みやすさ
(4.0)
家族
(5.0)
共感
(4.0)
リアル
(4.0)
総合評価
(4.0)

 

 

 

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