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こんにちは、ぽっぽです。
今日の一冊はこちら↓
『ときどき旅に出るカフェ』 近藤史恵(著)
聞いたことも見たこともないスイーツや飲み物などかたくさん登場します。
読み終えた後はきっと、あなたの中の”常識”も変わっているはずです。
本の概要(あらすじ)
「なんか旅に出てるみたい」
三十七歳、独身、恋人なしの会社員、瑛子。
近所で見つけた小さなカフェの店主はなんと、かつての同僚の円だった。
カフェのメニューはどれも初めて見るものばかり。
瑛子の日常でおきる小さな事件を、世界中のスイーツがときほぐしていく。
10の物語が詰まった、”おいしい連作短編集”
3つの特徴
カフェ・ルーズ
カフェ・ルーズのコンセプトは「旅に出られるカフェ」
毎月九日〜月末までが営業日。休みの間に、店主の円は国内や海外へ旅行に行きます。
ときには旅行には行かずに、新メニューを試作するだけのときも。
「絶対旅に出ると決めちゃうと、かえって不自由だし、いろいろ見失ってしまう気がするから、決めないようにしています」
そう瑛子に話す円。
適度に気楽で、自由に。そんな力の入りすぎていないカフェだからこそ、ゆったりとした雰囲気を楽しめます。
円が旅先で見つけたおいしいものを提供するカフェ。
名前も知らなかった外国の食べ物や飲み物と出会える、まるで旅をしている気分になれるカフェなのです。
世界中のスイーツ
それぞれの物語に、世界中のさまざまなスイーツが登場します。
- フィンランドの「苺のスープ」
- ドイツの「ロシア風ツップフクーヘン」
- ハンガリーの「ドボシュトルタ」
- ポルトガルの「セラドゥーラ」
- トルコの「バクラヴァ」・・・
世界にはまだこんなに知らないスイーツがあるのだと、驚きました。
どれもおいしそうで、実際に食べてみたいと思うスイーツばかりでした。
スイーツだけでなく、飲み物やカレーもめずらしいものばかりです。
読めばきっと、カフェ・ルーズに行ってみたくなると思いますよ。
・ロシア風ツップフクーヘン:チーズケーキの上にココア生地をのせて焼いたもの
・ドボシュトルタ:チョコレートバタークリームとスポンジの層を重ねて、キャラメルでコーティングしたもの
・セラドゥーラ:砕いたビスケットと生クリーム+コンデンスミルクを交互に重ねたもの
・バクラヴァ:フィロ生地の間にクルミなどをはさみ、シロップをかけたもの
日常でおきる小さな事件
それぞれの物語に、何かしらのミステリ要素が含まれています。
「苺のスープ」:結婚を機にカレー屋を開店する夫を手伝うため、退職する瑛子の後輩。しかし、夫となる男性にはあるあやしい部分があることがわかって・・・。
「月はどこに消えた?」:夏休み明け、瑛子の会社ではある男性社員が中国のお菓子・月餅を探していた。お土産に配ろうとしたその月餅は、八個あるはずだったがなぜか四個しかなくて・・・。
「幾層にもなった心」:瑛子家に遊びに来た友人の珠子。京都で単身赴任をしている珠子の夫は、毎回お土産にドボシュトルタを買ってくる。しかし、珠子は夫の浮気を疑っていて・・・。
事件の内容としては、ささやかなものからドロドロしたものまでいろいろですが、どれも最後にはカフェ・ルーズのスイーツたちが癒してくれます。
ミステリといってもがっつりではないので、気軽な気持ちで読める小説です。
本の感想
近藤史恵さんの作品は、以前読んだビストロシリーズがおもしろかったので、おなじ食べ物系の今作も読んでみました。
いろんな国の料理やスイーツ、飲み物が登場するので、想像するだけでも楽しいですし、実際に食べてみたくなるものばかりです。
カフェ・ルーズの雰囲気もとてもよく、近所にこんなカフェがあったら、瑛子のように常連になってしまいそう。
旅に出るのが難しい人でも、食べたことのないスイーツを食べてみるだけで、新たな発見があるかもしれません。
自分のもっている価値観や常識などが、一歩外に出てみると当たり前でもなんでもないということを、改めて感じさせてくれる作品でした。
カフェ好き、スイーツ好き、旅好きはもちろん、日常に疲れている人にもおすすめです。
読み終わったあとは、きっと心がほぐれている。そんな一冊です。
印象に残った言葉(名言)
「おばさんはなにかを好きになったり、悲しい思いをしたり、落ち込んだりしないんだと思ってた」
「結局のところ、人は目の前の痛みと向き合い続けるしかないのかもしれない」
「なんか・・・常識って、すごくあやふやなものなんだね」
「若い女性への嫉妬だと思う?恋愛はいいことばかりで、女性は好かれたら喜ばなきゃならないし、そうでない女性は嫉妬ばかりしているのだと思ってる?」
「自分が当たり前と思っているけど、本当は苦しいこと。自分が従わなくてはならないと思い込んでいること、全部、当たり前でもなんでもなくて、逃げたしてしまえば縛られていたことが馬鹿馬鹿しくなってしまうようなことなんじゃないかって」
この本の総評
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