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【No.47】~深い闇にとりつかれた犯人と少年の物語〜 『GOTH 僕の章』 乙一(著)

こんにちは、ぽっぽです。

今日の一冊はこちら↓

『GOTH 僕の章』 乙一(著)

GOTH下巻の「僕の章」です。

上巻を読んだらとまらなくなってしまい、そのまま下巻を読みました。

 

下巻もグロテスクな表現があるので、苦手な人は注意してください。

 

 

本の概要(あらすじ)

「僕と同じ種類の人間がいる」

 

人間の残酷で暗い部分に惹きつけられる<僕>と同級生の<森野>。

 

僕がまだ森野と一度も言葉を交わしたことがなかった頃におきた、連続手首切断事件。

 

僕はひそかにその事件に巻き込まれていたのだ・・・。

 

猟奇的な殺人事件に僕と森野が関わっていく3つの物語。GOTH後編。

  1. リストカット事件 Wristcut
  2. 土 Grave
  3. 声 Voice

 

3つの特徴

森野への執着

僕の森野への感情はいったい何なのでしょうか?

上巻を読んだだけではわからなかったのですが、下巻でそれが「執着」なのだということがわかります。

友情や恋愛というにはあまりに冷たく、けれどお互いに特別な存在であることは確かなのです。

みんなにひた隠しにしていた僕の心の無表情さや非人間的な部分を、森野は心地よい無関心さで許したということだった。

そして僕は、森野のある部分に強烈に惹かれています。

僕は、あることからリストカット事件の犯人を知り、犯人の家に忍び込みます。

もちろん通報するためではなく、別の目的のためです。

自分も、人間から切り取った手が欲しい。僕は冷蔵庫の中を見まわす。さまざまな手が並んでいる。どれも、今なら取り放題である。もちろんどれでもいいといいうわけではない。欲しい手は決まっている。

僕が欲しかったのはただひとつ、森野の優美な白い手だけだった。

その目的のためにある思いもよらない行動をとる僕。

森野を守ろうとしているようにも見えるし、積極的に森野が殺される状況を作っているようにも見える、僕の行動。

きっと森野が死んだらある種の期待を持って死体を見に行き、そっと手だけ持ち帰るのだろうな・・・と思いました。

 

ふたりの相違点

上巻の記事では僕と森野の共通点について書きましたが、下巻では逆に彼らの違う部分が浮き彫りになります。

ふたりとも、凶悪な犯罪者に惹かれたり、人間の残酷さをみるのが好きな点では同じですが、立場は真逆だなと思いました。

殺す側と殺される側なら、僕は殺す側で、森野は殺される側。

僕は犯罪者に心をよせ、森野は被害者に心をよせる。

もちろん些細な部分で僕と犯人とは違うだろう。しかしそれでも僕は、そういった猟奇的な事件の犯人になぜか親しいものを感じることがあった。

下巻を読むと、僕と森野は似ているようで実は正反対の人間だということがわかります。

森野もそれに気づいていました。

「最初あなたは、私に似ていると思ったの。姉さんと同じ雰囲気を持っていたから。でも、違う。私たちは似ていない・・・」

ふたりの関係は、今後どうなっていくのでしょうか・・・?

 

さらに巧妙な叙述トリック

一話目「リストカット事件」は、連続手首切断事件の犯人を、ある出来事から知ってしまった僕が犯人から手を盗む物語。

二話目「土」は、「生き物を埋める」という妄想に取りつかれた男の物語。

三話目「声」は、姉を殺された女の子が最後の姉の言葉を聞くために、死を覚悟して犯人のもとへむかう物語。

上巻を読んでパターンをつかんでしまったので「騙された!」となる部分はなかったのですが、途中で気づかなければ衝撃のラストに驚くこと間違いなしです。

若干の無理やり感は否めない部分がありつつも、面白いなと思う設定もあり(ネタバレしないように詳しくは書きません)ミステリ要素も楽しめると思います。

下巻では、「犯人」がナレーターとして語る場面があるので、上巻よりも臨場感を感じられます。

上巻と同じくグロテスクな描写があるので、苦手な人は要注意です。

下巻は上巻よりもリアルに想像できてしまう場面がけっこうありました。

 

本の感想

上巻を読んで暗い魅力に取りつかれてしまい、そのまま下巻も読んでしまいました。

 

今回は想像しやすい場面が多くあったので、より背筋がぞっとしました。

 

上巻よりもさらに「僕」の内面について深く掘り下げていくので、彼の底なしの闇を垣間見ることができます。(僕の名前も下巻でわかります)

 

それと同時に森野への執着を感じる部分があり、そこが彼の人間味が唯一感じられる部分かなと思いました。(何に執着しているかはともかく)

 

身近にいたらただのサイコパスですが、読者の目線でみる「僕」はどうしてこうも魅力的に映るんでしょう。

 

ここまで振り切った人物をたんたんと描けるのは、乙一さんだからこそなんだろうなと思いました。

 

 

GOTHシリーズ

次に読むのはこちら⬇︎

【No.48】~ある場所へ記念写真を撮りに行く少女の物語〜 『GOTH 番外編〜森野は記念写真を撮りに行くの巻』 乙一(著)

GOTHシリーズ一作目⬇︎

【No.46】~人間の心の残酷な部分に惹かれる、少年少女の物語〜 『GOTH 夜の章』 乙一(著)

 

乙一さんの他の作品

【No.4】~切なさと優しさが詰まった一冊~ 『失われる物語』 乙一(著) 【No.26】~読めばきっとあたたかい気持ちになる ”怖くて優しいミステリー ”~ 『暗いところで待ち合わせ』 乙一(著)

 

印象に残った言葉(名言)

「あるときふと、殺さずにはいられなくなる。社会的な生活から離れて、狩りへ赴く。僕も、そのうちの一人だ」

 

「僕が森野の手を欲しいと思ったのは、自殺しようとしたことを示すリストカットの美しい傷跡が手首に残っていたからだ」

 

「彼は、その八重歯が気に入ったので姉を殺害したのだという。これは恋愛に似たものなのだと主張した」

 

「僕は、死というものを、「失われること」だととらえています・・・」

 

この本の総評

読みやすさ
(5.0)
個性
(5.0)
ミステリ
(4.0)
グロテスク
(4.0)
総合評価
(4.0)

 

 

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