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こんにちは、ぽっぽです。
今日の一冊はこちら↓
『ビストロ三軒亭の美味なる秘密』斎藤千輪(著)
少し疲れ気味だったので、あたたかい雰囲気と美味しそうな料理に癒される、ビストロ三軒亭シリーズ二作目を読んでみました。
シリーズものではありますが、二作目からでも問題なく楽しむことができます。
シリーズ第一作目はこちら⬇️
【No.24】~美味しくて優しい、グルメミステリー~ 『ビストロ三軒亭の謎めく晩餐』 斎藤 千輪(著)本の概要(あらすじ)
「この店は、普通じゃないーー」
三軒茶屋にある小さなビストロ「三軒亭」
料理は本格派。サービスは規格外。どんな事情の客も大歓迎。
さまざまな事情を抱えた客たちを美味しい料理で癒す、グルメミステリー第二弾。
ギャルソンになる道を選んだ隆一がぶつかる、新たな悩み。
役者時代の先輩との再会で、揺れる心。
様々な人たちとの出会いを通して、隆一が気づいたこととはーー?
1. 〜スフレ〜 恋人の嘘に悩む男性
2. 〜カスレ〜 奇妙な贈り物に怯えるダンサー
3. 〜アントレ〜 「宝石」が食べたい意地悪な先輩の本心
3つの特徴
美味しそうな料理
前作でもたくさんの料理が出てきましたが、今作ではさらに料理の描写が増えているように感じました。
食材や調理工程なども丁寧に描かれていて、三軒亭ならではのこだわりを感じることができます。
全部の料理を食べてみたいのですが、特に”十種野菜のオードブル”と”山芋と栗カボチャのスフレ”が気になりました。
<十種野菜のオードブル>
”菊芋のフリット・塩トリュフ添え” ”クルミバター入り蓮根饅頭” ”黒トマトのバジルソース” ”チコリのグラタン”(以下略)
<山芋と栗カボチャのスフレ>
パルミジャーノとフロマージュブラン、二種類のチーズと山芋のすり身をメレンゲ生地にたっぷり混ぜ、中に栗カボチャのクリームコロッケを入れてストウブで焼き上げたもの
読んでいるだけでお腹がすきます・・・
さらに今作のビストロ三軒亭では、”ワイン会”の話が登場するので、料理好きだけでなくお酒好きの方も楽しめる内容だと思います。
「料理と飲み物の組み合わせにストーリー性があると、食事が楽しいんだよね。鮮度抜群で、口に入れた途端に溶けてしまうウニと、軽やかで香り高いクリスタル。もう、舌と喉が大よろこびしてるよ」
お客さんも大絶賛の、ソムリエの室田さんがセレクトするワインと、シェフの伊達さんが作る特別料理。
心のこもった料理と、それを嬉しそうに食べるお客さんの様子を見ていると、食べることの楽しさや大切さを思い出させてくれます。
主人公の迷いと成長
前作で、セミプロの舞台役者を辞め、三軒亭でギャルソンとして働くことを決意した隆一でしたが、今作でまた新たな悩みとぶつかります。
一つ目の悩みが、三軒亭を辞めて他のレストランで修業をするかどうか。
二つ目の悩みが、隆一の前に三軒亭で働いていたギャルソン、ポールが日本に戻ってくること。
彼が戻ってくるのなら、自分は用なしになるのではないか?もしかしたら、ポールが戻ってくるまでの繋ぎだったから、伊達や室田さんから社員への誘いがなかったのかもしれない。
三つ目の悩みが、役者時代の先輩と三軒亭で再会し、「三流」「負け犬」などと言われてしまったこと。
自分なりに悩み考えて、芝居の道から降りたつもりだった。しかし、はたから見れば、中途半端なまま逃げ出した”負け犬”だったのかもしれない。ギャルソンの仕事だって、一流がどういうものなのかすら分からずにいる。
かつての夢と、今の自分との間で揺れ動く隆一。
はたして隆一は、自分のほんとうに進みたい道を見つけることができるでしょうか--?
シェフと恋人のその後
自分が作りたい料理を出すのではなく、ゲストが必要とする料理を出すビストロ。味は本格派だがサービスは規格外。どんな事情の客も受け入れるし、ギャルソンだって指名できる。
これが、シェフ・伊達さんの目指していたビストロ。まさに今の三軒亭です。
そんな彼をそばで支え続けてくれていたのが、恋人のマドカさん。
彼女は心臓病を患い、そのことを隠して伊達の元を自ら去ったのだ。
それ以来、絶対にキッシュを作らなくなった伊達さん。キッシュは彼女の大好きな料理だった。
前作では、心臓の移植手術を受ける彼女から「彼が心配してしまうから、元気でアメリカにいるとだけ伝えて」と頼まれ、嘘を守り抜いた隆一たち。
決して高くない手術の成功率。
しかしその後、彼女からの音沙汰はない。
いつか彼女が戻ってきてくれると信じて待つ、伊達さん。
マドカの叔母さんが言った、「マドカは旅に出ました」の意味は・・・?
本の感想
前作では ”料理” ”ミステリー” ”成長物語” それぞれの要素がバランスよく合わさっているような印象でした。
そして今作は、3つの要素のなかでも特に ”料理” と ”成長物語” に重点が置かれているように感じました。
話も前作の4つから3つに減り、その分ひとつひとつの物語に出てくる料理や、お客さんの悩み、主人公の葛藤が、より丁寧に描かれています。
特に料理の描写は前作よりもさらにパワーアップしていて、想像しやすいぶん、お腹が減ります!
前作に続いて今作も、三軒亭の人たちのあたたかさが変わらずそこにありました。
どんな人でも理解しようとする優しさや、身近な人を大切にするあたたかさ。
疲れている人、人生に悩んでいる人、癒されたい人、料理が好きな人、お酒が好きな人、ユニークなビストロに興味がある人・・・
いろんな人におすすめしたい一冊です。
印象に残った言葉(名言)
「桜の花が散るときは、レの音がするんだね」
「時代は変わっても、家族と一緒に食べる料理って、何よりのご馳走なのかもしれませんよね」
「他人と比較しちゃだめ。なんて説く人もいるけど、何かと比べないと、自分の大きさが分からないからね」
「ダメ出しするならとことんやって、どん底までいけばいいと思う」
斎藤千輪さんの他の作品
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