今週おすすめの一冊

【No.209】実際の事件をもとに描かれた超濃厚な傑作長編!『BUTTER』柚木麻子(著)

こんにちは、ぽっぽです。

今日の一冊はこちら↓

『BUTTER』柚木麻子(著)

久しぶりに読んだ柚木麻子さんの小説。

こんなに食欲を刺激された作品は初めてで、読んでいる最中にバターを買いに走り出しそうになりました。

ダークで奥深い、魅惑のグルメ小説です。

本書はKindle Unlimitedでも読むことができます♪

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本の概要(あらすじ)

「私が欲しいのは崇拝者だけ。友達なんていらないの」

 

婚活サイトを介して次々に男たちから金を奪い、三人を殺した罪に問われている被告人・梶井真奈子。

 

この事件が注目されている理由の一つは、決して若くもなく、美しくもない彼女の容姿だった。

 

ようやく彼女への取材の約束を取り付けた、出版社で働く女性記者・町田里佳。

 

里佳は梶井への取材を重ねるうちに、その欲望に忠実な彼女の言動に翻弄されてゆきーー。

 

まるでバターのように濃厚な味わいの圧倒的長編小説!

3つの特徴

社会派小説

社会派小説とも謳われている本書ですが、実は現実で起きたある事件がモチーフとなっています。

それは、2009年に発覚した首都圏連続不審死事件

10年以上も前の事件ですが、記憶にある方も多いのではないでしょうか。

本書のキーパーソンである梶井真奈子こと通称“カジマナ”は、この事件の被告である“木嶋佳苗”がモデルになっています。

しかし主人公は被告人の梶井ではなく、彼女を取材する記者の里佳。

カジマナ自身ではなく彼女と関わった人間の心理変化に焦点を当てている点がポイントですね。

恐ろしいくらい自分の欲望に忠実で自信たっぷりな梶井に翻弄され、しだいに外見も内面も変化していく里佳。

彼女の底なしの欲望に絡めとられてゆく里佳の姿がどこか不気味で少し怖かったです。

カジマナを見ていると、なぜこんなにも胸がざわつくのか。

それはたぶん、彼女が自分自身の価値を己で決めているからなのだろうと思いました。

彼女は自分の容姿や生き方を決して他人の尺度で測ることはせず、その価値と美しさに絶対の自信を持っています。

自分の価値を自分で認めることが難しい女性たちにとって、彼女の存在はある意味脅威なのかもしれません。

嫉妬とも尊敬とも憧れとも違う、でも心穏やかではいられない何か。

そういう特別なものを彼女に感じたからこそ、里佳もズブズブとその沼にハマっていったのではないかと思いました。

無防備な心にポンッと放り込まれたバターが、自身の熱でじわじわと溶け出し、溢れていくような。

そんな他にはない感覚がした作品でした。

適量を知る

読んでいて具合が悪くなるくらい、女性たちの様々な葛藤が描かれている作品。

その一つ一つがリアルで胸が苦しくなります。

女性に対する不自由な価値観は、やっぱり現代社会でも根強く残っているものだと痛感しました。

そして女性に求められる基準が今後も上がり続けていくことは、容易に想像ができます。

だからこそ自分で自分の価値を認めるしかないわけなのですが、それはとても不安だし勇気がいることですよね……。

本書は様々な呪縛と向き合いながら、自分はどう生きるのか、どうしたいのかを考えさせられる物語でもあります。

「自分の適量を知る」というのが、本書のメインテーマなのかな?と思いました。

なんならこの作品は、主人公の里佳が“自分の適量を探すための物語”なのかもしれません。

カジマナの影響で変わっていく彼女を見ているのはどこか恐ろしくもありましたが、たくさん悩んだ彼女だからこそ、自分にとっての適量を見つけることができたのかなと。

体重に関してもそうですよね。

最終的に里佳は10kg近くが増えましたが、このくらいが自分にとって健康的でベストな体重だと納得しています。

これってたぶんすごく勇気がいることだと思うんですよね。

けれどこれは里佳の場合であって、全ての人に当てはまるわけではないし、「太ってもいいんだよ!」というメッセージでもないのだと思います。

要はその人に合った適量を見つければいいのだ、ということを著者は伝えたいのかなと。

料理に関しても、自炊をすることを良しとしているわけではなく、里佳には料理をすることが必要だった。

ただそれだけのことなのだと思います。

まずは自分が心地よいと感じられる“適量”を見つけたいですね。

魅惑的なグルメ描写

本書はバターを中心としたこってり濃厚な料理がたくさん登場する、まさにヘビー級のグルメ小説でもあります。

バター醤油ご飯、たらこパスタ、ウエストのバターケーキ、ガーリックバターライス、塩バターラーメン……

中でも一番印象的なのは、エシレバターを乗せたシンプルなバター醤油ご飯。

里佳が最初にカジマナに言われて実践してみたバターの味わい方ですね。

あの部分の描写で一気に心を掴まれて、カジマナが手招きする世界へ一歩足を踏み入れてしまったような感覚になりました。

“食べたいものだけを食べたいだけ食べる”というカジマナのような食生活は到底おくれませんが、だからこそ魅惑的でもあります。

ちなみに作中に登場する料理は、なんと柚木麻子さん本人が実際に一通り作られたそうです。

最後の七面鳥なんて自分では絶対に作れない(作ろうと思えない)くらい大変そうなので驚きました。

料理って、実はものすごくエネルギーを使う作業なんですよね。

家庭的で温かいイメージを持つ方も多いと思いますが、実はかなりストイックで孤独な作業というか。

これは家事全般に当てはまりそうですけど。

<料理好き=家庭的・穏やか>というステレオタイプに違和感があったので、どこか狂気的ですらある描き方に共感してしまいました。

料理や食事の描写がとても丁寧なので、グルメ小説好きな人にもおすすめです!

本の感想

最後に読んだ柚木麻子さんの小説は『ナイルパーチの女子会』。

 

なぜかこの作品がトラウマになっていて、それ以降なんとなく避けてしまっていたんですよね。

 

でも勇気を出して読んでみてよかった!

 

これまで読んだ著者の作品の中でもかなり重厚感があるので、ちょっと胃もたれはしましたが笑。

 

柚木さんの作品の魅力である食べ物の描写と女性の心理描写。

 

この二つが合わさって、読み応え抜群の一冊になっていました。

 

タイトル通りのヘビーで濃厚な内容ではあるのですが、自然と先へ先へと手が伸びてしまうんですよね。

 

本書は事件そのものを扱うというよりは、梶井真奈子という人間を通して、女性たちが抱えるいろんな苦悩や葛藤を浮き彫りにした作品だと思います。

 

読んでいる最中は苦しくなる部分もありましたが、最終的には里佳の柔軟さに救われたというか。

 

彼女が自分自身の“オリジナル”を見つけられたことが、この物語において一番幸せな結末だったのではないかと思います。

 

『ランチのアッコちゃん』のような爽やかなグルメ小説とは真逆なので好みは分かれるかもしれませんが、気になる方はぜひ読んでみてください!

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印象に残った言葉(名言)

「どんな女だって自分を許していいし、大切にされることを要求して構わないはずなのに、たったそれだけのことが、本当に難しい世の中だ」

 

「皆、何かに強く怯え、ストイックに我慢し、異常なほど謙虚で、必死に自分を守ろうとしている」

 

「別にどれか一つで満腹にならなくてもいいし、なにもかも人並みのレベルを目指さなくてもいいのにね。自分にとっての適量をそれぞれ楽しんで、人生トータルで満足できたら、それで十分なのにね」

 

「誰かと何かを食べて、別々の場所に帰る。ずっと一緒にはいられない。こんなに胃の中は暖かく、唇は濡れていてしたには旨みが残っているのに、最後はいつも一人なのだ」

 

「日本女性は、我慢強さや努力やストイックさと同時に女らしさや柔らかさ、男性へのケアも当たり前のように要求される。その両立がどうしても出来なくて、誰もが苦しみながら努力を強いられている」

 

「自分を粗末にすることは、誰かに怒りをぶつけていることだと思うから」

 

「壁を築くとは何も肩をいからせ、他者を拒絶することではない。一人の作業に没頭し、おのれの砦を守ることではないだろうか。壁の素材は硬いレンガや冷たいコンクリートではなくても構わない。甘く柔らかいお菓子だっていいのだ」

 

「どんな境遇であれ、少しでも快適にしようとする女の知恵、自分好みに環境をカスタマイズできる女の逞しさを、保守的な男ほど疎んじるものだ。でも、それこそが彼らが女になによりも求める家事能力の核に他ならない。どうしてその矛盾に気づかないのだろう」

 

「家庭的な女でさえあれば、自分たちを凌駕するような才能を持たない、言いなりになりやすい、とどうして決め付けているのだろう。家事ほど、才能とエゴイズムとある種の狂気が必要な分野はないというのに」

 

「料理って楽しいけど、義務になった瞬間、つまらなくなるでしょう?人から強制されたら、なんでも仕事になって、楽しさなんて消えてしまうでしょう?」

 

「あなたや世間を喜ばせるような努力の仕方を、四六時中、出来る自信はないの。もう若くなくなってきてるし、もう他人に消費されたくない。働き方とか人との付き合い方を、自分を軸にして、考えていきたいの」

 

「どんなに美しくなっても、仕事で地位を手に入れても、仮にこれから結婚して子供を産み育てても、この社会は女性にそうたやすく、合格点を与えたりはしない。この不毛なジャッジメントから自由になるためには、どんなに怖くても不安でも、誰かから笑われるのではないかと何度も後ろを振り返ってしまっても、自分で自分を認めるしかないのだ」

この本の総評

読みやすさ
(5.0)
バター
(5.0)
濃厚さ
(5.0)
読後感
(4.0)
総合評価
(4.5)

 

 

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