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こんにちは、ぽっぽです。
今日の一冊はこちら↓
『おいしい日常』平松洋子(著)
平松さんの食へのこだわりが詰まった一冊です。
本の概要(あらすじ)
「カット・アンド・カムアゲイン」
日々のごはん、愛用の調味料、全国各地で出会った味・・・
平松さんの食へのこだわりと楽しみ、そして知恵を大公開。
写真付きの簡単レシピも付いています。
『おいしいごはんのためならば』の改題。
3つの特徴
うちの「おいしい」
本の序盤では、平松さんのこだわりを紹介しています。
ふだんの食卓には目先の変わった「非日常」のざわめきはいらない。それより、「日常」のなかに「台所の味」がにじみ出ているような、そんな料理がつくりたい。たくさんつくりたい。今日と明日を穏やかにつなぎ渡すような、その豊かな蓄えこそ「私らしい味」と呼んでみたいと、切実に思う。
そう語る平松さんの、「ご飯の炊き方」「お茶の淹れ方」「だしの取り方」「手土産」などがこだわりとともに綴られています。
私が普段何気なく飲んでいる水ひとつとってみても、著者にはきちんと自分なりのこだわりが。
からだのためには、硬度のある水を飲む。料理の味わいを高めるためには、軟水をつかう。
基本は、鉄瓶で沸かした湯ざまし。料理につかう分は、水道水を濾過するポット式の浄水器を併用しているそうです。
ミネラルを補給したいときには硬度の高いミネラルウォーターを買い、しゅわーっと軽快な飲み心地を楽しみたくなったときは、炭酸水だって買いに行く。
自分の暮らしぶりや嗜好に合うように、折り合いをつけるのも大切なことだと著者は言っています。
おいしい水をごくごく飲みながら、ごはんも料理もおいしくて、同時にからだも喜んでくれる。ムリせず気張らず、どうにかそんなバランスを取っていたい。
無理せず自分に合ったやり方を楽しむ著者をみていると、「完璧じゃないといけない」という自分を縛る思い込みが、すっとほどけていくような気がします。
わたしの調味料
本の中盤で登場する、著者愛用のさまざまな調味料たち。
ひとつひとつの調味料の、種類や使い方などが紹介されています。
調味料を使いこなすいちばんの早道は、まず生かし方を把握すること。そのためには、どんな素材からできているか、きちんと知っておくことが大事。ただ味覚に頼ってばかりではいけませんよ。頭を使おう。台所で「考えましょう」
ほとんどが使ったことのあるもの、あるいは聞いたことのあるものなので、手に入らないようなものは出てきません。
普段使っている調味料、あるいは使い道がわからずに放置されている調味料の、知られざる魅力を知ることができます。
著者の調味料に対しての思い入れもダイレクトに伝わってきて、私も「お気に入りの調味料」をみつけたくなります。
紹介の後には、購入できる場所や販売店の連絡先なども書いてあるので、とても親切!
それぞれの調味料を使用したカラー写真付きのレシピが、どれも簡単に作れそうで参考になりました。
黒七味、コチュジャン、柚子胡椒、塩、オリーブオイル、バルサミコ酢、みりん、味噌、紹興酒 etc…
「おいしい」を探して
物語の後半は、著者が旅先で見つけた「おいしいもの」たちの紹介です。
京都のお餅、浅草の天丼、鹿児島の白熊、銀座の焼き鳥、茨城のあんこう鍋・・・
「あの店があるから、〇〇に行こう」そんなふうに食が先行する旅もまた、楽しそうですよね。
ただ「おいしい」ということが書かれているだけではなく、作り手側の情熱や苦労、食材の説明なんかもぎゅぎゅっと凝縮して書かれています。
紹介したそれぞれのお店の名前や住所、電話番号も書いてくれているので便利ですね。
私は今度京都に行ったら、「出町ふたば」の豆餅を食べようと心に決めました。
両手のなかに、ずしっとうれしいひと包みの持ち重り。柔らかさが手に伝わってくる。とびっきりのぷにぷにやわやわ!口に入れたその瞬間を思い描くと・・・ああ、がまんなんができるはずがない。宿にたどり着く前に、いつもこっそり包みをほどいて・・・。
平松さんは読者の想像をあおるのが上手ですね。ぷにやわにやられてしまいました。
本の感想
食のプロが書いた本は、なんとなく気軽に読めないイメージがあったのですが、この作品は全くそんなことはなかったです。
むしろ、気が向いた時に好きな部分だけパラパラと、気軽に読むことのできる一冊だと思いました。
食に対するこだわりも書かれていますが、「こうじゃなきゃだめ」といった押し付けがましさが一切ないのがよかったです。
著者なりの食の楽しみ方が、小気味良い文章で綴られていて、こそっと知恵なんかも教えてくれる。そんな本です。
著者が伝えたいことがシンプルに伝わってきます。
身近で手に入る調味料や、すぐに作れるレシピなど、日常に寄り添ったものたくさん登場し、参考になる部分がたくさんあります。
この本を読むと「今日はいつもより丁寧にごはんを作ってみよう」「棚の奥に眠っているあの調味料を使ってみよう」「おいしいものを食べに行こう」・・・そんなことを自然と思います。
無理せず、少しずつ。自分なりのこだわりを見つけていきたいなと感じた作品でした。
印象に残った言葉(名言)
「もし「私の味」というものがあるならば、それはいったいどんな味なのだろうーー」
「ふだんのごはんには、「家庭の味が」くっきり表れる。なんの変哲もない卵焼きひとつにも、「つくったひとの味」「台所の味」がにじみ出ているのがよくわかる」
「なるほど、と私は大きくうなずく。「おいしい」ものは、つまり「カラダに必要なもの」なんだな」
「甘いものを、甘く見てはいけません」
この本の総評
[…] 平松さんのエッセイ『おいしい日常』で知った豆餅の「出町ふた葉」もさらっと出てきました。京都では有名なんですね。 […]