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【No.77】〜くすっと笑える乙一さんのコミカルなエッセイ集〜 『かいじゅうタイムズ 』乙一(著)

こんにちは、ぽっぽです。

今日の一冊はこちら↓

かいじゅうタイムズ乙一(著)

さらっと読めてくすっと笑える、乙一さんのエッセイ集です!
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著者紹介

1978年、福岡県久留米市出身。

『夏と花火と私の死体』でジャンプ小説・ノンフィクション大賞を受賞して作家デビュー。

『暗黒童話』『GOTH』『ZOO』『失われる物語』『銃とチョコレート』など多くの作品を手がけてきた。

別名義での小説も発表している。

近年ではアニメや特撮シリーズの構成や脚本など幅広く活躍中。

切なく温かい物語と、残酷でブラックな物語。

ファンからは「白乙一」「黒乙一」と呼ばれることも。

3つの特徴

電子出版限定

このエッセイ集は、2018年7月から10月までの間、西日本新聞に連載されていたエッセイ『かいじゅうタイムズ』に加筆修正を加えたものです。

紙の本での書籍化はされておらず、電子出版のみ。(紙の書籍だと、原稿枚数が足りないのだとか)

乙一さんは他にも『ファイアスタータ湯川さん』『カー・オブ・ザ・デッド』を電子出版していますが、今回のエッセイは人の手を借りずに個人出版されたそうです。

本の表紙も乙一さんご自身で作ったらしく、驚きです!

私はたまたまKindle Unlimitedで見つけましたが、まさか電子出版のみの作品があるとは思っていませんでした。

(紙の本派ですが、これからは電子書籍もまめにチェックせねば。)

紙の書籍で出版するには、四百字詰め原稿用紙でさらに百枚くらい書かないといけないらしいのですが、ぜひ頑張っていただきたいです。買うので。

くすっと笑えるコミカルな文章

乙一さんの小説には、シリアスな内容の中にもくすっと笑えるコミカルさがあります。

そんな魅力がそのまま文章になったエッセイ集。

著者自身の言葉で綴られているので、一段と面白味が増しています。

私は本書を読んでいる最中、ひとりでニヤニヤと笑う怪しい人間と化しました。

この記事を書くためにもう一度読み返していますが、二度目なのに不覚にも「ふふっ」と笑ってしまい、なんだか悔しい。

小説家デビューのきっかけ

17歳の時に小説家としてデビューした乙一さん。

昔から人見知りで友達もあまりいなかった乙一さんは、小説を書き始めたきっかけをこんなふうに語っています。

「社会に出るのが怖い。就職するのが怖い。人と話すのが怖い。みんなとやっていける自信がない。・・・そうだ!一人きりでもできる仕事に就くべきだ!」

そんなことを思っていた乙一少年は、高校生の夏休みに小説を書く練習をはじめました。

そして夏休み中に書き上げたのが『夏と花火と私の死体』。乙一さんのデビュー作です。

あの夏休みに、小説を書こうと思い立ち、ぼんやりと頭の中で空想するだけではなく、行動に移して文章を書きはじめたのは偉かった。将来に不安のあるみなさん、何かをはじめるなら、今ですよ。

どう生きるかを悩む子どもたちの道標になる言葉です。(私も十代の時に読みたかった・・・)

乙一さん書く物語では、友達がいなかったり不器用だったり、そんな主人公が多いなと思っていました。

私自身器用な人間ではないので、主人公の言葉にやたら共感できます。

暗いところにいる人間を描くのが上手なのは、著者自身がそういう人間の気持ちがわかるからなのだと、このエッセイを読んで知りました。

本の感想

私は普段エッセイは読みません。正直にいうと、あまり好きではないのです。

 

好きな作家さんに関しては、特に読むのを躊躇してしまいます。

 

想像のままにしておきたいというか・・・。

著者のイメージが想像を超えて確立してしまったら、今後の作品をまっさらな気持ちで読めないんじゃないか、とか。

 

上手く言葉にできないのでやめますけど、とにかくエッセイに関してはあまり読まないようにしてきました。

(「あとがき」はないと不満げになってしまうくらい好きなんですけど)

 

それなのになぜ今回乙一さんのエッセイを読んだのかというと、面白そうだと思ったから。

 

私は乙一さんのあとがきが好きで、本編を読み始める前に「あとがきあるかな?」と先にチェックしてしまうほどです。

 

あ、先に読みませんよ?あるかどうかチェックするだけです。

 

シリアスとコミカルが混ざったような文章が妙にツボに入るんですよね。

 

そんなわけで思わず読み始めてしまったのですが、やっぱり面白かったです。

 

私にとっては新鮮な話ばかりでした。(ウルトラマンの脚本を担当していたことや、奥さんが押井守監督の娘さんなことすら知らなかったので)

 

どんな子どもだったのか、なぜ小説を書こうと思ったのか。乙一さんがどんな人間なのかが、様々なエピソードを通して伝わってきます。

 

これまでの作品から感じていたことが、著者の根底にあるものを知ることでやたら腑に落ちました。

 

その物語を描いた人がどんな人なのかを知ることは、作品を深く知ることに繋がるのかもしれない。そんな気持ちも芽生え始めています。

 

乙一さん好きにはもちろんですが、乙一さんの小説を読んだことがない方でも楽しめる作品です。

 

>>かいじゅうタイムズを読む

乙一さんの作品

【No.46】~人間の心の残酷な部分に惹かれる、少年少女の物語〜 『GOTH 夜の章』 乙一(著) 【No.47】~深い闇にとりつかれた犯人と少年の物語〜 『GOTH 僕の章』 乙一(著) 【No.48】~ある場所へ記念写真を撮りに行く少女の物語〜 『GOTH 番外編〜森野は記念写真を撮りに行くの巻』 乙一(著) 【No.4】~切なさと優しさが詰まった一冊~ 『失われる物語』 乙一(著) 【No.26】~読めばきっとあたたかい気持ちになる ”怖くて優しいミステリー ”~ 『暗いところで待ち合わせ』 乙一(著)

 

この本の総評

読みやすさ
(5.0)
おもしろさ
(4.0)
文章
(5.0)
満足度
(4.0)
総合評価
(4.0)

 

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