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【No.91】〜夏にぴったり!ホラー界を震撼させた、乙一さんの鮮烈なるデビュー作〜 『夏と花火と私の死体』乙一(著)

こんにちは、ぽっぽです。

今日の一冊はこちら↓

『夏と花火と私の死体』乙一(著)

今更ですが乙一さんのデビュー作を読んでみました。
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本の概要(あらすじ)

「そうだ!五月ちゃんを隠そう!ここで死んだことがばれなけりゃいいじゃないか!」

 

九歳の夏、私は殺された。

 

無邪気な犯人の手により、あっさりと。

 

こうして始まった、私の死体をめぐる幼い兄弟の悪夢のような花火大会までの四日間。

 

いなくなった私を探す大人たちと、誰にもみつからずに私の死体を隠そうとする兄弟。

 

斬新な構成でホラー界を震撼させた、著者による圧倒的デビュー作。

 

第六回ジャンプ小説・ノンフィクション大賞受賞作品。

3つの特徴

圧倒的デビュー作

本書は多才な作風で有名な乙一さんが、高校生の夏休みに書き上げた小説です。

乙一さんのエッセイ『かいじゅうタイムズ』でこのデビュー作について触れていたので、今回読んでみました。

デビュー作というと、才能の片鱗がみえながらもどこか物足さが残るイメージがあったのですが、正直この作品にはびっくりです。

近年の作品を読んだうえでデビュー作を読んだというのに、全く物足りなさはなく、確立された個性を感じました。

誰の作品か知らずに読んだとしても「あ、これは乙一さんのだな」とすぐにわかったと思います。

年齢はあまり関係ないのかなと思いつつも、やっぱり16歳の少年がこの物語を書いたのかと思うと、その非凡さを感じずにはいられません。

ただ、乙一さん自身がその非凡さを全く自覚していない感じがそのまま作風に出ていて、それが魅力でもあるなと思いました。

いたってシンプルな文章。過剰な表現を使わず、変にこねくりまわさず、淡々と物語は語られていく。

一見素朴に見える物語ですが、そこに著者の非凡さ(非日常)が加わることで、ぞわっとするような雰囲気を生み出しています。

斬新な語り手

五月ちゃんは同級生の弥生ちゃんと大の仲良しで、弥生ちゃんのお兄ちゃんの健くんのことが好き。

ある日五月ちゃんは、弥生ちゃんの手によって殺された。木の上から突き落とされたのだ。

健くんと弥生ちゃんは、誰にもみつからないように『わたし』の死体を隠すことを決意したがーー。

物語は、この兄弟がなんとかして誰にも見つからずに『わたし』の死体を隠そうと奮闘する四日間を描いたもの。

死体を隠すーー捜索隊に見つかりそうになるーー移動させて別の場所に隠すーー家族にみつかりそうになる・・・

といった、緊張感ただようサスペンス的展開が続きます。

では、この物語の語り手は誰なのか?

弥生ちゃん?お兄ちゃん?それとも第三者?

実はこれ、どれでもないんです。

一人称はなんと、『わたし』の死体。つまり、殺された五月ちゃんの死体なのです。

この斬新な語り口が、この作品の一番の特徴だと思います。

「素足をまじまじと眺められて、わたしは少し恥ずかしくなった」「もし生きていれば、死ぬほど辛い思いをしたことだろう」「わたしの死体は笑い出しそうになった」

殺されて死体となった『わたし』があくまで客観的に、淡々と語る口調がどこかおかしくもあり、不気味でもあります。

コントラスト

物語の舞台は、昭和の雰囲気を感じる田舎町。

夏の日差し、のどかな田んぼ、あざやかな花火と、わたしの死体・・・

なんの変哲もない穏やかな日常風景の中に紛れ込ませる、非日常。

<死体を隠す>という悪夢のような冒険に怯え、恐怖する妹。どこか楽しんでいるようにさえ見える兄。

こういった日常と非日常のコントラストが絶妙で、はっきりとした恐怖というより、ぞわぞわとした違和感をおぼえます。

弥生ちゃんの兄<健くん>は、その後乙一さんが描く「黒乙一作品」の主人公に通ずるところがあるような気がしました。

『GOTH』の<僕>や、『暗黒童話』の<三木俊>のように。

部屋に帰って、二人はわたしを押し入れに隠した。

健くんは宝物を隠すように、悪戯を企てる悪童のように押し込んだ。

彼のサイコパス感あふれる描写も不気味でおもしろいので、必見です。

ちなみに、もうひとり有力なサイコパス候補が潜んでいますが、ネタバレになるのでここでは伏せておきます。

本の感想

どこまでも淡々としていて、冷静で、無駄のない構成。

 

斬新な語り口で独特な不気味さを出しつつも、文章自体はいたってシンプル。

 

初めて書いた作品で、これだけ肩に力を入れずに自然体で描けるのは凄いと思いました。

 

ジャンル的にはホラー小説らしいのですが、ミステリー要素もあり、サスペンス要素もありと色んな要素が詰め込まれています。

 

表題作の『夏と花火と私の死体』の他にも書き下ろし小説『優子』が収録されていますが、こちらもまたしっとりとした雰囲気中に不気味さがあっておもしろかったです。

 

あとがきやエッセイでは、自身のことをいたって平凡な人間かのように語る乙一さんですが、デビュー作ですでにその非凡さが顕著に現れていました。

 

けれどそれ故に平凡な読者を置いてけぼりにするということもなく、あくまで自然体で好きなように描いているのかなという印象が強かったです。

 

まだまだ乙一さんの作品全てを読み切ることはできませんが、ひとつずつ、追いかけていこうと思います。

 

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乙一さんの他の作品

✳︎残酷な少年少女を描いた大人気シリーズ⬇︎

✳︎8つの切なく心温まる物語が詰まった白乙一短編集⬇︎

【No.4】~切なさと優しさが詰まった一冊~ 『失われる物語』 乙一(著)

✳︎盲目の女性と警察に追われる男の奇妙な同居生活を描いた、怖くて優しい白乙一小説⬇︎

【No.26】~読めばきっとあたたかい気持ちになる ”怖くて優しいミステリー ”~ 『暗いところで待ち合わせ』 乙一(著)

✳︎乙一さん好きにはたまらないエッセイ集⬇︎

【No.77】〜くすっと笑える乙一さんのコミカルなエッセイ集〜 『かいじゅうタイムズ 』乙一(著)

✳︎左眼の記憶が誘う、不気味なホラー✖︎ミステリー小説⬇︎

【No.84】〜左眼と記憶を失った少女を待ち受ける、悪夢のような事件〜 『暗黒童話』 乙一(著)

この本の総評

読みやすさ
(5.0)
雰囲気
(4.0)
不気味
(4.0)
構成
(5.0)
総合評価
(4.0)

 

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