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【No.46】~人間の心の残酷な部分に惹かれる、少年少女の物語〜 『GOTH 夜の章』 乙一(著)

こんにちは、ぽっぽです。

今日の一冊はこちら↓

『GOTH 夜の章』 乙一(著)

これまで読んだ『失われる物語』『暗いところで待ち合わせ』とはかなり違った雰囲気を放つ小説。

本格ミステリ大賞に輝いた作品です。

グロテスクな表現が苦手な人は注意してください。

 

 

本の概要(あらすじ)

「四人目の被害者が出たら、それはきっと僕たちが殺してしまったことになるんだ」

 

人間の残酷で暗い部分に惹きつけられる<僕>と同級生の<森野>。

 

森野が連続殺人事件の犯人のものと思われる手帳を拾ったことから、僕と森野は未発見の死体を探しに行くことになって・・・。

 

猟奇的な殺人事件に僕と森野が関わっていく3つの物語。

  1. 暗黒系 Goth
  2. 犬 Dog
  3. 記憶 Twins

 

3つの特徴

「僕」と「森野」

主人公の「僕」と「森野」は高校のクラスメイトです。

森野は外見からして独特の雰囲気を放っています。

森野は黒い色ものしか身につけなかった。直毛の長い髪の毛から靴の先まで暗黒に包まれている。反対に肌はこれまでに僕が見ただれよりも白く、手は陶器でできているようだった。左目の下に小さなほくろがあり、それはピエロの顔に描かれた模様のように、彼女へ魔術的な雰囲気を与えていた。

森野は常に人を避けて行動し、だれとも関わらないで生活をしています。

一方で僕は、明るく笑ったり冗談を言ったりしていますが、いずれも表面的な付き合いで、クラスメイトに向ける笑顔はほとんどが嘘です。

そんな僕の嘘を見抜いたかのように、ある日森野は僕にこう言い放ちます。

「私にも、その表情のつくりかたを教えてくれる?」

その出来事をきっかけに、ときどき話をするようになったふたり。

僕は森野に対してだけ、表情を作らない。彼女を相手にするときだけは、それがゆるされるのです。

 

ふたりの共通点

高校生の男女ふたりが話すことといったら、流行の話や恋の話を想像しますが、そんな会話をするふたりではありません。

彼らが話すのは、世界中の拷問器具やさまざまな死刑の方法についてなど、悪趣味な話題ばかり。

彼らは、周囲の人間に関心がないということだけなく、人とかなりずれた感覚を持っているという共通点があります。

人間が殺されて、撒き散らされたのだ。そうなった人間と、そうした人間が実際に存在する。僕と森野はこういったやるせない話に、特別の興味を抱いた。悲惨で、聞いた瞬間に首を吊りたくなるエピソードを常に求めていた。

この不思議な習性について、お互いがそうであるということを無言のうちに感じ取っていたふたり。

そんなふたりが興味をもったのが、ある猟奇的連続殺人事件。

森野が犯人の手帳を拾ったことで、彼らは事件に関わることになります。

僕たちは手帳の持ち主が行った事件の禍々しさの虜となっていた。犯人は日常生活のある瞬間に一線を踏み越えて、人間の持つ人格や尊厳を踏みにじり、人体を破壊しつくしたのだ。

それが、悪夢のように惹きつけて止まない。

物語を読み進めるほどに、「僕」の異常さが文字を通して伝わってきます。

森野が犯人につかまったときの僕の思考には、いっそ清々しさまで感じました。

もしもすでに殺害しているのなら、森野の死体をどの辺りに捨てたのか聞き出す必要がある。

なぜならそれを見てみたいからだ。

 

叙述トリック

ほとんどすべてに叙述トリックが使われています。

あざやかなどんでん返しが好きな人にもおすすめです。

最初の物語は、あまりの残酷さにミステリを楽しむどころではなかったのですが、ふたつめ以降はなんとなくパターンが同じなので、途中でだいだい予想はつきました。

一話目「暗黒系」は、連続殺人事件の犯人が落とした手帳を森野が拾ったことから、ふたりで山に死体を探しに行く物語。

二話目「犬」は、近所でおきている飼い犬誘拐事件の犯人を僕が探し当てる物語。

三話目「記憶」は、首を吊って死んだ森野の妹の死に隠された秘密に迫る物語。

どれもミステリ要素的にはあっさりしているので、サクサク読めると思います。

ただ、グロテスクな描写があるので、苦手な人はご飯の前(食欲がなくなるかも)や寝る前(悪夢をみるかも)に読むのはおすすめしません。

 

本の感想

これまで読んできた乙一さんの作風とは180度違っていたので、読み始めてしばらくは面食らいました。

 

完全に”黒乙一”のほうの作品ですね。

 

正直、かなり好みがわかれると思いました。

 

私も最初の方は戸惑いながら読んでいましたが、読み進むにつれてどんどんはまってしまい、一気に三冊すべて読んでしまいました。

 

「この内容が好きって、わたしの心は大丈夫かな・・・?」と不安にならなくもないですが、なんだか暗い魅力を感じて引き込まれました。

 

あとがきは相変わらずおもしろいです。

 

本編とは対照的な明るさがあるので、あとがきまで読んで気持ちをリセットして終わるのがいいと思います。

 

もともとは「ライトノベル」で発表された作品らしいのですが、ミステリ小説として評価され、本格ミステリ大賞を受賞したそうです。(その辺のこともあとがきに書いてあります)

 

 

GOTHシリーズ

次に読むのはこちら⬇︎

【No.47】~深い闇にとりつかれた犯人と少年の物語〜 『GOTH 僕の章』 乙一(著)

GOTHシリーズ番外編⬇︎

【No.48】~ある場所へ記念写真を撮りに行く少女の物語〜 『GOTH 番外編〜森野は記念写真を撮りに行くの巻』 乙一(著)

 

乙一さんの他の作品

【No.4】~切なさと優しさが詰まった一冊~ 『失われる物語』 乙一(著) 【No.26】~読めばきっとあたたかい気持ちになる ”怖くて優しいミステリー ”~ 『暗いところで待ち合わせ』 乙一(著)

 

印象に残った言葉(名言)

「煙草は大勢の人を殺すけど、煙草の自販機はあのおばあちゃんから職をうばって殺すのだわ」

 

「心が引き裂かれるような、悲痛な人間の死。叫び出したくなるほどの不条理な死。それらの新聞記事を切り抜いて集め、その向こう側にある人間の心の、深く暗い底無しの穴を見つめるのが好きだった」

 

「不眠症になると、私は首に紐を巻きつけて眠るの。刺殺されて死体になった自分を想像して目を閉じる。そうすると、深い水に沈んでいくような眠りにつくことができる」

 

「最初に私の名前を呼ぶのは、あなたなんじゃないかと思っていたの・・・」

 

 

この本の総評

読みやすさ
(5.0)
個性
(5.0)
ミステリ
(4.0)
グロテスク
(4.0)
総合評価
(4.0)

 

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