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【No.206】 “平成のエラリー・クイーン“によるデビュー作『体育館の殺人』青崎有吾(著)

こんにちは、ぽっぽです。

今日の一冊はこちら↓

『体育館の殺人』青崎有吾(著)

初めましての作家さん。

ライトノベルのような軽い読み心地ながらも謎解きは本格派。

アニメオタクの天才高校生探偵が、学校で起きた殺人事件の謎を解き明かします!

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本の概要(あらすじ)

「俺は、フェアプレイってのが嫌いなのさ」

 

とある雨の日の放課後。

 

風ヶ丘高校の旧体育館で、少年の刺殺体が発見された。

 

警察がまず疑ったのは、密室状態の現場に唯一居合わせた卓球部部長・佐川奈緒。

 

“このままでは先輩が犯人として捕まってしまう”

 

そう思った卓球部員・袴田柚乃は、彼女を救うため学校一の天才・裏染天馬に真相の解明を依頼するがーー。

 

第22回鮎川哲也賞受賞作。

こんな人におすすめ

  • 学園ミステリーが好きな人
  • アニメオタクの人
  • 自分で謎解きを楽しみたい人

 学園ミステリーが好きな人

学校内で起きた殺人事件を、天才高校生・裏染天馬が解決へと導く学園ミステリー。

犠牲は最小限でグロテスクな描写もないため、中高生にもおすすめできる推理小説です。

学園ものということで当然登場人物は多めですが、キャラクターの描き分けはきちんとされているので「これ誰だっけ?」とはならないはず。

会話多めで全体的に軽い雰囲気ですが、推理に関しては一つ一つの可能性をロジックで潰していく正統派タイプ。

「堅苦しいのは苦手!でも本格ミステリーを読んでみたい!」という人にはぴったりだと思います。

警察官や教師など大人ももちろん登場しますが、メインは高校生なので学園ミステリーが好きな人もぜひ!

ラストには予想外の展開も……!?

 アニメオタクの人

探偵役を務める裏染天馬は類稀な頭脳を持つ天才ですが、かなり突拍子もない少年です。

学校に住みついていたり平気で警察を振り回したりと、かなりクセの強いキャラクター。

シャーロック・ホームズのように、天才かつ変人というタイプの探偵ですね。

正義感に燃えるタイプでも、単純に謎解きを楽しむタイプでもない、学園ものにしてはかなりユニークなキャラです。

しかも重度の“アニメオタク”という設定のようで、作中にはたくさんのアニメネタが散りばめられています。

あまりに多いので「もしかしてこれは重要なヒントなのでは……?」と勘繰る方もいるかもしれませんが、全く関係ないのでご心配なく。

知っている人はニヤリとできる小ネタがふんだんに織り交ぜられています。

(ちなみに私が唯一気づけたのは『エヴァ』のあの名台詞くらいでした)

アニメに詳しくない人は「また何か言ってるなー」とスルーしてしまって大丈夫です笑。

 自分で謎解きを楽しみたい人

本書は“読者への挑戦状”という形式をとっているので、自分で謎解きにチャレンジしてみたい人におすすめです。

第五章の前に挑戦状が織り込まれていますが、そこに謎解きをフェアにするための注意事項なんかも記されています。

作者は、読者諸兄に挑戦する。ぜひ彼よりも先に真実をーーすなわち犯人の名前、並びに密室の謎の真相をーー言い当てていただきたい。皆さんにも、それは充分可能なのだから」

ここまで言われたら挑戦しないわけにはいきませんよね?笑

謎解きの材料に関しては第四章までに全て提示されているので、適宜頭の中を整理しながら読み進めてみてください。

ミステリー初心者の方にもぴったり!

本の感想

“平成のエラリー・クイーン”という呼び名や登場人物の多さから難解なイメージを抱きましたが、実際はそんなことはなく。

 

蓋を開けてみれば、ライトノベルのようなキャラ設定や軽快な口調にサクサクと読み進められました。

 

「本格」という点に関しては賛否ありそうな感じですが、

 

事件発生▶︎探偵役登場▶︎仮説検証▶︎事件解明

 

という構成はいわゆる王道かつ正統派かなと。

 

必要な条件を全て提示した上で、読者に「さあ、解いてみろ!」という挑戦状タイプのミステリーですね。

 

登場人物はそれなりにいるものの、海外ミステリーのように複雑難解というわけではないのでチャレンジしてみてください。

 

私は犯人の見当はついたものの、トリックについてはお手上げでした。

 

正直トリックに関しては納得できる部分と少し強引に感じる部分がありましたが、一応解決へのヒントは記されていたのかなと。

 

これを当てられた方はだいぶ着眼点が鋭いなと思います!

 

全体的に好みは分かれるかもしれませんが、ミステリー小説に挑戦してみたいという方はぜひ読んでみてください!

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印象に残った言葉(名言)

「まだ頭を働かすには情報が少ない。情報不足の頭で推理を巡らすと、余計な落とし穴にはまりやすくなる」

 

「事実を一つずつ集めていけば、いらぬことをしなくとも何かが見えてくる。その何かが、決まって真実なのだ」

この本の総評

読みやすさ
(4.0)
キャラクター
(4.0)
トリック
(3.0)
読後感
(4.0)
総合評価
(4.0)

 

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