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こんにちは、ぽっぽです。
今日の一冊はこちら↓
『いつも旅のなか』 角田光代(著)
鋭い感性で女性の心理をリアルに描いた作品が多いイメージの角田光代さん。
そんな角田さんの<旅>にまつわるエッセイ集です。
いろんな国を旅してきた角田さんだからこそ語れる旅の魅力が、存分に詰まっていました。
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本の概要(あらすじ)
「仕事も名前も年齢も、なんにも持っていない自分に会いにゆこう」
ロシアの国際列車で体験した、強烈な国境越え。
犯罪の恐怖に怯えながら訪れた、念願のイタリア博物館。
キューバで出会った、命そのもののような音楽と踊り。
三十三歳、ラオスで気づいた旅と年齢の関係。 etc….
五感で感じる、臨場感たっぷりの旅の記憶。
読めばきっと、旅に出たくなる。
3つの特徴
さまざまな国
旅をした国、26ヵ国。
旅をした回数、30回以上。
初版発行は平成20年なので、現在はさらにその数を増やしているかもしれませんね。
行ったことのある国もあれば、自分では選ばないような国もあって、本当に色とりどり。
せっかくなので、だいたいの場所を地図にまとめてみました。
こう見てみると、アジアが多いことがわかりますね。
角田さんは特にタイを愛してやまないそうで、文章からもその熱が伝わってきます。
友人との旅や仕事関係の旅もありましたが、圧倒的に多いのは<ひとり旅>の記録。
独特の感性
さまざまな国の魅力を知れる面白さもありますが、このエッセイの醍醐味は、なんといっても角田さんの独特の感性。
その国の知識や情報はガイドブックで調べられますが、<そこで何を感じたのか>は行った人にしかわからないので、本当に興味深かったです。
飾り気のない、心のままに書いているような文章がとても心地よく、その国の空気感や人々の暮らしが目に浮かびました。
どの旅の話も面白くて何度も読みたくなってしまいますが、特に印象に残ったのは旅の原点であるタイの話。
初めて訪れたタイで見たリアルな光景と、十年後のタイでの世界観が大きく変わる体験が、当時の感動とともに力強く書かれています。
旅をする理由
一口に“旅”と言っても、人によっていろんな旅があると思います。
角田さんの旅は、お金をふんだんに使った優雅な海外旅行、ではなく。
意外にも、貧乏バックパッカーのような旅なのです。
リュックをかついで、安宿を泊まり歩き、数日ごとに荷物をまとめて移動し続ける。
現地では自然と友達ができ、彼らと行動を共にする。
こんな旅ができるのは、図太くて怖いものなしな人だけだろう・・・と思っていましたが、意外にも角田さんは小心者で怖がりだそう。
三十回以上も旅をしているのに、いまだに旅に慣れることができないそうです。
旅がこわい、異国がこわい。旅が好きなのかどうかもわからない。でも、旅をする。
角田さんはその理由を<その地が実際にあるのかどうか、あるのならばどんなところなのか見てみたい>からだと述べています。
「根拠のない恐怖もしくは不安に取り憑かれ、どうしてもいきたいと思うところへいかない、どうしても見たいと思うものを見ない、というのは、私にとって、何か、生きていくことの細部を一個ずつあきらめていくことに通じている」
趣味や娯楽の範囲内で旅行を楽しむ人はたくさんいると思いますが、角田さんにとって旅は、なくてはならないものなのでしょうね。
本書では20代〜30代にかけての旅の記録が綴られていましたが、40代、50代とどんな旅をしてきたのか?もとても気になります。
本の感想
角田さんがその国で見たもの・感じたことが臨場感たっぷりに描かれているエッセイ集。
鋭い観察眼と独特の感性で綴られる熱のこもった文章に、ぐいぐい引き込まれました。
(ごく一部の)旅好きな人が滔々と語る自慢話や、「海外に行かないなんて人生損してる」的な価値観の押しつけがすごく苦手なのですが、そういうのは全くなく。
角田さんはほんとうに旅が好きなんだな、というのがひしひしと伝わってきました。
ただ直感の赴くままに自由に旅をする様子は、見ていてとても気持ちが良かったです。
私の中での旅といえば、何か目的を持ってするものだという感覚。
見たいもの、食べたいもの、泊まりたい宿を決めて、ひとつずつ目的を達成していく。
もちろんそういう旅も楽しいですが、私はこの本を読んで、角田さんのように五感と思考を存分に使った旅をしてみたいなと思いました。
ただ観光地を巡るだけでなく、その国で繰り返されている日常を肌で感じられるような、そんな旅に憧れます。
しばらくはコロナで自由に海外旅行をするのも難しい状況だからこそ、おすすめしたい一冊。
本のなかで、角田さんと一緒に、いろんな国を旅してみませんか?
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印象に残った言葉(名言)
「旅はおもしろい。一度も日本の土を踏んだこともない、旅行者以外、日本という異国に興味もない、遠い国のおさない商売人のなかに、自分の生まれた場所を、その個性を、何よりも色濃く見たりする」
「国の境を争う戦いや、国の所有をめぐる戦争を、知識ではなく血で、肌で、私が理解することはおそらく一生ないだろう」
「個性を創りあげる要素とは、育った環境だの経験だの遺伝だのばかりではなく、その時代、その場所での空気でもあり得るのだ」
「その街の流れる時間軸に、すっと入りこめるときがある。どんな町でもだいたい、滞在三日目か四日目でそういうときがやってくる。そこでくりかえしおこなわれている日常が、肌で理解でき、自分がそこにくみこまれているのだと理解する瞬間」
「旅にも年齢がある。その年齢にふさわしい旅があり、その年齢でしかできない旅がある。このことに気づかないと、どことなく手触りの遠い旅しかできない。旅ってつまんないのかも、とか、旅するのに飽きちゃった、と思うとき、それは旅の仕方と年齢が噛み合っていないのだ」
「私たちの生まれ育った国で、変化を味わうのは至難の業である。何か世界観みたいなものが大きく変わる、揺らぐ、それを全身で理解するということは、おそらく七十年代以降、あり得ないというのが私の意見である」
「地図があるから迷うのであって、地図がなければ迷うという概念自体がない」
「不気味さと死のにおいが静かに漂う、キュートさのかけらもない剥製館を見学した子どもたちと、死のにおいのまったくしない、はみだすもののまったくない清潔な剥製館を見学した子どもたちは、当然、大人になったときのものごとの捉え方が大きく異なるのだろう」
「親切なだれかがどこかへ連れていってくれるのを待っていたってどうしようもない、先に何があるのかわからなくても、それがどんなにみみっちいことでも、自分ひとりで動き出さなきゃいけないときは少なからずある。それでも心配することはない、途方に暮れたとき周囲を見渡せば、自分に向かって差し出されたてのひらが必ずある」
「社会主義の理想の、一番美しいかたちはこういうことなんじゃないかと思った。有名人であろうが、偉人であろうが、ごくごくふつうに、一般の人々と同じ席に座っているというようなこと」
「旅先で、その場所が書かれたもの、その場所で書かれたものを読む、というのはなかなか幸福な体験だと思っている」
「時間というものはありとあらゆるものをのみこんで、かたちあるものをすべて変化させていくけれど、あるものごとには手出しができない。ここが、在る、というようなことだ。たしかに在って、そこで人々がくりかえし生きている、というようなこと」
この本の総評
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