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【No.95】「思い出の食、捜します」京都を舞台にした風変わりな食堂の物語『鴨川食堂』柏井 壽 (著)

こんにちは、ぽっぽです。

今日の一冊はこちら↓

『鴨川食堂』柏井壽(著)

京都の風情感じるグルメ小説です。

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本の概要(あらすじ)

「“食”捜します」

 

京都・東本願寺の近くにある『鴨川食堂』

 

看板もメニューもないその食堂を切り盛りしているのは、元刑事である父の鴨川流と娘のこいし。

 

この食堂では食にまつわる依頼を引き受ける探偵事務所を兼任している。

 

懐かしい思い出と、舌の記憶。

 

さまざまな想いを抱えた依頼人たちの「思い出の味」を捜しだすーー。

3つの特徴

不思議な食堂

暖簾も看板もメニューもない。

あるのはとある料理雑誌に掲載された、たった一行の広告のみ。

「縁があったら必ず辿り着いてくれはる」というのが、店主である鴨川流の信念なのだ。

初めてのお客に出されるのは、お店のおまかせ定食。

鰯の鞍馬煮、じゃこの玉子とじ、京地鶏の山葵和え、万願寺唐辛子の天ぷら・・・

華やかな豆皿に少しずつ盛り付けられた料理は、京都らしい風情を感じます。

さまざまな依頼

鴨川食堂を訪れるのは、食事をしに来るお客ばかりではありません。

「食、捜します」というたった一行の広告を目にした人たちが、様々な依頼を抱えてやって来るのです。

<食堂>兼<探偵事務所>という一風変わった設定の鴨川食堂。

娘のこいしが窓口となって依頼人の相談を訊き、元刑事の父が数少ない情報から思い出の食を捜しだします。

【第一話】 忘れられない亡き妻の味「鍋焼きうどん 」

【第二話】 初デートの淡い記憶「ビーフシチュー」

【第三話】 子どものころに食べた「鯖寿司」

【第四話】 元夫のために作る「とんかつ」

【第五話】 祖父との旅の思い出「ナポリタン」

【第六話】 亡き母が作ってくれた「肉じゃが」 

京都を感じる

京都弁がとびかう鴨川食堂での会話。

京都弁には馴染みがないので最初の方はスラスラと頭に入ってきませんでしたが、慣れている人はより京都らしさを感じられるのではないでしょうか。

著者は京都生まれ京都育ちのようなので、その土地に詳しい人ならではの京都の風情が漂います。

平松さんのエッセイ『おいしい日常』で知った豆餅の「出町ふた葉」もさらっと出てきました。京都では有名なんですね。

鴨川食堂のおまかせ定食もいわゆる「京おばんざい」といった感じで、京都に美味しいものを食べに行きたくなりました。

本の感想

Amazon Kindleで読み放題の対象になっていたので読んでみました。

 

食堂兼探偵事務所という設定が面白い作品。

 

料理は京都ならではのものから馴染みのある料理までバラエティに富んでいます。

 

依頼人のおぼろげな記憶から思い出の味を捜しだして再現する。

 

依頼を訊くのは娘のこいしですが、実際に捜すのは父の流。

 

元刑事の経験を活かして・・・ということだとは思いますが、捜しだす過程はほぼ書かれていません。

 

依頼人が来て話を訊き、すぐに父が解決して料理を再現する。という単調な構成でした。

 

さらっと読みたい人はいいかもしれませんが、物足りなく感じる人もいるかもしれません。

 

シリーズものですが、個人的には続きは読まなくていいかなというのが感想です。

 

2016年にNHKでドラマ化もされているようですが、映像映えしそうな内容なので、ドラマ版は少し気になります。

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印象に残った言葉(名言)

「楽あれば苦あり。人生すべて甘辛です」

 

「食べ方に、下品も上品もありまへん。好きなように召し上がるのが一番です」

 

「人間言うのは、すぐに慣れてしまう。最初は美味しいと思うても、だんだんそれが当たり前になってくる。最初の感動を忘れたらあきまへん」

京都を舞台にした小説

【No.92】京都の仕出し弁当屋を舞台に紡がれる、美味しくて優しい物語『ちどり亭にようこそ〜京都の小さなお弁当屋さん〜』十三湊(著)

 

この本の総評

読みやすさ
(3.0)
雰囲気
(3.0)
料理
(4.0)
読後感
(3.0)
総合評価
(3.0)
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