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こんにちは、ぽっぽです。
今日の一冊はこちら↓
『風のベーコンサンド』 柴田よしき(著)
タイトルと表紙に惹かれて購入した一冊です。
柴田よしきさんと言えば、ミステリーやサスペンス、ファンタジーなど多彩な作風で定評がありますが、
この本はミステリー要素などはなく、全体的に優しい作品でした。
『草原のコック・オーヴァン 高原カフェ日誌Ⅱ』という続編も出たみたいですが、
個人的には、一作目でお腹いっぱいかな・・・という感じです。
本の概要
「ここでないと、だめなんです。」
東京を離れ、百合が原高原にカフェを開いた奈穂。
苦労しながらもオープンさせた「カフェSon de vent(ソン・デュ・ヴァン)」には、様々な悩みを抱えた村の人たちが訪れる。
奈穂の料理が紡ぐ、六つの物語。
しかし、奈穂自身もある深刻な事情を抱えていて・・・。
3つの特徴
美味しそうな料理たち
この小説のメインは、やはり奈穂が作る美味しそうな料理の数々です。
「ひよこ牧場」のバター、ベーコン、ソーセージ
「あおぞらベーカリー」の自家製天然酵母パン
「地元農家」の野菜や果物
そういった地元の食材を活かして作る、「ベーコンサンド」や「高原ポークソテー」「野生キノコのオムレツ」などは、どれも本当に美味しそう。
ひとつひとつの食材や料理の描写が非常に細かく、頭の中が美味しそうな料理でいっぱいになります。
田舎の豊かさと厳しさ
この作品では、自然の豊かさを描くとともに、そこでの生活やお店を経営する厳しさも同じくらい描いています。
観光に行くだけではわからない、そこに住んでいる人たちならではの大変さや苦悩。
そういった暗い部分も、奈穂のカフェ経営を通して伝わってきます。
だからこそ、奈穂の料理がより癒しとなって物語にあたたかい雰囲気を与えています。
それぞれが抱える葛藤
百合が原高原に住む人々は、みんなそれぞれに事情を抱えて生きています。
奈穂もまた、そのひとりです。
つらい過去だったり、重く心にのしかかる問題だったり。
そんな登場人物たちが抱える悩みや事情が、あたたかい雰囲気の物語に、絶妙なスパイスをきかせています。
ただし、癒しを求めて読む人にとっては、少し重たく感じる部分もあるかもしれません。
本の感想
もともと料理が出てくる小説が好きで、いろいろな本を読んできましたが、この作品は特に料理の描写が多かったです。
主人公の料理に対する丁寧さや謙虚さ、ほんとうに料理が好きなことが文章から伝わってきて、きっと著者も料理が好きなんだなぁと感じました。
”プロが作る洗練された料理”ではなく、”地元の食材を使ったカフェご飯”というのも親しみやすくて良かったです。
ただ、一つ気になったのが、登場人物たちの台詞の長さです。
初めて読んだときは気にならなかったのですが、再度読んでみると、違和感があり読みづらく感じました。
続編をあまり読む気にならないのは、それが理由の一つかな?
印象に残った言葉
「自分を偽って生きているのって、すごく・・・すごくくたびれるの」
「ババロアより男前な口どけね」
「もう、かっこつける人生はおしまいにします」
「いつまでも素人でいなさい。素人のままで、達人になりなさい」
この本の総評
[…] 【No.9】~空腹時には要注意!~ 『風のベーコンサンド』 柴田 よしき(著) […]