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【No.74】〜流しの床屋をめぐる12の不思議な物語〜 『空ばかり見ていた』吉田篤弘(著)

こんにちは、ぽっぽです。

今日の一冊はこちら↓

『空ばかり見ていた』吉田篤弘(著)

 

「流しの床屋」をいろんな形で描いた、不思議な雰囲気漂う物語です。

 

 

本の概要(あらすじ)

「僕は世にもめずらしい流しの床屋なんですよ」

 

小さな町で父親から受け継いだ床屋を営むホクト。

 

あるとき彼は吸い込まれそうなくらい美しい空を見上げてつぶやいた。

 

「私はもっともっとたくさんの人の髪を切ってみたいーー」

 

そして彼は鋏をひとつだけ鞄に入れ、行くあてのない旅に出る。

 

自由気ままな流浪の床屋として・・・

 

ひとりの床屋をめぐる12の物語。

3つの特徴

12の不思議な物語

この作品は、ひとりの流浪の床屋をめぐる<12の連作短編小説>です。

・『七つの鋏』

 

・『彼女の冬の読書』

 

・『星はみな流れてしまった』

 

・『モンローが泊まった部屋』

 

・『海の床屋』

 

・『アルフレッド』

 

・『ローストチキン・ダイアリー』

 

・『ワニが泣く夜』

 

・『水平線を集める男』

 

・『永き水曜日の休息』

 

・『草原の向こうの神様』

 

・『リトル・ファンファーレ』

いろんな場所の、いろんな人たちの時間を切りとった物語たち。

内容自体がつながっていくわけではありませんが、どの物語も幻想的な雰囲気と少しの哀愁に包まれています。

主人公の描き方

主人公は床屋のホクトさんで、彼を軸とした連作短編という形になっていますが、この主人公の描き方に特徴があります。

第一話『七つの鋏』では床屋に通う男の子が語り手となって、彼がいなくなってしまうまでの物語を描いています。

たぶんホクトさんは、どこかへ「エンセイ」に行ってしまったのだろう。

そして二話目以降もホクトさん視点の物語ではなく、いろんな国、いろんな場所、いろんな人たちから見た「流しの床屋(ホクトさん)」のお話になっています。

ある物語では「海の床屋」だったり、またある物語では「娼館の髪結い」だったり。

さらには、本や映画の中に登場したり、猫になっていたり。メタ的な存在として描かれている物語もあります。

主人公視点の物語はないのかなと思っていたら、急に六話目の『アルフレッド』で語り手として登場したり。

連作短編でありながら、次の物語で彼は何になっているのか、どんな存在として登場するのか、全く予想がつきません。

12の物語がありながら、流れる雲のように掴みどころがない主人公なのです。

印象的な言葉たち

この作品には、ふと目に留まる印象的な言葉が散りばめられています。

なんてことのない言葉ではあるのですが、吉田さんの描く世界の中ではなぜか印象に残るのが不思議です。

『つむじ風食堂の夜』にも使われている「つむじ」という言葉は、一話目の『七つの鋏』でも登場します。

「ここが、つむじ。君のすべての中心」

「忘れちゃいけない。大切にしないと」

ちなみに、三話目の『星はみな流れてしまった』は、あの月舟町シリーズでお馴染みの”デ・ニーロの親方とサキさん”の物語。

こんなふうに、他の作品とのつながりが感じられるのも、吉田さんの作品の魅力です。

他にも「ローストチキン・ダイアリー」やフランスのお菓子「マアト(天使の羽根)」「夜のトースト」「空中チェス」「長靴を履いた神様」などたくさんの言葉が登場します。

ひとつの言葉がいろんなものに連鎖してゆき、物語がどんどん膨らんでいく。

言葉だったり物だったり、そういう”何気なくそこにあるもの”から不思議で幻想的な世界観を作り上げるのが、吉田さんの作品なのだなと感じました。

 

本の感想

静かで幻想的でどこか寂しい。著者の他の作品とも通ずる雰囲気を感じました。

 

いちばんの特徴は主人公の描き方で、特にメタ的な存在として描かれている物語には驚かされました。

 

ある物語で主人公の片鱗を掴んだと思ったら、次の物語ではさらさらと掌からこぼれてゆく。

 

掴み所のない主人公と物語ですが、どこか心地よく、ただただ著者の作り上げた世界に漂っているような気持ちになります。

 

読んでいる時は物語の世界にどっぷりと浸かってしまうのに、読後はびっくりするほど内容が頭に残らないのがまた不思議です。(心地よい雰囲気は残るのですが)

 

だから何度でも読みたくなるし、またいろんなホクトさんに会いたくなります。

 

私が特に気に入っている物語は、『彼女の冬の読書』『永き水曜日の休息』

 

あとがきには、「放浪の床屋の物語」が誕生した経緯や、『星はみな流れてしまった』でホクトさんが猫に化けたいきさつが書かれていました。

 

吉田篤弘さん好きにはぜひ読んでほしい一冊です。

 

 

印象に残った言葉(名言)

「本さえ読めれば、あとのことはどうでもいいの」

 

「どこから来たのかは秘密。どこへ行くのかも秘密」

 

「枕の帰るところは空なんです」

 

「恵まれた者は、きっと何かを失っている」

 

「私は、今日のような曇り空が嫌いではない」

 

「こうして、ひとりでいることは、ふたりでいることよりも強いこと?」

 

「美しさはいつでも永遠であってほしいが、悲しみには終わりが必要になる」

吉田篤弘さんの他の作品

【No.6】~不思議な魅力あふれる、月舟町シリーズ第一作~ 『つむじ風食堂の夜』 吉田 篤弘(著) 【No.29】~名なしのスープをめぐる、やさしくてあたたかい物語~ 『それからはスープのことばかり考えて暮らした』 吉田 篤弘(著) 【No.39】~小さな映画館の看板犬と町の人々の物語<月舟町シリーズ>完結作〜 『レインコートを着た犬』 吉田 篤弘(著) 【No.44】~子どもたちに伝えたい、大切なことはなんですか?〜 『つむじ風食堂と僕』 吉田 篤弘(著) 【No.56】~どこか奇妙であたたかな縁が、深夜の東京で交差する幻想的な物語〜 『おやすみ、東京』 吉田 篤弘(著) 【吉田 篤弘(著)】〜月舟町シリーズ三部作+番外編の魅力と読む順番〜

 

この本の総評

読みやすさ
(5.0)
雰囲気
(5.0)
個性
(4.0)
床屋
(4.0)
総合評価
(4.0)

 

 

>>その他短編小説はこちら

 

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