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こんにちは、ぽっぽです。
今日の一冊はこちら↓
『新釈 走れメロス 他四篇』森見登美彦(著)
近代文学作品を森見さん流にアレンジするとどうなるのか?
と興味を惹かれ、読んでみました。
タイトルの『走れメロス』の他にも四作品が、森見節によって現代風に転生しています。
どの物語も、舞台は森見作品でおなじみの京都。
シュールで滑稽な世界観を、お楽しみください。
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本の概要(あらすじ)
「芽野史郎は激怒した」
詭弁論部を廃部から救うため、図書館警察長官に挑んだ芽野。
廃部の取り消しと引き換えに要求されたのはなんと、世にも破廉恥な桃色ブリーフ踊りの刑!
一日だけ猶予をもらった芽野は、人質として差し出した親友・芹名を<見捨てる>ため、京都を疾走するのだがーー
表題作『走れメロス』をはじめとする近代文学名作が、現代風に生まれ変わる!
3つの特徴
近代文学名作
本書の元ネタとなっているのは、誰もが知っている五つの近代文学作品。
<山月記(中島敦)>
詩人になる夢に敗れて虎になってしまった李徴という男が、森の中でかつての友人と再会し、自身の運命について語るという物語。
<藪の中(芥川龍之介)>
藪の中で起きた殺人事件について、七人の証言の食い違いから、人間心理の複雑さを描いた物語。様々な議論がかわされているが、真相は未だ「藪の中」。
<桜の森の満開の下(坂口安吾)>
残虐非道な山賊の男をも魅了する、恐ろしき「美」を描いた、幻想的な物語。
<走れメロス(太宰治)>
自分を信じて待ってくれている親友セリヌンティウスを救うため、己の死を顧みずに疾走するメロスの熱い友情を描いた作品。
<百物語(森鴎外)>
百の怪談を語り終え、最後の蝋燭を消すとき、本物の化物が現れるという物語。
教科書に載っているような名作ばかりなので、内容を知っている方も多いと思います。
これらは森見さんが<読んでいて何かを書きたくなった作品>という基準で選んだそうです。
現代版パロディ
近代文学史上の名作を<腐れ大学生>たちを主人公としてアレンジした連作短編集。
すべての物語の舞台は、森見作品でおなじみの京都。
それぞれ別の物語ですが、登場人物はゆるやかに繋がっていて、中でも<斎藤秀太郎>はどの作品でも異様な存在感を放っています。
いちばん原作の雰囲気を感じられるのは、<詩人、虎>の部分を<小説家、天狗>にアレンジした『山月記』。
また、『藪の中』は、殺人事件ではなく映画サークル内での恋愛模様が軸になっています。
元ネタのニュアンスは感じさせつつも、ガッツリ手を加えているので、パロディだけれど原作とは別の物語として楽しむことができる本作。
個人的には、とっつきにくい古典名作が森見さんの手によって読みやすくなっているので、原作に興味を持つきっかけにもなってくれる一冊だなと思いました。
呆れるほどの滑稽さ
とくに面白かったのが、表題作の『走れメロス』。
設定も雰囲気も、原作とは正反対。
メロス▶︎芽野史郎
セリヌンティウス▶︎芹名雄一
王様▶︎図書館警察長官
部室を取り戻す条件として、「桃色ブリーフ一丁で踊る」という約束をした芽野。
しかし、姉の結婚式に行く猶予を一日もらうため、親友の芹名を人質として置いていくことに。
親友を守るため、芽野は死に物狂いで京都を疾走するーー
と、思いきや。
実は、姉の結婚式というのは真っ赤な嘘。
残された芹名はさぞ怒り狂うだろう・・・
と、思いきや。
悠然と珈琲をすすりながら「俺の親友が、そう簡単に約束を守ると思うなよ」と言う芹名。
それから芽野は、<親友との約束を守らないために>追っ手から逃げ続けるのだ。
<桃色ブリーフの刑>をめぐるユーモアたっぷりのドタバタ劇が、なんとも滑稽で呆れるほど。
信頼し合うメロスとセリヌンティウスを描いた原作とは真逆の、<信頼しないという形をとった信頼、友情に見えない友情>で繋がる芽野と芹名を描いた本作。
桃色ブリーフで踊り狂うラストシーンは、なんともシュール。
本の感想
近代文学作品は教科書で読んだことがあるというくらいで、大人になってからは全く読んでいなかったジャンル。
さすがに『走れメロス』は覚えていますが、それ以外は「あれ?これどんな話だっけ?」とパッと内容が出てこず。
本書は、そんな私のような人間でも気軽に読むことができる、近代文学作品のパロディ。
原作に詳しい方がより楽しめることは間違い無いですが、なんとなくしかわからなくても大丈夫。
最初は読めるかどうか不安だったのですが、読み始めてしまうと意外とすんなりと読むことができました。
(読みづらいと感じた方は、『走れメロス』から読んでみるといいかも)
私はこの作品から原作に興味を持ち、本書を読み終えた後に、全て購入して読んでみました。
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単体で読んでもいいのですが、原作と比較しながら読むとより一層面白いです。
まずは難しいことは考えずに、ただただ<腐れ大学生>たちの物語を愉快に読んでみてください。
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印象に残った言葉(名言)
「器が大きいのか、底抜けの阿呆なのか。それは彼らには分からなかった。実際のところ、この両者を見分けるのは容易ではない」
「四年は何事も為さぬにはあまりにも長いが、何事かを為すにはあまりにも短い。さらばだ、凡人諸君」
「何者にも邪魔されない甘い夢を見続けていたいがために、いつ果てるともしれない助走を続けて、結局俺は自分で自分を損なったのだ」
「今の俺は、万人を軽蔑する中身のない傲慢が、ただ人の形を成しているだけのものだ。だからこそ俺は天狗なのだ」
「なんだか、大きな怪物が空を跨いでいるみたいでしょう」
「『美しく青きドナウ』に、ブリーフ一丁だと!なんということを!全裸より破廉恥だ!」
「声高に美しき友情を賞賛して甘ったるく助け合い、相雍しているばかりが友情ではない。そんな恥ずかしい友情は願い下げだ!俺たちの友情はそんなものではない。俺たちの築き上げてきた繊細微妙な関係を、ありふれた型にはめられてたまるものか。クッキーを焼くのとはわけがちがうのだ!」
「迷惑をかけてもいいだろう。裏切ってもかまわん。助け合いたければそれもいい。何があってもいいのだ。そんなことはどうでもいいのだ。ただ同じものを目指していればそれでいい。なぜならば、だからこそ、我々は唯一無二の友なのだ!」
「イギリスの公園で寝ころびながら遠い日本を傍観しているというのは、誰も代理してくれない自分の人生を傍観しているということだ」
この本の総評
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