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こんにちは、ぽっぽです。
今日の一冊はこちら↓
『箱庭図書館』乙一(著)
6つの物語からなる、連作短編小説集。
読者の方からの原稿を乙一さん流にリメイクするという、斬新な企画のもとに生まれた作品です!
これまでとは違う雰囲気の物語もあるので、ぜひ読んでみてください。
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本の概要(あらすじ)
「この町にいれば、いつか会えるとおもってました」
この町の名前は文善寺町。キャッチコピーは【物語を紡ぐ町】。
ミステリー、恋愛、青春、そしてホラーまで。
この町を舞台に繰り広げられる、奇跡のような6つの短編小説集。
僕が小説を書く理由(「小説家のつくり方」)。
僕と先輩、ふたりぼっちの文芸部でのイタイ青春(「青春絶縁体」)。
少女が誘われた、子どもだけの国(「王国の旗」)。 他
2つの特徴
6つの物語
6つの物語からなる短編小説集。
復讐心を糧に小説を描き続ける少年を独特の構成で描いた『小説家のつくり方』
個性的な登場人物とコントのような展開が特徴的な『コンビニ日和!』
主人公と先輩の毒舌なかけ合いが楽しい『青春絶縁体』
鍵穴を探す少年が殺人事件に遭遇する異色な物語『ワンダーランド』
お伽話のような雰囲気と宗教的要素が入り混じった、独特な世界観のファンタジー『王国の旗』
雪面で繋がる平行世界の男女を描いた『ホワイト・ステップ』
雰囲気もジャンルも様々な物語ですが、最初の物語に登場する主人公の姉・潮音が、作品全体を繋げる重要な役割を担っています。
「箱庭図書館」ができるまで
冒頭でも書きましたが、今回の作品は集英社のWEB文芸「RENZABURO」の企画から生まれた作品だそうです。
一般読者の原稿を乙一さんがリメイクするという驚きの内容ですが、
自分の書いた物語を読んでもらえて、しかもリメイクまでしてもらえるなんて、乙一さんファンからしたらたまらない企画ですよね!
あとがきには、原案の内容やなぜそれを選んだのか、どのようにリメイクしたのかなどがそれぞれの物語ごとに書かれています。
私はこの企画について知らずに読んだので、あとがきの内容を踏まえてもう一度最初から読み直してみようと思いました。
本の感想
読み始めてまず感じたのが、「あれ?これ乙一さんの小説だよね?」という違和感。
ところどころ乙一さんっぽさは感じるものの、全体の雰囲気や物語の展開、セリフなどが、どこか乙一さんっぽくない。
そんな違和感を抱えながら読んでいたので、あとがきで企画のことを知ったときの納得感がすごかったです。
企画に関しては賛否あったようですが、私はリメイクだからこそ、改めて乙一さんの技術とセンスの高さを実感できる作品だと思いました。
ただ、純粋に乙一さんの作風を楽しみたいという方には向かないかもしれませんね。
6つの物語の中で、特にこれまでの乙一さんの作品にはない雰囲気なのが『王国の旗』。
いちばん乙一さんっぽい雰囲気が出ているのが『ホワイト・ステップ』。
私の大好きな作品「calling you」(映画『きみにしか聞こえない』の原作)を彷彿とさせる物語です。
(乙一さんの大ファンであるという友井羊さんも解説で述べています)
最初はただの短編小説だと思っていましたが、バラバラに見える物語が実は【物語を紡ぐ町】という軸で繋がっている連作短編小説で。
それぞれに異なる雰囲気を醸し出しながらも、全体としてひとつの「箱庭」という世界観を構築していました。
「ここは乙一さんがアレンジした部分かな」「こっちは原案のままなのかな」と、考察しながら読むのも面白いかもしれませんね。
(原案について触れている「あとがき」も必読です!)
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印象に残った言葉(名言)
「外部とつながっていないからこそ可能になるコミュニケーションがある。自分たちだけの言語、文脈、僕と先輩にはそういうものがあった。僕たちは共通の文脈を育んで、それを愛おしいと感じていた」
「自分が物語をつかってみんなに復讐したいのか、それとも受け入れられたいのか、明確ではないけれど。物語をつくることで、何かがかわるんじゃないかとおもえた」
「価値が暴落してもいいから、僕は自由に、胸の内側で感じたことを、おもったことを、つたえたいことを、言葉にしたいことを、口にするべきだったのだ」
「みんな、家に【帰ってる】わけじゃない、家に【行く】んだ」
「僕たちは大人をたおす。大人がつくった世界をこわす。そのために子どもだけの国をつくったんだ」
「私は、あなたたちの仲間にはならない。だからもう、帰らせてもらうね。私の家は、ここじゃないから」
「人生はただあるき回る影法師」
この本の総評
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