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【No.73】〜ホラーとミステリーが融合したちょっと怖い5つの物語〜 『ふちなしのかがみ』辻村深月(著)

こんにちは、ぽっぽです。

今日の一冊はこちら↓

『ふちなしのかがみ』辻村深月(著)

ミステリーのイメージが強い辻村深月さんが手がけた、ホラー短編小説集。

ミステリーとホラーが融合することにより、得体の知れない怖さが増幅していました。

個人差はあると思いますが、ホラーが苦手な私はけっこう怖かったです。

夏に読みたい一冊!

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本の概要(あらすじ)

「ーー嘘を吐くと呪われる」

 

一、この学校の花子さんは階段に棲んでいる

二、花子さんに会いたければ、彼女の棲む階段を一生懸命掃除すること

三、花子さんのくれる食べ物や飲み物を口にすると呪われる

四、花子さんに嘘を吐くと呪われる

五、花子さんが「箱」をくれると言っても、もらってはならない

六、花子さんにお願いごとをするときは、花子さんが望むものを与えること

七、花子さんの与える罰は、階段に閉じ込める「無限階段の刑」

 

「学校の七不思議」「都市伝説」「占い」「おまじない」「コックリさん」・・・

 

ホラーとミステリーを融合させた、ぞわっと怖い5つの物語。

3つの特徴

ちょっと怖い5つの物語

昔懐かしい学校の怪談などをテーマにした、5つの物語。

  • 階段に棲む花子さんは、全部見ていた?『踊り場の花子』
  • ブランコの事故は、コックリさんの呪い?『ブランコをこぐ足』
  • 祖父母の家から出てきたのは、大量の死体?『おとうさん、したいがあるよ』
  • 禁断の占いの向こう側には何が映る?『ふちなしのかがみ』
  • きみはだれ?架空の友達が現実に?『八月の天変地異』

ジャンル分けで言うと「ホラー」にあたると思いますが、辻村さんならではのミステリー要素もあります。

私がいちばん怖かったのが、『踊り場の花子』

この物語がいちばん王道のホラーという感じがしました。

子どもの頃によく聞いた「学校の怪談系」の話は、大人になった今でもひやっとする怖さがあります。

ミステリー要素がいちばん強かったのは、表題作の『ふちなしのかがみ』。

午前零時の鏡の中に未来の自分が映るという「都市伝説」とミステリーを融合させた内容です。

ゾッとするような怖さと絶妙な物語の構成を味わうことができました。

ミステリー作家の辻村さんが描いたホラーを堪能できる物語。

曖昧な境界線

タイトルの「ふちなしのかがみ」は、この作品をまさに一言で表しているなと思いました。

この作品は、「こちら側」と「あちら側」の境界線が曖昧になってしまった人たちを描いた物語です。

その曖昧さが絶妙で、見ている読者もまたその曖昧な世界に引きずり込まれ、自分の足元がぐらついていきます。

いろんなこちら側とあちら側が登場しますが、読者が一番共感できるのは『八月の天変地異』ではないでしょうか。

この物語の主人公は小学生の男の子。

学校で「みそっかす」扱いをされることに嫌気がさし、架空の友達「ゆうちゃん」を作り上げます。

しかしある日虚構の存在だったはずのゆうちゃんが突然現実の世界に登場し……

物語は彼の秘密とともに結末を迎えます。

彼のように、子どもの頃に空想上の「友達」がいた経験を持つ大人もいるのではないでしょうか。

おそらく成長とともに自然といなくなるものだと思いますが、それが本当に具現化するというお話です。

現実と虚構の境界が曖昧になった世界。

懐かしくて切なくて、淡い光が射すような辻村さんの魅力にあふれた物語です!

謎と解釈

この作品には、明かされていない謎もたくさん残されています。

特に三話目の『おとうさん、したいがあるよ』は5つの物語の中でもとりわけ異彩を放っていて。

「ありえないこと」が「あたりまえ」かのように淡々と描かれている様子は恐ろしく不気味でした。

どんな設定なのかすらも定かではないので、全て読者側で想像するしかありません。

いろんな人の感想を見てみましたが、これに関しては「難しくてわからない」という意見がほとんどでした。

すべての物語で軸になっている「現実と非現実の境界線」の観点から考えると一応の予想は立ちますが……

どこか辻褄が合わない部分が出てきてしまい、想像の域を出ませんでした。

明確な答えが用意されていないのでモヤモヤする人もいるかもしれませんね。

けれどあえて謎のままにしているからこそ、想像を膨らませていろんな解釈を楽しむこともできるのではないかと思いました。

本の感想

一話目の『踊り場の花子』が想像以上に怖くて、毛布にくるまりながら読みました。

 

ホラーが得意な人は大丈夫だと思いますが、私は怖がりなのでギリギリ耐えられるくらいの怖さでした。

 

途中で読むのをやめなかったのは、怖さ以上に物語として面白かったからです。

 

細かい描写や物語の展開に、ぐいぐい引っ張られていってしまいます。

 

二話目以降の話はホラー要素というよりも、ミステリー要素の方が強い気がしました。

 

『ブランコをこぐ足』では懐かしのコックリさんを軸に、子ども特有の陰湿さやスクールカーストを描いています。

 

『おとうさん、したいがあるよ』はいちばん謎要素が強く、怖さとは別の不気味さが漂います。(乙一さんのGOTHが好きな人は好きだと思います)

 

『ふちなしのかがみ』はいちばんミステリー 要素が強い内容。鮮やかな叙述トリックに騙されます。

 

『八月の天変地異』は辻村さんっぽいなぁというノスタルジックな内容。子どもの頃に空想上の友達がいた人は懐かしい気持ちになると思います。

 

ホラーといっても純粋に怖いのは一話目だけで、他はすべてホラーといよりも不気味さや不思議さを感じました。

 

謎に包まれている部分も多いですが、それを含めて現実と非現実の境界線の曖昧さに引き込まれます。

 

辻村さんならではのミステリー といろんな怖さが混ざり合い、不思議な魅力にあふれる一冊でした。

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この本の総評

読みやすさ
(5.0)
構成
(4.0)
ホラー
(3.0)
ミステリー
(3.0)
総合評価
(3.5)

 

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