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【No.112】〜扉を開く瞬間を描いた、光が差し込む5つの物語〜 『光待つ場所へ』 辻村 深月(著)

こんにちは、ぽっぽです。

今日の一冊はこちら↓

『光待つ場所へ』 辻村 深月(著)

辻村さんの短編小説集。

これまでに読んできたのは長編小説ばかりなので、新鮮な気持ちで読みました。

短編特有の物足りなさは全くなく、大満足の一冊。

やっぱり辻村さんの繊細な心理描写がとても好きです。

思いがけない再会もありますよ!

 

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本の概要(あらすじ)

「あのさ。自分が天才だって気がついたの、いつ?」

 

清水あやめ、大学二年生。

 

私が生まれて初めて味わった、圧倒的敗北感。

 

たった三分間のフィルムが私に見せた世界は、とても美しかった。

 

自分の感性に自信があった私を打ちのめすには、充分すぎるほどーー。(「しあわせのこみち」

 

文庫版書き下ろし一編を加えた、光を感じる五つの短編小説集。

3つの特徴

5つの物語

  1. しあわせのこみち
  2. アスファルト
  3. チハラトーコの物語
  4. 樹氷の街
  5. 冷たい光の通学路Ⅰ,Ⅱ

冷たい光の通学路のⅠは最初に、Ⅱは最後に位置しています。

 

<しあわせのこみち>

自分の感性に絶対の自信があった清水あやめが、大学のとある授業で出会った作品に、圧倒的敗北を感じる場面から始まる物語。

<アスファルト>

彼女と行くはずだった卒業旅行のベルリンにひとり訪れた大学生が、大切なことに気づく瞬間を描いた物語。

<チハラトーコの物語>

小さな頃から嘘で塗り固めた人生を生きてきた女性が語る、「本当」の物語。

<樹氷の街>

合唱コンクールの練習を通して、関わりのなかったクラスメイトの意外な一面を目の当たりにしていく物語。

<冷たい光の通学路>

遠く離れたふたつの小学校の風景と、ふたりの教師の物語。

扉が開く瞬間

さまざまな人たちの、<扉を開く瞬間>を描いた5つの物語。

満開の桜の中、新たな決意を胸に扉を開けた人。

居心地の良い闇を抜け出し、本物の光の中で生きていく覚悟を決めた人。

嘘の世界の住人が、本当の世界で自分の欲望と向き合ったとき。 etc…

彼らは自分ひとりで変わっていくわけではありません。

その変化には、必ず誰かとの出会いがあります。

繊細でリアルでときには残酷だからこそ、扉を開けて光が差し込む瞬間が、どうしようもなく綺麗でした。

特に<しあわせのこみち>の桜並木の美しさが、ずっと頭に残っています。

辻村さんの作品は、<光>を感じられる物語が多いね!

他作品との繋がり

辻村さんの作品といえば、他の作品との繋がりが特徴的ですよね。

それぞれ単体の物語として存在するのではなく、別々だった世界が繋がる瞬間がある。

それが徐々に広がっていって、ひとつの大きな世界を作り上げていきます。

私たちが見た彼らの人生は、その作品だけでは完結しません。

時を超え、場所を変え、思わぬところで再び彼らの姿を目にすることになります。

彼らはずっと、辻村さんの世界の中で生き続けているのです。

それがわかる瞬間のあの嬉しさは、他の作品では決して味わえないものですよね。

そして今作でも、思わぬ再会がありました。

この作品だけでも楽しめますが、関連する作品を読んでおいたほうがより楽しめると思います。

私もいくつかの作品はまだ読んでいなかったので、もっと後に読めばよかったなと少し後悔しています。

下記にその作品名と登場人物を書いておくので、事前に知りたい方だけポチッとしてくださいね。

読んでからのお楽しみにしたい方は、スルーしてね!

 

<しあわせのこみち>

作品名:『冷たい校舎の時は止まる』

登場人物:清水あやめ、鷹野博嗣

 

<チハラトーコの物語>

作品名:『スロウハイツの神様』

登場人物:加賀美莉々亜、赤羽環

 

<樹氷の街>

作品名:『凍りのくじら』

登場人物:理帆子、郁也、多恵さん

 

作品名:『ぼくのメジャースプーン』『名前探しの放課後』

登場人物:ぼく、ふみちゃん

 

※私が確認できたものを記載しましたが、他にも関連する作品があると思います。

本の感想

辻村さんの描く心理描写は、「あぁ、わかるなぁ」というレベルではなく、まさに「それ」という感じ。

 

心の傷や隙間を的確に突いてくるんですよね。

 

共感や感情移入を超えた何かがあって、「この子、私だ」と重なる部分が書き連なっている。

 

彼らの中に、自分自身を見てしまう瞬間が、必ずあるのです。

 

他の人には理解してもらえないような思いなんかも、全部全部、すくい取ってくれるのが辻村さんの魅力。

 

辻村さんの物語を読むと、いつも心をそっとなぞられているような感覚になります。

 

だからこそ、辻村さんの作品は良い意味で気軽には読めないのです。

 

今回読み始めて気づいたのが、今作は他作品のスピンオフだということ。

 

いくつかの作品は読了済みでしたが、読んでいない作品もあったので、それらを読んでからまたこの作品に帰ってこようと思います。

 

あの物語のあの子はこんなふうに成長したんだな。あの作品のあの人は苦手だったけど、実はこんな思いを抱えていたんだな。

 

そんなことがわかる度、なんだかとても感慨深い気持ちになりました。

 

すべての作品を読み終えたとき、どんな広い世界が待っているのかが楽しみです。

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印象に残った言葉(名言)

「世界を強く見るのには、能力がいる。感性という武器がいる」

 

「「人と違う」こと、「普通でない」ことにハマる。酩酊する。そして、この酩酊に周囲が気づいているかもしれないと脅える。時折、自重気味に思う。私はイタイ人種だろうか」

 

「感性を武器に世界から愛された私は、自分を取り巻くミニマムの環境や隣の誰かから愛されることを望むべきではない。孤独なのは当たり前だった。自意識と感性とともに、心中する覚悟を決めたのだ」

 

「許されるには、それで食べていくしかないのだ」

 

「誰かを好きになったり、自分の絵に必死になってしがみつくような、そんな世界の中で生きたい。彼らのようになりたい」

 

「人の悲しみや怒りに同調するのは、多分簡単にできる。でもね、相手が幸せになったとき、それを心から喜ぶのはすごく難しい」

 

「世界の当事者になんか、ならなくていいと思った」

 

「この世界には、たまに理不尽なひどいことがたくさんある。目を背けたくなるくらい、嫌なニュースもたくさんある。その中で生きていく。自分がそうしたいと思っていることに、気がついてしまった」

 

「嘘の物語を生きることで、犠牲にしたもの。本当のことと嘘のこと。どちらかを取ることで、どちらかを失ってきた」

 

「嘘つきは、謙虚でなければならないのだ。そして、嘘つきが取るべき責任は、私が覚悟していたよりもずっと思い」

 

「私たちが好きなものをどうか馬鹿にしないで欲しい。誰にも、そんな資格はない」

 

「人生は短いよ、トーコ。この際。欲望の名前をはっきりさせなきゃ」

 

「女子は強く、迷いながら、孤独に魂を燃やして生きていくものなのです」

 

「私、好きよ。作家になりたいとか、有名になりたいとかいう欲求以前にある『書いてみたい』って気持ち」

 

「世界と繋がりたいのなら、自分の力でそれを実現させなさい」

 

「泣けよ、と思う。お前、何をそんなに耐えて、呑み込んでるんだよ」

 

「女子って、好きな人作ると便利なんだよ」

 

「いいことでも嫌なことでも、どっちでも、よく覚えておくといいよ。それがどんなことでも、いつか、思い出せる日が絶対来るから」

この本の総評

読みやすさ
(5.0)
文章
(5.0)
雰囲気
(4.0)
読後感
(5.0)
総合評価
(4.5)

 

辻村深月さんの他の作品

【No.12】~個性豊かなクリエイターたちが集う、現代版トキワ壮~ 『スロウハイツの神様』 辻村 深月(著) 【No.65】〜大切な幼なじみの女の子を救うために闘うぼくの物語〜 『ぼくのメジャースプーン』辻村 深月(著) 【No.87】〜『スロウハイツの神様』から飛び出した、大人気作家チヨダ・コーキのデビュー作!〜 『V.T.R.』辻村 深月(著) 【No.90】〜誰もが知っている“素敵な道具たち”が繋ぐ、SF(少し・不思議)な物語〜 『凍りのくじら』辻村 深月(著)

 

>>その他短編小説はこちら

 

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