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【No.147】〜 “コロナ禍に読みたい” あらゆるものが消滅していく島を描いた、切なく儚い物語〜 『密やかな結晶』 小川 洋子(著)

こんにちは、ぽっぽです。

今日の一冊はこちら↓

『密やかな結晶』小川 洋子(著)

『博士の愛した数式』でお馴染みの小川洋子さん。

刊行は1994年ですが、再びこのコロナ禍で注目を集めている作品です。

2019年度「全米図書賞」翻訳部門、2020年度「英国ブッカー国際賞」最終候補作。

2018年には石原さとみさん主演で舞台化もされました。

日本だけでなく、海外からも注目されている作品です。

記憶狩りによって、あらゆるものが消滅していく島を描いた作品。

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本の概要(あらすじ)

「物語の記憶は、誰にも消せないわ」

 

記憶狩りによって、あらゆるものが消滅していく島。

 

その島の人々は、ひとつずつ、確実に、大切な記憶を失くしてゆく。

 

リボン、切手、香水、写真、薔薇、春・・・

 

小説が消滅してしまった世界で、それでもなお物語を紡ごうともがく「わたし」。

 

自分自身が確実に失われてゆく世界で、最後に残るものとはーー?

3つの特徴

あらゆるものが消滅する島

物語の舞台は、小説家の「わたし」を主人公に描かれた小さな島です。

その島に住んでいる限り、心の中のものが一つずつ、失われていきます。

例えば、“香水”が消えてしまった島では、それはいい匂いのする素敵なものではなく、ただの水に成り下がってしまう。

香水にまつわる思い出も感情も、全てが消滅してしまうのです。

そうやって島の人々は、少しずつ何かを失いながら生活をしています。

淡々と、静かに、“消滅”を受け入れる人々。

鳥が消えてしまった空に、薔薇が失われた庭園に、春の訪れない冬・・・。

どうしようもなく残酷な世界ですが、それでも人々は肩を寄せ合い、小さな幸せを噛み締めながら生きています。

その姿がとても温かくて切なくて儚かったです。

しかし、ある日記憶狩りによって奪われてしまったのは、「小説」。

図書館には火がつけられ、人々は家中の本を燃やしてしまいました。

「わたし」は消滅を淡々と受け入れようとしますが、編集者の「R氏」はそれを許してくれません。

「原稿を燃やしちゃいけない。君は小説を書き続けるんだ。そうすれば、紐は解けない」

小説が消えてしまった世界で、物語を書き続けようともがく「わたし」。

しかし、そんな彼女に追い討ちをかけるように、次々に消滅は進んでいきます。

物語を綴る左手、涙がこぼれる目、それが伝う頬。そして・・・

全てが消滅した世界で、最後に残ったものとは?

忘れない人たちと秘密警察

消滅が訪れると、人々は自然とその対象の記憶や感情を失ってゆきます。

しかし、記憶狩りによる<消滅>によってもなお、記憶を失わない人々もいるのです。

これは “忘れていく人”たちの「消滅の物語」が描かれている一方で、“忘れられない人”たちの物語でもあります。

そして、忘れることのできない者たちを徹底的に迫害する「秘密警察」という存在。

あらゆるものが消えてゆくこの島では、記憶を失わない人々の存在は不都合でしかないため、彼らは自らの手により抹消していくのです。

「わたし」の母親も記憶が消えない者であったが故に、秘密警察により粛清されてしまいました。

そして「わたし」の大切な人である編集者の「R氏」もまた、記憶を失わない者のひとり。

「僕には分るんだ。エメラルドの美しさも、香水の匂いも。僕の心からは、何も消えないんだ」

彼を迫害から守ろうと、自宅に隠し部屋を作って匿う「わたし」でしたが、ある日突然秘密警察が自宅に踏み込んできてーー?

「秘密警察」による迫害は、世界の歴史を彷彿とさせますね。

コロナ禍に読みたい

過去を振り返って描かれた作品ですが、とても現代的な作品でもあります。

このコロナ禍を生きる私たちにとって、大切なものがひとつずつ消滅していく島の光景にはどこか既視感を覚えました。

当たり前にあったささやかな日常が、突然奪われてしまった不条理。

致し方ない「自粛」や「不要不急」に、消滅に向かおうとしていた文化や芸術。

帰省をしない、旅行にも行かない、友人にも会わない、外食もしない・・・いくつもの「しない」という選択。

さまざまな不条理を受け入れざるを得ない私たちを、本作の“忘れていく者たち”に重ね合わせて読むことができます。

25年以上も前の作品がこうしてタイムリーな作品として脚光を浴びているわけですが、

小説は不変的なものではなく、時代の移り変わりによって様々に色を変えてゆくものなのだなと改めて思いました。

今だからこそ読んでほしい一冊です。

本の感想

ページを開いてすぐに「好きな小説だ」と確信した作品。

 

一気に読んでしまうのが勿体無くて、数日かけて少しずつ読みました。

 

読み終えてしまってなんだか寂しい気持ちです。(もう1回読もう)

 

世界観と雰囲気がとても素敵で、一見するとまるで絵本や童話のよう。

 

「ファンタジー」や「メルヘン」という言葉で表現したくなるような作品なのですが、実は歴史的側面を色濃く反映している作品でもあります。

 

著者を作家の世界へと導いた『アンネの日記』を彷彿とさせる場面も多く、実際にこの世界が経験してきた過去を紡いで描かれた物語のようにも感じました。

 

抗えない「消滅」に、理不尽な「迫害」。

 

最初は「消滅の物語」を描いているのだと思いましたが、最後まで読んでみてこれは「消滅しない物語」を描いているのかなと感じました。

 

「救いのない話」と表現している人もいますが、見方によって色んな感じ方ができる作品だと思います。

 

特にコロナ禍を経験している今の私たちだからこそ響く部分も沢山あると思うので、ぜひ今こそ読んでほしい一冊です。

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印象に残った言葉(名言)

「ただ消えてゆくだけの島で、こうして言葉で何かを作り出せるなんて、不思議だな」

 

「もし言葉が消えてしまったら、どうなるのだろう」

 

「忘れること、何も残らないことは、決して不幸ではございません」

 

「心には輪郭もないし、行き止まりもない。だから、どんな形のものだって受け入れることができるし、どこまでも深く降りてゆくことができるんだ。記憶だって同じさ」

 

「世の中が引っくり返ったって、これは絶対にわたし一人の所有物なんだと信じている物でも、実は案外あっさり自分から離れていってしまうものかもしれません」

 

「物語を書き続けたら、自分の心を守ることができるの?」

この本の総評

読みやすさ
(5.0)
文章
(5.0)
世界観
(5.0)
切なさ
(5.0)
総合評価
(5.0)

小川洋子さんの作品

【No.136】〜慎ましく生きる兄弟の一生を描いた、切なく優しい物語〜 『ことり』 小川 洋子(著)

 

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