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こんにちは、ぽっぽです。
今日の一冊はこちら↓
『この闇と光』服部まゆみ(著)
直木賞候補にもなっていたこの作品は、ジャンルでいうとミステリー小説に分類されるようですが、わたし的には大人のメルヘン × ミステリーかなと思いました。
この作品に関しては、何を書いてもネタバレになってしまいそうなので、内容について深く書かないようにします。
本の概要(あらすじ)
「むかしむかし、あるところに、盲目の小さな王女様がいました」
父上とともに森の奥深くに囚われている盲目の王女レイア。
父上からの深い愛と、美しい花やドレス、物語にかこまれてレイアは成長していく。
しかし、そんな愛と光に満ちた生活は、ある日突然終わりを告げるーー
美しく幻想的な世界にひそむ闇。虚構と現実。今まで信じていたものは一体・・・?
3つの特徴
幻想的で美しい世界
レイアが囲まれている世界は、とても美しく幻想的です。
薔薇色のドレス、中庭でのピクニック、クラシック音楽、たくさんの物語。
まさにそこは、おとぎ話の中のような世界です。
そんな世界でレイアは、すくすくと育っていきます。
指で文字を読めるようになり、数の概念を理解できるようになり、ピアノを弾けるようになる。
ずっと続くと思っていた日々。
しかし、ある日突然、世界は一変するーー
文学・美術・音楽などの芸術要素
この作品には、さまざまな物語や絵画、音楽などの芸術的要素が含まれています。
前半は物語や音楽。
「赤頭巾」「いばら姫」「白雪姫」「ラプンツェル」「小公女」「青髭」「嵐が丘」「罪と罰」「草枕」「デミアン」・・・
たくさんの童話や海外文学が、レイアの世界を彩ります。
中盤からはおもに絵画。
「ランブール兄弟」「レオナルド・ダ・ヴィンチ」「ハンス・ベルメール」「サルバドール・ダリ」・・・
主人公が憧れとして心に刻んでいた画家たち。
著者自身、現代思潮社美学校で銅版画を学んでいた経歴があり、芸術に長けている方のようです。
私は芸術方面はさっぱりですが、詳しい方はより深く物語を楽しむことができそうです。
幻想的な世界の崩壊からの大どんでん返し
幻想的な世界から突然、物語は一変します。
ここで言えるのは、これだけです。
予測不可能とまでは言いませんが、裏を読まずに純粋に読んでいくと、まさかの展開に衝撃を受けること間違いなしです!
本の感想
著者の作品ははじめて読みましたが、今までに読んだことのない世界観と構成でした。
前半はおとぎ話のようなメルヘン要素満載で、幻想的な世界で成長していくレイアの話。
中盤は、前半を根幹からひっくり返してしまうほどの大どんでん返し。
後半は、中盤からのさらにどんでん返し。
最後まで一気に読んでしまいました。
個人的には、最後がちょっと弱いかな・・・。
ミステリー好き、海外文学好き、メルヘン好き。いろんな人が楽しめる要素が詰まった一冊です。
印象に残った言葉(名言)
「目の前ではなく、頭の中で、青が広がり、黄色が広がり、赤が広がる」
「世界は光と闇で出来ている。それを薄々知りながら、それでもなおかつ決して闇を視ようとしない人々・・・注意深く避け、無視しようとする人々のことだ。それは自身の暗い部分から、目を逸らすことでもある。そして一旦それに気づいた者は、もう光だけを視ることはできない」
「闇の中に在って、世界は何と美しく輝いていたことだろう!」
「いとしい娘・・・私のラプンツェル・・・厭わしい世も、世俗に塗れた人間どもも、おまえを穢すことはできない。ここは・・・離宮・・・ネヴァーランドの魔法の塔だ」
「そこに居るのはアブラクサス・・・闇と光の神だった」
この本の総評
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