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こんにちは、ぽっぽです。
今日の一冊はこちら↓
『遠くの街に犬の吠える』吉田篤弘(著)
「遠吠え」から始まり、いくつもの偶然によって紡がれてゆく物語。
今回はほんのりと「恋」についても描かれてて、これまでの作品とは少し雰囲気が違って新鮮でした。
黄昏時に読みたい一冊。
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本の概要(あらすじ)
「音で小説を描いてみませんか」
編集者の一言から始まった、いくつもの偶然によって紡がれてゆく、ささやかな冒険の物語。
しみついた過去の音、消えゆく言葉、読めない手紙と、秘められた恋ーー
“彼らには聞こえているんです。われわれには聞こえない過去の音が”
3つの特徴
主な登場人物
本作は「音」をめぐる長編小説。
タイトルの通り「遠吠え」というのがひとつのテーではありつつも。
辞典、小説、鴉天狗の詫び状、千通の恋文……と、遠吠えから始まった物語は、変幻自在に姿を変えてゆきます。
主な登場人物は、以下の四人。
- 小説家の吉田さん
- 音響技術者の冴島君
- 辣腕編集者の茜さん
- 代書屋の夏子さん
そして実際には登場しないものの、回想という形で登場し、彼らを結びつける「白井先生」。
職業は違えど、全員が「言葉」を、遡れば「音」を集めているという点で共通しています。
(冴島君曰く、世界は音で出来ていて、そもそも言葉は音からつくられているそう)
もうひとつ重要な共通項は、みんながかつて白井先生の”弟子”だったということ。
過去の音や消えゆく言葉を拾い集め続ける彼らは、いくつもの偶然により繋がってゆきます。
バッテン語辞典
白井先生は某出版社の辞典編集部に所属する編集者。
先ほど主人公たちを”弟子”と言ったのは、彼らが学生時代に白井先生の下でアルバイトとして働いていたからです。
(なんと先生に教えを乞うた弟子は、総計百二十名にも上るそう…!)
本書も印象的な言葉がたくさん登場しますが、中でも興味深いのが「バッテン語辞典」。
白井先生が通常業務以外にコツコツと取り組んでいたのが「バッテン語辞典」の編集でした。
「バッテン語辞典」を一言で説明するなら、<辞典から省かれてしまった言葉たちの辞典>。
つまり、古い言葉や使われなくなってしまった言葉、消えゆく言葉なんかを拾い集めたものです。
見慣れない言葉ばかりが連なっている辞典なんて!!
実際にあったら間違いなく購入するでしょう。
吉田さんの作品は「ある」ものよりも「ない」ものに、「未来」よりも「過去」に焦点を当てていて、そこがとても好きです。
千通の手紙と秘められた恋
遠吠えから始まった物語は、しだいに白井先生の「秘められた恋」の物語へ。
先生がとある女性に送った千通の恋文をめぐる、ちょっとしたミステリーのようなお話になっています。
主人公たちが(正確には茜さんが)先生の恋文をこっそり盗んできて読んでしまう場面があるのですが、内容がまさかの煎餅と羊羹の話だったのがちょっと笑えました。
恋文というからにはもっと艶っぽい内容を想像していたのに、まさかの色気より食い気とは!
物語の詳細を書くのはいささか無粋だと思うので、読んでからのお楽しみということで。
本の感想
吉田さん独特の世界観が漂いつつも、これまで読んだ作品とは少し雰囲気が異なる一冊。
レトロで幻想的な空気を感じつつも、他の作品より少しだけファンタジー側ではなく現実側に近いというか。
主人公が著者と同じ苗字でしかも小説家、というのも関係あるかもしれませんが。
ついつい主人公に著者の面影を探しながら読んでしまいました。(もちろんあくまで想像ですが)
本書は「音」をテーマにした作品ではありますが、「恋愛小説」的側面も持ち合わせていて。
あまり恋愛小説を好まない私ですが、吉田さんの描く恋愛は全く抵抗感がありませんでした。
切ないけれど優しく、穏やかで澄んでいて。
私と同じく恋愛小説苦手勢にも自信を持っておすすめできるくらい、とても素敵な物語でした。
本の中ではゆっくりと静かに時間が流れてゆき、読んでいる最中はもちろん、読後も本の中のゆったりとした余韻が残り。
慌ただしい日常を束の間忘れて、心も頭もなんだか落ち着きます。
ちなみに、作中に登場する「烏天狗の詫び状」は実在するのかしないのか?
読後の楽しみとして、ぜひ調べてみてくださいね。
(私は気になりすぎて読んでいる最中に調べてしまいましたが笑)
休日の黄昏時に、ぜひ読んでみてください。
印象に残った言葉(名言)
「遠吠えをひろっているんです」
「君は君で、言葉を探す仕事をするわけですね」
「とはいえ、君、そこに少しでも人の意思が加わったら、偶然と思われたものは、軒並み必然にひるがえる」
「言葉の内側にあるものを正確に取り出してみせるのがぼくの仕事です」
「いいですか、吉田君。本に書かれてあることがすべてじゃないんです。本の中から学べることは多々ありますが、普通に人が人として生きてゆく中に、ぼくたちの知りたいことはほとんど全部あります。ただし、それは漠然と日々を過ごしていたら気がつきません」
「こちらにわからないからといって、そこに意味や物語がないと決めつけるのは無粋である」
「読めてしまえばそれまでで、読めないからこそ、物語は自在に伸縮して、どこまでも変幻しうる」
「そこにあるとわかっているけれど、どうしても聞けない声というのがあるんですね」
この本の総評
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