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【読書記録】2024年11月に読んだ本一覧(計4冊)

こんにちは、ぽっぽです。

2024年11月に読んだ本を一覧にまとめました。

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今月読んだ本

今月読んだ本は全部で4冊。

『汚れた手をそこで拭かない』芦沢央(著)

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5つの物語が収録されているイヤミス短編集。

中でも一番リアルでスリリングなのは、小学校教員が主人公の「埋め合わせ」。

夏休み中にプールの水を大量に流失させてしまった主人公が、なんとかミスを隠蔽できないかと奔走するがーー?

という切迫感あふれるサスペンスですが、ここで登場するもう一人の教員の不気味さが秀逸。

以前読んだ『許されようとは思いません』でも印象的だったのは、誤受注をしてしまった営業マンの物語。

やはり仕事上での失敗というのは一番身近なだけあって、決して他人事とは思えない恐ろしさがあります。

職場でのミスを、なんとか隠したい、大ごとにしたくないという気持ち。

速やかに上司に報告するべきだとわかっていながらも、一瞬頭をよぎってしまう甘く愚かな考え。

仕事のミスで肝を冷やした経験がある人は、共感できてしまう部分もあるのではないでしょうか。

じわじわと追い詰められる怖さと、だんだんと絡め取られていくような息苦しさ。

読んでいる最中は逃げ出したくなるほどなのに、読み終えるとつい次の物語に手を伸ばしてしまう中毒性があって。

でもなんだかこの感覚がクセになるんですよね……

イヤミスを定期的に摂取したくなる人におすすめの一冊です。

『私たちが星座を盗んだ理由』北山猛邦(著)

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タイトルと表紙から可愛らしいファンタジーを想像していましたが、実は驚きの展開が待っているイヤミス短編集。

おまじないに取り憑かれた女子高生の物語「恋煩い」や、絶海の孤島を舞台に描かれたダークファンタジー「妖精の学校」など。

テイストの異なる5つの物語が収録されていて、どれも読み心地は軽いながらも、最後にガラッと印象を覆される作品です。

中でも印象的だったのは「妖精の学校」。

謎が謎のままで終わるという一番スッキリしない物語ですが、最後は得体の知れない不気味さにぞわぞわしました。

ラストの一文がヒントとなっていて、そこからどう解釈するのかは読者にゆだねられています。

(私は数字が何を意味しているのかはわかったものの、そこからは検索頼りに)

これ初見で意味がわかった人はいるのでしょうか?もしいたらすごい!

ダークファンタジーやイヤミス、どんでん返しが好きな方はぜひ読んでみてください。

『正欲』朝井リョウ(著)

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多様性、ダイバーシティ。

この言葉を目にするたび、耳にするたび、ほんのりと感じていた違和感の正体。

それが、私の想像を遥かに超える形で、ここに描かれていました。

世界の「正しい循環」から外れてしまった人は、どう生きればいいのだろう。

受け入れてほしいわけではないし、受け入れられるとも思っていない。

ただ放っておいてくれればいいだけなのに、「まともな人たち」はそれを許してはくれない。

けれど多数派に属する人たちもまた、それぞれに生きづらさを抱えていて。

どこまでいっても私たちは「正欲」から逃れることはできないのだという絶望を、嫌というほど突きつけられる作品です。

そして私にとっては、これまで自分の想像力の及ぶ範囲でしか物事を見てこなかったという事実を、思い知らされた作品でもあります。

すごく意地悪で容赦ないけれど、ハッとするほど美しい瞬間や、希望を感じさせてくれる場面もちゃんと描かれていて。

この作品のキーワードとなっている「繋がり」。

なんだかチープに聞こえてしまうこの言葉が、本書ではまるで祈るような切実さで響いてきます。

これまで自分の中で言語化できていなかった、多様性という言葉。

それがこの言葉と出会ったことで、ストンと心の中に落ちてきました。

「自分にはわからない、想像もできないようなことがこの世界にはいっぱいある。そう思い知らされる言葉のはずだろ」

大袈裟ではなく世界の見え方が大きく変わるこの物語を、まだ読んでいない方はぜひ。

『銀座「四宝堂」文房具店』上田健次(著)

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銀座のとある老舗文房具店を軸にして、人情味あふれるストーリーが広がっていく物語。

いろんな事情を抱えるお客たちが主人公として描かれている、短編形式の小説でした。

祖母への贈り物に悩む新入社員、好きな人に想いを伝えたい女子高生、かつての恩人に感謝を伝えたい寿司職人……

それぞれ抱える事情は異なりますが、そんな彼らの背中を押してくれるのは、様々な文房具と四宝堂の店主。

文房具メインのお話というわけではありませんが、それぞれの物語に重要となるアイテムとして登場してくれます。

私は昔から文房具が好きなのですが、実は使うよりも眺めるのが好きで。

懐かしい商品を見つけて嬉しくなったり、工夫が凝らされた新商品に驚かされたり、ただただその美しさに感嘆したり。

ボールペンやノートなどの実用的な商品も、万年筆や革の手帳などの高級感のある商品も。

それぞれに違う魅力があって、見ているだけで楽しいんですよね。

私は万年筆を人に贈ったことがあるのですが、そのときの気持ちや一緒に選んでくれた店員さんのことを、本書を読みながらふと思い出しました。

ストーリーとしてはただただ優しくて心温まる物語、という感じなので少し物足りなさはあるかもしれません。

文房具がお好きな方や、ハートフルな物語にほっこりしたい方は読んでみてください。

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