ホラー

【No.190】『ほねがらみ』の著者が描く民俗学カルトホラー!『異端の祝祭』芦花公園(著)

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こんにちは、ぽっぽです。

今日の一冊はこちら↓

『異端の祝祭』芦花公園(著)

最近蒸し暑くなってきたので角川ホラー文庫の小説を。

「試しに読んでみるかなぁ」くらいのテンションで読み始めましたが、ぐいぐい引き込まれました。

「怖い」というよりも「気持ち悪い」感覚がねっとりつきまとう作品。

ホラーが苦手な人でも読めると思います!

文庫本はこちら⬇︎

電子書籍はこちら⬇︎

 

本の概要(あらすじ)

「ケエエエエエエコオオオオオオオ」

就職浪人中の島本笑美・23歳。

彼女は子どもの頃から、生きている人間とそれ以外の区別がつかない。

ある日ダメ元で受けてみた大手企業「モリヤ食品」の面接中に、ヤンと名乗る若社長に気に入られた笑美。

その場で採用が決まり、早速翌日から<研修>を受けることに。

しかし、ヤンに導かれて参加させられたのは謎の儀式でーー。

異様な雰囲気漂う中で笑美が見たものとは・・・?

「カクヨム」発の驚異の新人作家が放つ、民俗学カルトホラー!

 

3つの特徴

「カクヨム」発のホラー小説

芦花公園(ろかこうえん)さんをご存知ですか?

私は本書で初めて知ったのですが、小説投稿サイト「カクヨム」の読者の方はご存知かも知れませんね。

このカクヨミに投稿された作品のひとつ『ほねがらみ』が幻冬舎より出版され、2021年にデビューを果たしたそうです。

今回読んだ『異端の祝祭』は『ほねがらみ』から7年後の物語。

・・・・・・というのを、読了後に知りました。

これから読むという方は先に『ほねがらみ』を読んでもいいかもしれませんね。

ただ、私のように単体で読んでも特に問題はないのかなと。

「初めての作家さんでホラー系だしちょっと心配」という慎重派の方は、先に「カクヨム」で読んでみるのもアリだと思います。

『ほねがらみ』と『異端の祝祭』は一部試し読み(編集・校正前)で公開されているので。

 

先の気になる展開

自分に自信が持てず、就職活動にも失敗し続けてきた島本笑美。

そんな彼女が何故か大手企業から内定をもらい無事に就職を果たします。

しかし、研修と称して参加させられたのは謎の儀式でーー。

という異様な雰囲気漂う序盤にガッツリと引き込まれてしまいました。

ヤンは何者なの?なんで笑美に執着するの?あの不気味な儀式は一体……?

と次々に湧き上がる疑問。先に見えない展開が気になりすぎます。

そして物語が大きく動き出すのは、笑美の兄が元同級生の佐々木るみに相談をするあたりから。

心霊案件事務所を運営しているるみは助手の青山とともに、早速調査に乗り出します。

序盤は笑美視点でしたが、中盤以降はほぼこの二人の視点で物語は進行。

最初は笑美が主人公かと思いましたが、おそらく「るみ」のほうが主人公なのだと思います。

がっつりホラー系なのかと思いきや、意外とそうでもなく。

ホラー、カルト、ミステリー、サスペンス、SF、深層心理……といろんな要素が詰め込まれています。

ちなみに、本書を読んで「別の作品と繋がりがあるのかな?」と気づいた勘の良い方。

いますか?いますよね。

そんな方におすすめしたいのは『海が滴る』と『星の瞬く』。

こちらは今のところ「カクヨム」で全編公開されているので、興味がある方は読んでみてください!

本書ではダークヒーロー的な立ち位置の”るみ”ですが、他の作品の方ではもっとぶっ飛んでいます。

 

民俗学要素は薄め

本書は「民俗学カルトホラー」ということで、民俗学と宗教とホラーを題材にした作品。だと思います。

ただ、民俗学についてはちょっと弱めなのかなと。

もう少し民俗学要素の強い作品を読みたいには、澤村御影さんの『准教授・高槻彰シリーズ』をおすすめします。

怪異や都市伝説の面から民俗学について扱っていて、ライトなミステリーという感じで読みやすいかと。

ただしホラーではないので怖くはありませんが。

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本書でベースになっているのは民俗学よりもむしろ「カルト」。

キリスト教をベースにしている新興宗教のようですが、正直よくわからない部分もありました。

けれどその理解できなさが余計に不気味で気持ち悪い感覚がまとわりつきます。ねばねば。

なんというか、自分のいる世界とは違う異世界を見せられているような感じでした。

 

本の感想

想像していたよりも面白かった!というと失礼かもしれませんが、実際のところ読み始めると止まりませんでした。

先へ先へと手が延びたのは、前半から中盤にかけて。

特に前半はホラー味が強く、得体の知れない不気味さにゾワゾワとしながら読みました。

ただ、何もかもわからない状態から謎が明かされ始めた途端にちょっと失速(物語ではなく私の手が)。

勝手に霊能力と見せかけて実は……というドラマ『TRICK』(「お前たちのしたことは全てまるっとお見通しだ!」)のような展開を想像していたので。

まさか超能力バトルになるとは。

こうなってしまうともう不気味さや怖さなんてものはなくなり、ただただ異能の戦いを眺めているだけに。

突っ込みどころは多いものの、掴みが良かっただけにちょっと残念でした。

いろんな要素を含んだ作品ですが、総括するとホラー味のあるエンタメ小説(あるいはライトノベル)という感じでしょうか。

このごちゃごちゃ感を”魅力”ととるか”詰め込みすぎ”ととるかで印象は変わりそうです。

こちらはシリーズ化されたようで、次作は今年発売されたばかりの『漆黒の慕情』。

おそらく佐々木事務所の二人がまた活躍してくれるのだろうと思います。

気になった方はぜひ読んでみてください!

印象に残った言葉(名言)

「宗教がセミナーになろうと、役割はきっと同じだ。心の拠り所だ。しかし、あくまで拠り所であって、全てを預けてはいけない。普通の人はそれが分かっているが、ハマっている人は違う。信じているものが、そのままその人のアイデンティティになってしまっている」

 

「心の拠り所として宗教というものがあるのは分かります。でも、信じるものは選ぶべきです。その男は、あなたを苦しめてきたものと何も変わらない」

 

「腐臭の漂う、猥雑で稚拙な押し入れの宮殿を思い浮かべる。あの宮殿の中では、私は万能だ。ヤンの信じる神のように、あの宮殿の中でだけは。私は押し入れの女王だ」

 

「人を罰するのも許すのも神だけです。あながしているのはただの暴力だ。あなたは気に入らないことがあると癇癪を起こす幼稚な子供と同じです、神の子では有り得ない!」

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