※当サイトはアフィリエイト広告を利用しています
こんにちは、ぽっぽです。
今日の一冊はこちら↓
『十三番目の人格 ISOLA』貴志祐介(著)
この作品は、『青の炎』『悪の教典』などで有名な、貴志祐介さんのデビュー作です。
2000年1月に映画化もされていたようです。
本の概要(あらすじ)
「この子は、多重人格なんだ・・・!」
人の感情を感じとることができる能力を持つ、賀茂由香里。
由香里はその能力を活かし、阪神大震災後の被災地で、心のケアのボランティアを行っていた。
そこで出会った高校生の少女、森谷千尋。
由香里は千尋のなかにいくつもの人格が存在していることに気がつく。
やがで由香里は、千尋のなかの13番目の人格「ISOLA」の出現に、強い恐怖を感じ・・・
3つの特徴
主人公の能力
主人公の由香里は、人の心を自由に読むことができる、いわゆるテレパスとは違います。
彼女は思考を読むのではなく、相手の心から発散される感情の波動を感じるのです。
他者に「共感する」能力が極限まで高いともいえます。
彼女のように、相手の感情を読み取る特殊な能力を持った人間を「エンパス」といいます。
生まれたときからこの能力を持った彼女は、その力のせいで、想像を絶する苦しみを抱えながら生きてきました。
しかし、彼女はこの能力を活かして被災地のボランティアに励み、彼女のおかげでたくさんの人が救われたのです。
そんな彼女が被災地の病院で出会ったのが、解離性同一性障害(多重人格障害)を持つ、高校生の千尋。
千尋の悲惨な状況を知った由香里は、スクールカウンセラーと協力して、千尋を救おうと決意する。
しかし、千尋の13番目のペルソナである「ISOLA」の出現により、物語は予想を遥かに超える展開へとむかうのだった・・・
心理学の専門的知識
物語の序盤は、専門知識の説明的文章が多いです。
由香里のエンパスの能力や千尋の解離性同一性障害など、心理学の分野の話になってくるので、
興味がない人や全く知識がない人は、読みづらく感じるかもしれません。
最初は専門知識も交えながら解離性同一障害と向き合っていたのに、途中から方向性の違う話になっていったのが残念でした。
個人的には、解離性同一障害について、最初から最後まできちんと書いてほしかったです。
少女のなかにひそむ13のペルソナ
千尋のなかには、なんと13ものペルソナ(人格)があります。
年齢、性別、性格。それぞれ全く異なったペルソナがひとりの少女のなかに存在するのです。
解離性同一障害は、激しい苦痛や耐えがたい体験による心的外傷などによって、ひとりのなかに複数の人格が存在するようになることです。
自己防衛のために、苦痛を負うための別の自我が形成され、もとの自我に戻れずに独立して存在してしまうのです。
千尋の中にあるペルソナにはそれぞれ名前がつけられています。
「瞭子」「陶子」「瞳」「幸生」「忍」「悠子」・・・そして、13番目の「磯良(ISOLA)」
名前に使われている漢字の意味が、そのまま彼らの性格を表しています。
例えば8番目の人格である「忍」の漢字の意味は、「こらえる、がまんする、むごい」。
「忍」はつらい状況を耐え忍ぶための人格として存在するのです。
ではいったい、「磯良(ISOLA)」はどういう意味なのか?
雨月物語『吉備津の釜』に登場する「磯良」からとってきた名前だと、由香里は思っていたのだがーー
本の感想
貴志祐介さんの作品は、『青の炎』『クリムゾンの迷宮』『新世界より』などの、ミステリーやSF小説は読んだことがありますが、ホラー系の小説ははじめて読みました。
得体のしれない怖さみたいなものはありますが、個人的にはそこまでの怖さは感じませんでした。
あまりにも怖いのは苦手だけれど、少しゾッとするくらいなら大丈夫、という人におすすめです。
<よかったところ>
・多重人格だけでなく、他の要素も組み合わせたオリジナリティがある
・難しい多重人格について、主人公のエンパスの能力を通してみることにより、わかりやすくなっている
・13番目のペルソナ「ISOLA」の正体が、想像の遥か上をいく
<いまいちだったところ>
・ところどころで感じる、物語の進め方の強引さと違和感
・いきなり入ってくる恋愛要素に、急すぎる展開の不自然さ
この本の総評
貴志祐介さんの他の作品
✳︎『鍵のかかった部屋』シリーズ⬇︎
【No.109】“防犯探偵シリーズ第一弾” オフィスビルで起きた密室事件の謎を暴け!『硝子のハンマー』 貴志 祐介(著) 【No.110】“防犯探偵シリーズ第二弾” 旧家で起きた少女殺人事件の謎を暴け! 『狐火の家』 貴志 祐介(著) 【No.111】“防犯探偵シリーズ第三弾” 自殺?計画殺人?最高難度の密室事件を暴け! 『鍵のかかった部屋』 貴志 祐介(著)
コメントを残す