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【No.71】〜人間の闇を描いた、ひとかけらの救いもない物語〜 『白光』連城 三紀彦(著)

こんにちは、ぽっぽです。

今日の一冊はこちら↓

『白光』連城 三紀彦(著)

 

<注意>

この物語は人間の心の裏側の醜さを隠すことなく書いたミステリーです。

どんでん返しなどあはありませんが、非常にあなたを驚愕させる展開が待ち受けています。

覚悟が出来た方から本編にお進み下さい。

 

ほんとうに救いのない内容ですが、巧妙すぎる構成に先へ先へと闇の中へ進んでいってしまいました。

 

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本の概要(あらすじ)

ある夏の暑い日に起きた、ひとつの事件。

 

夫と娘、舅と暮らす家の庭に埋められていたのは、まだ幼い姪だった。

 

何者かに殺害され、庭のノウゼンカズラの木の下に埋められていたのだ。

 

犯人はいったい誰なのか?目的は?

 

次第に明らかになっていく、家庭の闇と驚愕の事実。

 

最後まで見破れない、事件の真実とはーー?

 

「ある事件の犯人と真相をみつけ出す」という大筋は通常のミステリー と変わりませんが、構成や展開はなかなかトリッキーです。

事件に関係のある登場人物たちの独白で語られる物語。目まぐるしく二転三転する展開。

「え?じゃぁやっぱり犯人は・・・ん?この人が言っていることが本当なら・・・むむ?この人の話が嘘だとしたら・・・」

と視点が変わるごとにひっくり返る”事実”に戸惑いながらも、予想を立て、ひっくり返され、また予想を立て・・・と頭の中は渋滞状態。

ひとりひとりの隠された闇が明かされていくにつれ、本当に救いのかけらもない方向へと足を進めていくことになります。

 

※ここからは内容について触れるので、若干のネタバレが含まれます。未読の方はご注意ください。

3つの特徴

ふたつの家族

”認知症気味の舅・桂造と、製薬会社に勤める夫・立介、専業主婦の聡子、娘の佳代

”聡子の妹・幸子、夫の武彦、娘の直子

この二組の家族を中心に物語は展開していきます。

カルチャーセンターに通っている幸子は、たびたび姉の聡子の家に、娘を預けにきます。

自分とは真逆の派手で自由な幸子を、幼い頃から疎ましく思ってきた聡子。

幸子が若い男と浮気をするためにカルチャーセンターに通っていることを知ってしまった彼女は、抵抗を感じつつも、そんな気持ちを心の奥に隠して直子を預かります。

その日佳代を歯医者に連れて行く予定があることを幸子に話すと、直子も一緒に連れて言ってと頼まれた聡子。

しかし、佳代から「直子ちゃんを歯医者に連れて行くのこわがってかわいそうだからやめよう」と提案され、迷いつつも聡子は家で舅と留守番をさせることにします。

そしてこの何気ない決断が、結果的に悲惨な事件を招いてしまうことに・・・。

 

それぞれが抱える「闇」

ひとりの少女の死をきっかけに、登場人物たちの「闇」が徐々に明らかになっていきます。

どこにでもあるような平凡な家庭。その裏に隠された嘘や秘密。心の中でくすぶる本音。

これまでだって、この家が普通で平穏だったことなど一度もなかったのだ。みんなそのふりをしていただけだ・・・。

私が最後まで一貫して感じていたのは、誰一人としてつながりを感じられないこと。

たとえ家族でも、そこからはどこまでも「他人」という感じが拭えません。

「家族であっても所詮は他人」という冷徹なまでの現実をとことん突きつけられます。

 

「事実」と「真実」

この物語を読むと、「事実」「真実」は必ずしも同じではないということがわかります。

登場人物たちがそれぞれに語るのは、その人から見た「事実」であって、「真実」ではないのです。

そこを上手くついて、ミスリードで読者を間違った方向へと導き、どんでん返しにつなげています。

「事実」は「真実」とは一致しないということ。これは物語の中だけでなく、現実世界でも言えることだなと思いました。

ある出来事について語られることは、その人から見た「事実」なだけで、個々の経験や価値観などによっていくらでも歪められるものだということ。

自分が思っている「事実」の裏には全く違う「真実」が隠されているかもしれないということ。

それを忘れてはいけないなと思いました。

 

本の感想

表紙に書かれていた「この物語に救いなんてひとかけらもない」という文章に惹かれ、本屋に行くたびに気になっていたので読んでみました。

 

ほんとうに救いはひとかけらもなかったです。

 

全く内容を知らない状態で読んだので、乙一さんの『GOTH』的な物語を想像していたのですが、全然違いました。

 

『GOTH』で描かれている「闇」は特定の人間の闇を描いたものですが、本書の「闇」は誰もが心に裏に隠している残酷さや醜さを描いたものでした。

 

私がこの物語の中で最も救いがないと思ったのは、登場人物の誰ひとりとして少女の死を悲しんでいないこと。やけに冷静に分析していたり、自己保身に奔走したり。その様子には異常な不気味さが漂っています。

 

内容自体は残酷で救いはありませんが、巧妙なミスリードやどんでん返しの展開が好き!という方はぜひ読んでみてください。

 

 

 

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【No.46】~人間の心の残酷な部分に惹かれる、少年少女の物語〜 『GOTH 夜の章』 乙一(著) 【No.47】~深い闇にとりつかれた犯人と少年の物語〜 『GOTH 僕の章』 乙一(著) 【No.48】~ある場所へ記念写真を撮りに行く少女の物語〜 『GOTH 番外編〜森野は記念写真を撮りに行くの巻』 乙一(著)

 

この本の総評

読みやすさ
(3.0)
伏線
(4.0)
どんでん返し
(5.0)
(4.0)
総合評価
(4.0)

 

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