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こんにちは、ぽっぽです。
今日の一冊はこちら↓
『楽園のカンヴァス』原田マハ(著)
アンリ・ルソーの幻の名画をテーマに描かれた、原田マハさんのアート小説。
絵画ミステリーでもあり、エンターテインメントとしても楽しめる一冊でした。
原田マハさんのアート系の小説に挑戦したい方にもおすすめな作品です!
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本の概要(あらすじ)
「あなたの力で、なんとしても奪っていただきたいのです。ーー『夢』を」
大原美術館で監視員として働く早川織絵。
ある日彼女のもとに舞い込んだ、とある重大な依頼。
それは、MoMAからルソーの『夢』を借りる交渉役になってほしいという驚きの内容だった。
瞬時に頭をよぎったのは、忘れもしない十七年前のあの七日間。
彼女はかつてルソー研究者として“幻の絵画”の鑑定対決に挑んでいたのだーー。
アートへの情熱があふれる、第二十五回山本周五郎賞受賞作。
3つの特徴
現在編:倉敷
本書は現在→過去の二部構成で描かれる物語。
現在編は2000年の倉敷、大原美術館にて幕を開けます。
第一部の主人公は四十三歳の早川織絵。
かつてはパリで美術研究をしていた彼女ですが、今は大原美術館で監視員をしながら、母と高校生の娘とともに岡山で暮らしています。
そんな彼女のもとに突然舞い込んできた、とある依頼。
それは、アンリ・ルソーの大規模展覧会のために、MoMAからルソーの『夢』を借りる交渉役になってほしいという内容でした。
(※MoMA=ニューヨーク近代美術館)
なんでも、MoMAのチーフ・キュレーターであるティム・ブラウン氏が「オリエ・ハヤカワを交渉の窓口にせよ」と言っているのだそう。
「オリエ・ハヤカワが、この企画の交渉人になるならばーーMoMAは『夢』の貸し出しを検討することを約束しよう」
『夢』というのは、アンリ・ルソー最晩年の代表作であり、MoMAのコレクションの中でも最も人気の高い作品。
つまりは門外不出のMoMAの至宝を借り受けるという、超高難易度のミッションを任されたというわけですね。
一体なぜ彼女がそんな大役を任されたのか?
一介の監視員だと思っていた織絵の過去には、実はとんでもない秘密が隠されているのではないか?
という期待と謎が入り混じる幕開けですが、第一部はここまで。
過去編:ニューヨーク
そして第二部・過去編は1983年のニューヨークへ。
織絵に代わり、若かりし頃のティム・ブラウンの視点で物語は展開していきます。
ある日、アシスタント・キュレーターとしてMoMAで働くティムのもとに届いた、宛名違いの手紙。
差出人は伝説のコレクター、コンラート・バイラー氏の代理人。
その内容は、バイラー氏が所有する“アンリ・ルソーの名画を調査してほしい”という驚くべき依頼でした。
宛名こそティムのものに違いありませんが、これは一文字のミスタイプで、本来の宛名は“トム”。
おそらくこれは、彼の上司であるトム・ブラウン宛てに送られてきた手紙です。
しかしこれを千載一遇のチャンスと捉え、上司には内緒でスイスのバーゼルへ向かったティム。
そこで出会ったのは、もう一人の鑑定士として呼ばれていたルソー研究者、オリエ・ハヤカワでしたーー。
鑑定対決
バイラー邸でティムと織絵が目にしたもの。
それはアンリ・ルソーの幻の絵画。『夢』によく似た『夢をみた』でした。
この絵が真作なのか贋作なのかを判断してほしい、というのがバイラーからの依頼。
しかも勝者には『夢をみた』の取り扱い権利を譲渡する、というのです。
つまりは「勝ったほうにこの絵をくれてやる」ということなのですが、これには織絵もティムも驚きを隠せません。
鑑定対決というワクワクする展開なのですが、重要なのはここから先。
鑑定の材料として登場した“一冊の古書”が物語を大きく動かしていきます。
「ここに、七章から成る物語が書いてある。それを一日一章、読んでほしい。そして、七日目に判断してもらう。この作品が真作なのか、贋作なのかを」
作品を調べるだけでなく「物語」を読み進めることによって真贋を判断せよ、という条件付きというわけですね。
作中作として挿入されるその物語の舞台は、1906年のパリ。
ルソーの晩年が詳細に描かれているその物語は、いったいなんなのか?
史実なのか、創作なのか。そもそも作者は誰なのか。
さらには『夢をみた』自体にもある重大な秘密が隠されていてーー?
という、謎が謎を呼ぶアートミステリーに突入します。
本の感想
背景に色々な事情や思惑が絡んでいますが、それでも見ていて清々しかった鑑定対決。
織絵とティムはライバルでもありますが、ルソーと彼の絵をこよなく愛する同士でもあるんですよね。
地位や名誉のためでなく、ただ目の前の絵画に夢中になって情熱を燃やす姿にはゾクゾクさせられました。
最初こそライバル意識むき出しの彼らですが、対決が進むにつれて徐々に心を通わせていく様子も見どころのひとつですね。
スリリングな展開やミステリーとしての面白さもさることながら、一番の魅力はやはり織絵とティムのアートに対する純粋でひたむきな姿勢。
ルソーの絵画をめぐり、独自の分析や情熱をぶつけ合う彼らの会話もとても刺激的でした。
一枚の絵画をめぐる物語ですが、テーマにしているのは絵画そのものではなく、アートに寄り添う人たちの“情熱”。
実際にキュレーター経験を持ち、MoMAで働いていたこともある原田マハさんだからこそ描けたアート小説なのかなと感じました。
絵画に興味がなくてもここまで惹き込まれてしまうなんて、本当に予想外で。
試しに読んでみようかなくらいの気持ちで読み始めたのに、びっくりするほど夢中になってしまいました。
芸術方面に疎い私が読んでもこれだけ惹き込まれてしまうのだから、アート好きの方にはたまらない一冊だと思います。
芸術には詳しくないから、アートには興味がないから……と躊躇している方には、
「そんな心配は全くいらないからぜひ読んでみて!」と声を大にして言いたくなる作品です。
キュレーター、コレクター、研究者、監視員、そして画家。
アートを愛する人たち、アートに寄り添って生きる人々の情熱が詰まった、至高の一冊でした。
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印象に残った言葉(名言)
「偶然、慧眼、財力。名作の運命は、この三つの要因で決定される」
「名画はときとして、こんなふうに、人生に思いがけない啓示をもたらしてくれる。しれが、名画が名画たる所以なのだ」
「見る者の心を奪う決定的な何かが、絵の中にあるか。「目」と「手」と「心」、この三つが揃っているか。それが名画を名画たらしめる決定的な要素なのだ」
「傑作というものは、すべて相当な醜さを持って生まれてくる。この醜さは、新しいことを新しい方法で表現するために、創造者が闘った証なのだ」
「美を突き放した醜さ、それこそが新しい芸術に許された「新しい美」」
「アートを理解する、ということは、この世界を理解する、ということ。アートを愛する、ということは、この世界を愛する、ということ」
「ほんとうにアートが好きならば、君が生きているこの世界をみつめ、感じて、愛することが大切なんだよ」
「新しい何かを創造するためには、古い何かを破壊しなければならない」
「この絵の中に、君の友だちがいる。そう思ってみればいい。それが君にとっての名作だ」
この本の総評
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