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こんにちは、ぽっぽです。
今日の一冊はこちら↓
『窓がない部屋のミス・マーシュ 占いユニットで謎解きを』斎藤千輪(著)
ビストロ三軒亭シリーズは”グルメ✖️ミステリ”でしたが、今回の作品は”占い✖️ミステリ”。
凸凹占いユニットが、ズバズバと謎を解明していきます!
本の概要(あらすじ)
「ユニット名なんだけどさ、ミス・マーシュってどうかな?」
崖っぷちアラサー占い師、柏木美月は、人生の帰路に立たされていた。
そんな美月はある日、男たちに絡まれていた謎の美少女・柏木愛莉を助ける。
可愛らしい外見とは反対に、クールで名探偵並みの洞察力と推理力を持つ愛莉。
頑なに心を閉ざす愛莉を放っておけない美月は、彼女のずば抜けた推理力を活かし、占いユニット「ミス・マーシュ」を結成する。
美月のタロット占いと、愛莉のずば抜けた推理力で、相談者の悩みに隠された謎を解き明かす!
3つの特徴
占い師と少女の出会い
カネなし、男なし、才能なし。お先真っ暗な崖っぷちアラサー女。柏木美月、29歳。
二子玉川のショッピングセンターの裏手で、タロット占い師をしています。
「相手が信じたいと思っていることを見抜き、カードをヒントに物語を作り上げ、アドバイスとして差し出す」
というのが美月の占いのスタイルです。
しかし、まったく繁盛せず、生活もあやうくなってきたこの頃。
そろそろ引退しようか・・・そう悩んでいたある日、ひとりの少女と出会います。
柏木愛莉、17歳。ずば抜けた推理力を持つ、謎の美少女。
孤独に引きこもる彼女を心配した美月は、ある提案をします。
「私、やっぱり占い師は辞めない。愛莉と占いユニットを組みたい!」
最初は渋っていた愛莉でしたが、美月の熱意に負け、条件付きでユニット結成を承諾します。
ユニット名は「ミス・マーシュ」マーシュはラプンツェルという植物のフランス名です。
これには、ラプンツェルのように、檻に囚われている愛莉を救い出すという、美月の決意も込められているのです。
相談者の悩みに秘められた謎
Ⅰ 運命の輪「彼女はふた股をかけられているのか?」
Ⅱ 月「いなくなった猫はどこにいる?」
Ⅲ 審判「名前も知らない彼と、いつ会える?」
Ⅳ 星「少女はなぜ、手紙を読まなかったのか?」
占いにくる相談者は、中学生から老婦人までさまざま。
恋人のふた股疑惑、行方不明の飼い猫探し、運命の人との出会い、父親の謎・・・
相談内容としては一般的な占いとそう変わらなそうですが、どの相談にもある謎が隠されています。
ずば抜けた洞察力と推理力で謎を解き明かすのが、愛莉の役割。
相談者から必要な情報を聞き出し、タロット占いとともに真実をうまく伝えるのが美月の役割です。
世話好きで人情あふれる美月と、クールでミステリアスな愛莉の凸凹占いユニット。
情報をもとに論理的に謎を解明していき、伏線もしっかり回収してくれます。
少女の謎
さまざまな相談者の謎を解き明かしていく愛莉ですが、彼女自身にもたくさんの謎が秘められています。
- 広いマンションにひとりで暮らしている理由。
- 抗不安薬や気分調整薬などの、大量の薬。
- 絶対に読まない、オーストラリアからのエアメール。
- 見るだけで発作をおこしてしまうワイン。
- 絶対に開けない窓。
詮索されることを極端に嫌がる愛莉。頑なに心を閉ざし、お節介をやく美月に怒りをぶつけることもあります。
それでも美月は、彼女のそばから決して離れません。
「愛莉は心の奥で助けを求めてる。窓から出たいと叫んでる。ひとりぼっちで寂しくない人間なんて、いるわけがないもの」
「私は絶対に、ここから出ていかない。あんたから離れないよ」
そんなふうに真っ直ぐぶつかってくる美月に、愛莉の凍っていた心が少しずつ溶け始めていきます。
なぜ彼女は頑なに心を閉ざすのか?
絶対に読もうとしない、エアメールの差出人はーー?
本の感想
ビストロ三軒亭シリーズがおもしろかったので、本作も読んでみました。
テンポが良く、物語の世界観にも入りやすいので、とても読みやすかったです。
ユニークな設定や魅力的なキャラクターが、斎藤さんの小説の個性かなと思いました。
美月と愛莉の組み合わせが抜群で、くすっと笑えたり、たまにハラハラしたり。
けっこう重たいテーマもありましたが、それを引きずらない終わらせ方になっているので、読後感もよかったです。
今回の作品で明かされなかった「絶対に開けない窓の謎」
いつかこの謎の答え合わせができたらいいなと思いました。
印象に残った言葉(名言)
「運命?そんなもん、自分次第でどうにでも変えられるんだよ!」
「相手に意見を押しつけちゃだめ。それが正論でも、弱い人間には辛くなることがある」
「自分が苦しいからって、他人にどうにかしてもらおうなんて怠慢。そんな相手を、自分がどうにかしてあげられると思うなんて傲慢じゃん」
「真実なんて人の数だけある」
斎藤千輪さんの他の作品
【No.24】美味しくて優しい、グルメミステリー『ビストロ三軒亭の謎めく晩餐』斎藤千輪(著) 【No.33】美味しくて優しい、グルメミステリー第二弾『ビストロ三軒亭の美味なる秘密』斎藤千輪(著)この本の総評
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