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こんにちは、ぽっぽです。
今日の一冊はこちら↓
『よるのばけもの』住野よる(著)
この本は、「君の膵臓をたべたい」の著者、住野よるさんの三作目の作品です。
住野さんの作品は、登場人物たちの繊細でリアルな感情の描写や、テンポのよい会話が魅力的で一、二作目に続き三作目も読んでみました。
「君の膵臓をたべたい」「また、同じ夢を見ていた」は既に読了済みなので、そちらの感想もまた後日ご紹介しようと思います。
本の概要
「夜になると、僕は化け物になる。」
理由はわからない。毎晩僕は、八つの目、六つの足、たくさんの尻尾がついた化け物になるのだ。
ある晩僕は、忘れ物を取りに、化け物の姿で学校へと忍び込んだ。誰もいない夜の教室、と思っていたそこには、クラスメイトの矢野さつきがいた。
異質な存在としてクラスでいじめられている彼女は、夜の学校に「夜休み」をしに来ているのだと言う。
それから始まる、化け物の僕と矢野さつきの夜休み。
人間の僕と化け物の僕、揺れ動く心の中で、僕が最後に選んだ答えとは・・・。
昼は人間、夜は化け物の姿に変わる主人公≪安達≫こと≪あっちー≫と、クラスでいじめの対象とされている≪矢野さつき≫。
昼は人間の姿で常に空気を読み、自分を殺し、その他大勢でいるために必死な主人公が、夜になると化け物になるという大胆な設定。
矢野さつきとの関わりを通してあふれ出す、自分への疑問と本当の気持ち。
昼の人間と夜の化け物、どちらが本当の自分なのか?どちらが本当の化け物なのか?
二つに引き裂かれた顔が、再び一つに戻る日は来るのかーー。
本の感想
一作目と比較すると、好みが分かれる作品かなと思いました。
細部に著者の細かな設定があって、そこに気づけると深さが増す作品だと思いますが、気づかずに漠然と読んでしまうと、読了感はいま一つなのかなと感じます。
最後までスラスラ読める軽いタッチと、リアルな感情の描写は他の作品とも共通しますが、住野さん独特の、遊び心のある会話のやりとりが少なかった印象でした。
学校でのカースト、いじめ、集団心理による抑圧。誰しもが経験のある内容で、だからこそ読んでいて痛々しいです。
けれど、綺麗事で救いを持たせるのではなく、最後までとことんリアルに描いているからこそ、読者の心に刺さるものがあります。
「いじめ」を軸にした小説ではありますが、作者が書いているのはいじめの物語ではないなと、最後まで読んでそう感じました。
この作品では、様々な謎に対して明確な答えが書かれていないため、すっきりしない部分もありますが、何度か読んで自分なりの答え探しをするのもいいのではないかなと思いました。
印象に残った言葉
「あっちー、くん、ファイア派?メ、ラ派?」「炎系魔法ってこと?・・・インセンディオ派」
「難し、いことはい、い。生き延び、なさい。大人にな、ったら、ちょっとは自由になれ、る」
「心の中で見つけた、黒い塊の居場所、そいつの名前は、罪悪感なんかじゃ、多分なかった。」
「どっちの恐ろしい姿も知っているのは、彼女だけだ。なのに矢野は、決して目をそらしたりはしなかった。」
この本の総評
住野よるさんの他の作品
✳︎幸せの意味を考える少女の、不思議な出会いの物語⬇︎

✳︎リアルな痛みを痛烈に描いた、青春✖️サスペンス!⬇︎

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