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【No.53】~”伝えたい想い”を手紙にして届ける代書屋の物語〜 『ツバキ文具店』 小川 糸(著)

こんにちは、ぽっぽです。

今日の一冊はこちら↓

『ツバキ文具店』小川 糸(著)

鎌倉の小さな文具店を舞台にした、代書屋を営む女性の物語です。

 

大切な人へ手紙を贈りたくなる一冊です。

 


 

本の概要(あらすじ)

「字とは、人生そのものである」

 

鎌倉にある小さな文具屋さん「ツバキ文具店」

 

店主の鳩子は文具店を営むかたわら、代々受け継がれてきた手紙の代書を請負います。

 

次々に舞い込む風変わりな代書依頼。

 

恋文、離婚の報告、絶縁状、天国からの手紙・・・

 

さまざまな依頼者の心に寄り添ううちに、鳩子は仲違いしたまま亡くなってしまった祖母への想いに気づいていくーー

 

3つの特徴

愉快な登場人物たち

この物語には、たくさんの個性豊かな人たちが登場します。

本名ではなく、それぞれにユニークなあだ名で呼ばれているので、彼らとの距離もぐっと近く感じられます。

  • バーバラ婦人:おしゃれで陽気なお隣さん。
  • 男爵:祖母とも交流のあった、昔ながらの粋な男性。
  • マダムカルピス:全身水玉模様でコーディネートしている、鎌倉マダム。
  • こけしちゃん:先生におくる恋文を書いてほしいと訪れる。マダムカルピスの孫。
  • パンティー:パンを焼くのが趣味の、小学校の先生。
  • QPちゃん:鳩子と文通をしている、五歳の女の子。

etc…

主人公・鳩子もみんなから「ポッポちゃん」と呼ばれ、慕われています。

ツバキ文具店を訪れるお客さんも、一筋縄ではいかない人たちばかり。

私がいちばん好きなのは、お隣のバーバラ婦人。

 

代書屋の仕事

物語を読み終えてみて、私の代書屋に対するイメージはなんて浅かったのだろうと痛感しました。

それと同時に、なんて素敵でなんて大変な仕事なのだろうと思いました。

ただ代わりに文字を書くだけではない、ということがこの小説を読むとわかると思います。

依頼人の心に寄り添い、相手に想いが伝わるように細部にまで心を配る。

切手にまでこだわり、その手紙にふさわしい一枚を選び取ります。

封筒の表が顔だとすると、切手は顔の印象を決める口紅のようなもの。口紅が失敗してしまうと、顔そのものの印象が台無しになってしまう。たかが切手、されど切手。切手選びは、手紙を送る人のセンスの見せどころとされている。

今の時代はメールやLINEなど、便利なツールで溢れているので、手紙を書く機会はほとんどないですよね。

年賀状ですらメールで済ませるという人も増えてきている時代です。

この物語を読むと、手書きの良さを再確認することができ、誰かに手紙を書きたくなります。

依頼人ごとに用紙やインクや切手などを変えているので、作中にはたくさんの文房具が登場します。

手紙に使用したものの一例

・クレインのコットンペーパー、ベルギー製のクリームレイドペーパー、羊皮紙

・ガラスペン、ロメオのボールペン、モンブランの万年筆、羽根ペン

・エルバン社のトラディショナルインク、虫こぶインク

 

祖母の手紙

鳩子は鎌倉で祖母に育てられました。

幼い頃から祖母に厳しく文字を書くことを叩き込まれ、子どもの頃の楽しかった思い出はひとつもありません。

一日休むと取り戻すのに三日かかると口酸っぱく言われていたため、林間学校や修学旅行にさえ筆ペンを持参し、先生の目を盗み盗み練習した。

そんな祖母に対して反抗するようになったのが、高校生の時。それ以来仲違い状態が続いていたふたり。

しかし、祖母が亡くなり海外へ逃げていた頃の鳩子を救ってくれたのは、字書きとしての才能でした。

そこで初めて鳩子は、祖母に感謝をします。そして鎌倉に戻りツバキ文具店を継ぐことにしたのです。

ある日鳩子の元へ、イタリアからニョロという青年が訪れます。

祖母は、ニョロの母親と長年文通をしていたのです。鳩子の祖母が母親に送った手紙を持ってきてくれたニョロ。

百通以上にも及ぶその手紙には、知ることのなかった祖母の鳩子に対する想いが綴られていました。

祖母に手紙を書いたことがないことに気づいた鳩子は、祖母に宛てた手紙を書きます。

高校生になった時に、祖母がプレゼントしてくれたウォーターマンの万年筆を使って。

言えなかった「ありがとう」「ごめんなさい」。伝えられなかった言葉を、鳩子自身の文字で祖母に贈る素敵な手紙でした。

 

本の感想

忘れていた大切なことを思い出させてくれる、そんな物語でした。

 

代書屋の仕事、鳩子の成長、個性豊かな人々、いろんな伝えたい想い・・・

 

たくさんの要素が詰まっていて、とても紹介しきれないほどの内容の濃い作品です。

 

作中には、実際に鳩子が依頼人のために書いた手紙も載っています。

 

本の左下には小さく絵が描かれていて、パラパラ漫画のようになっているので、それもぜひチェックしてください。

 

舞台となっている鎌倉も物語の雰囲気にぴったりで、レトロな空気感も漂います。

 

鎌倉に住んでいる人しか知らないような場所や楽しみ方も描かれているので、この小説を読むと鎌倉をのんびり散策したくなりますよ。

 

たまには自分の字で、心を込めて、大切な人に手紙を書いてみませんか?

 

 

小川糸さんの他の作品

【No.22】~小さな食堂が紡ぐ、心温まる物語~ 『食堂かたつむり』 小川 糸(著) 【No.70】〜狭い世界から飛び出して、自分の心と向き合う物語〜 『さようなら、私』小川 糸(著)

 

印象に残った言葉(名言)

「鋭く尖ったペン先が、かりかりと独特な音を囁きながら、セピア色の言葉を紡いでいく」

 

「心の中で、キラキラ、って言うの。目を閉じて、キラキラ、キラキラ、ってそれだけでいいの。そうするとね、心の暗闇にどんどん星が増えて、きれいな星空が広がるの」

 

「どうしたって上手に字が書けない人も存在する。字が汚いから心も穢れていると考えるのは、あまりに暴力的すぎる」

 

「失くしたものを追い求めるより、今、手のひらに残っているものを大事にすればいいんだ」

 

この本の総評

読みやすさ
(5.0)
手紙
(5.0)
雰囲気
(4.0)
文章
(4.0)
総合評価
(4.0)

 

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