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【No.80】〜“口紅一本で、ひとは自由になれる” 美容部員という仕事を通して、一歩ずつ前に進んでいく女性を描いた物語〜 『メロディ・フェア 』宮下 奈都(著)

こんにちは、ぽっぽです。

今日の一冊はこちら↓

『メロディ・フェア 』宮下奈都(著)

タイトルの「メロディ・フェア 」は、1971年のイギリス映画『小さな恋のメロディ』の主題歌にも使われ、日本でも話題になった曲。

映画を見たことがない方もいると思いますが、実際に聴いてみたら「あっ、この曲なんだ!聴いたことある!」となると思いますよ。

メイクは顔だけでなく心も明るくしてくれるのだと思い出させてくれた一冊です。
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本の概要(あらすじ)

「無人島に何かひとつ好きなものを持っていっていいと言われたら、迷わず口紅を選ぶだろう」

 

大学を出て田舎に戻った私は「ひとをきれいにする仕事」をしたいと、化粧品会社に就職をした。

 

花形のデパートではなく、郊外のショッピングモールの化粧品コーナーに配属された私。

 

思うようにお客が来ない毎日、鉄仮面の友人と、埋まらない妹との溝・・・

 

悩みながら、迷いながら。美容部員という仕事を通して、一歩ずつ前に進んでいく女性を描いた物語。

3つの特徴

主人公の成長

宮下さんの描く「お仕事小説」の主人公には共通する特徴がありますよね。

特別な才能や派手さがあるわけではなく、真面目で少し不器用。

けれど、仕事に対する「想い」はとても強く、芯が強くて真っ直ぐでひたむき。

本書の主人公・結乃(よしの)もまた、そんな主人公のひとりです。

化粧品に携わる仕事がしたいと意気込んでいた結乃でしたが、思わぬ配属先と、成果の出ない毎日に落ち込んでばかりの日々。

そんな彼女が様々な人たちとの関わりを通して「ひとをきれいにする仕事」と正面から向き合い、成長する様子が丁寧に描かれています。

宮下さんの描く「お仕事小説」の魅力が詰まった作品です。

口紅一本がひとを支える。その確信が、身震いするほど私を興奮させている。

姉妹の溝

初めて口紅をつけた瞬間から、化粧品の魅力に強烈に惹かれた結乃。

その瞬間に私の世界は変わった。色のない場所に、口紅がーー口紅をつけた唇が、口紅をつけた唇の持ち主である私が、鮮やかな色をまとって息づいていた。この世界に私がいる、という事実に初めて手で触れたような衝撃だった。

お化粧にだけは厳しかった母と、無関心どころか化粧品を毛嫌いしている妹・珠美。

「私だけ何かが少し違う」それが結乃の、家族に対する感触でした。

大学を卒業して実家に戻った結乃でしたが、妹との溝はなかなか埋められないまま。

私は口紅が嫌い。そんなものをひとに売りつけて、いい気になってるなんて笑ってしまう。

結乃に対して痛烈な言葉を放つ珠美ですが、彼女が化粧を毛嫌いするのには、家族に関するある過去の出来事があってーー。

鉄仮面の彼女

「メロディ・フェア 」結乃の働くショッピングモールで夕方に流れる音楽。

この曲が流れる間に、いつもの彼女が姿を現す。

年齢も表情もわからない濃いメイクをして、化粧品フロアを堂々と歩く鉄仮面の女性。

ある日突然「おす」と声をかけられてやっと彼女の正体に気づいた結乃。彼女は小学生のときにいちばん仲の良かった、真城ミズキだった。

十三年振りに再会したミズキから「世界征服を企んでいるから、手伝ってほしい」と突拍子もない頼み事をされた結乃。

「いろんなひといがいて、いろんな基準があるはずなのに、かわいいのがいちばんカチなんだ」

だから強くなりたいのだと世界に闘いを挑もうとしているミズキに、結乃がかけた言葉とはーー。

本の感想

私はメイクを楽しいと思ったことはあまりなく、普段する化粧も持っているコスメも最低限です。

 

人見知りなので、美容部員の方がいる化粧品カウンターで買い物をするのも苦手。

 

そんな私でも、この小説を読むとメイクに対する気持ちが少し変わります。

 

丁寧にメイクをしてみようかな。人からどう思われるかではなく、自分がなりたい顔になるための色を選んでみようかな。そんなふうに自然と思わせてくれます。

 

メイクの持つ力は見た目を変えるだけではなくて、内面にも深く影響する。

落ち込んでいる時にきれいな色の口紅をつけるだけで少し気分が変わるのは、きっとそういうことなんですよね。

 

メイク好きな方は共感できる部分がたくさんあると思います。

 

仕事に悩んでいる方の、前に踏み出すきっかっけにもなってくれる物語です。

 

文庫本には書き下ろしの番外編も収録されています。

 

凄腕ビューティーパートナー・馬場さんの素の部分が垣間見えるので、ぜひ読んでみてください。

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印象に残った言葉(名言)

「血を分けた家族とわかりあうよりも、他人とわかりあえたつもりになるほうがよっぽど楽な気がする」

 

「とらわれるんでなくて、メイクで自由になるの。好きな自分になるんや」

 

「そのままでいいかどうかは、誰かに決めてもらうことじゃない。自分でそう思えるかどうかが鍵なのだ」

 

「そうね、合わなければ取ればいいんだものね。メイクのいいところって、そこよね」

 

「メイクでひとが変わる。世界が変わる。その気持ちは、誰よりもわかるつもりだ。だからこそ、頼りすぎちゃいけない。メイクなしでは何もできなくなってしまう」

宮下 奈都さんの作品

【No.10】~本屋大賞受賞の感動作~ 『羊と鋼の森』 宮下 奈都(著) 【No.37】~なりたい自分をみつけたくなる、心に響く物語~ 『太陽のパスタ、豆のスープ 』宮下 奈都(著) 【No.52】~それぞれの特別な「旅」の瞬間を描いた物語〜 『遠くの声に耳を澄ませて』 宮下 奈都(著) 【No.59】〜不器用で真っ直ぐな女の子の、しあわせの景色を切り取った物語〜 『窓の向こうのガーシュウィン』 宮下 奈都(著) 【No.69】〜『羊と鋼の森』の著者、宮下奈都さんの幻のデビュー作〜 『静かな雨』宮下 奈都(著)

 

この本の総評

読みやすさ
(5.0)
仕事
(4.0)
家族
(3.0)
読後感
(4.0)
総合評価
(4.0)

 

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