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【No.183】沖縄が起こした奇跡の三日間!母と子を描いた感動の物語『アンマーとぼくら』有川ひろ (著)

こんにちは、ぽっぽです。

今日の一冊はこちら↓

『アンマーとぼくら』有川ひろ(著)

久しぶりに読んだ有川浩ひろさんの小説。

本書はかりゆし58の曲「アンマー」に着想を得た、沖縄が舞台の「家族小説」です。

ガイドブック?と思えるほど観光情報も満載!

若干ファンタジー要素もあります!

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本の概要(あらすじ)

「言いたかったことは、今の君が言えばいい」

 

久々に故郷である沖縄に里帰りをした主人公・リョウ。

 

実の母親とは子どもの頃に死別し、再婚してリョウを沖縄に連れてきた父親ももういない。

 

リョウは沖縄にひとりで暮らす「おかあさん」に親孝行をするため、二人で島内を旅行することに。

 

期間は三日間。

 

家族の思い出の場所をめぐるうち、リョウはある不思議なことが起こっていることに気がつきーー。

 

一体、ぼくに何が起こっている?

3つの特徴

ふたりの母親

本書に登場する母親はふたり。

一人目は、主人公を産んでくれた”実の母親”。(「お母さん」)

二人目は、実の母親の死後に父親が再婚したいわゆる”義理の母親”。(「おかあさん」)

物語は主人公が久々に故郷である沖縄に2泊3日で帰省する場面からスタートします。

親孝行をするために帰ってきた主人公は、観光ガイドをしているおかあさんと島内を旅行することに。

この三日間を軸に、物語は現在と過去を行き来しながら展開していきます。

実の母親の死後、一年も経たずに父親が再婚した「晴子さん」と沖縄の地を受け入れることができずに苦しんだ過去。

そんな”過去のぼく”と”現在のぼく”が不思議に交錯し、ほんのりファンタジー要素も感じられる物語になっています。

その不思議な感覚が沖縄独特の雰囲気と混ざり合って、神秘的な感じすらありました。

物語の終盤には「リョウ」とカタカタ表記をしていた主人公の本名や父親の愛情が明かされてゆき、怒涛のラストスパートへ。

沖縄が起こしてくれた奇跡とは……?

沖縄めぐり

本書は沖縄のガイドブック?と思うほど観光情報満載です。

「おかあさん」が観光ガイドという設定もあるので、かなり詳細に描かれています。

これから沖縄旅行を計画している方は参考になるかもしれませんね。

メジャーな観光地も登場するので、実際に沖縄旅行をしたことがある方は懐かしい気持ちになれると思います。

私は「やちむんの里」にちょうど沖縄旅行で行ったばかりだったのですが、これを読んだらまたすぐに行きたくなってしまいました。

沖縄特有の文化や風土についても垣間見ることができるので、沖縄に行ったことがない方も独特の空気感を味わえると思います。

ただ、強いていうならばちょっと説明が多すぎるかなと。

沖縄について丁寧に描かれている点は魅力的ですが、ガイドブック感が否めない点については賛否ありそうですね。

沖縄のあの雰囲気を味わいたい方にはもってこい!

父親の言動

本書は「息子と母親」を描いた作品ではありますが、読み進めると「息子と父親」の物語でもあるし「母親と父親」の物語でもあるなと。

その中でも一番魅力的に描かれているのは「おかあさん」だと思います。

逆にいうと、個人的に一番魅力的でなかったのは「父親」です。

主人公の父親を一言で説明するならば”子ども”。

わがままで、自分勝手で、感情的。

本物の”子ども”である主人公よりも、よっぽど子どもな父親なのです。

本書の印象を一番左右するのはおそらくこの部分。

父親の言動を受け入れられるかそうではないかで、まるっきり好みが分かれるかと思います。

個人的には見ていて愕然としてしまう言動ばかりでしたが、みなさんはどうでしたか?

同年代の女性からしてみれば純粋で魅力的な人に見えるのでしょうか。

実際、素敵な女性をふたりも射止めたわけですし。

私は終始ドン引きしていましたが。

悪意も自覚もないところがまた厄介なんですよね……

本の感想

有川さんの小説は万人受けする読みやすさが特徴だと思っていましたが、本書は今までに読んだどの作品よりも読みづらかったです。

 

文章がどうとかいうことではありません。考えられる理由はおそらく二つ。

 

一つ目は、説明的な部分が多いところ。

 

お母さんと観光地をめぐる描写では必ずその場所の説明が入るので、途中から飽きてきてしまいました。

 

ガイドブック的には満点かもしれませんが、ボリュームも多いのでちょっと退屈してしまって。

 

個人的には子どもの頃の回想シーンの方がスラスラ読めました。

 

二つ目は、やはり父親。感情的な部分ではこれが一番のネックでした。

 

心の狭い私はどうしても父親の言動が受け入れられず、終始イライラがとまらず。

 

理想の父親像を語るつもりはありませんが、あまりにひどすぎるのではないかなと。

 

<主人公が描いた母親の絵をビリビリに破いた場面>では私の堪忍袋が爆発し、心の中でアッパーをくらわせていました。

 

彼を「憎めない人」と思えればもう少し作品全体の印象も違っていたと思うのですが。

 

私はこの父親の言動に耐えきれずに何度読むのをやめようと思ったか(笑)

 

著者の作品に登場する男性の中にはとても魅力的な人もいるのに……(特に『ストーリー・セラー』のside:Bの彼が好きです)

 

本書のメインはあくまでも「母親」だと思うので、父親はもう少し癖のない方が個人的には読みやすかったかなと思いました。

 

私には合わなかったですが、沖縄の空気感やおかあさんの愛情はとても素敵なので、心の広さに自信がある方はぜひ読んでみてください!

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有川浩さんのその他の作品

*夫婦の極限の愛を描いた一冊⬇︎

【No.11】~あなたなら考えることをやめられますか?極限の愛を描いた小説~ 『ストーリー・セラー』 有川 浩(著)

印象に残った言葉(名言)

「宝物みたいにキラキラした人と結婚して、宝物があるのが当たり前になっちゃったんですよ。それで、宝物がただの石ころに見える呪いにかかっちゃったんですよ」

 

「過去は変えられない。分かるよね?」

 

「若い男は好きな人にかっこつけるけど、中年男は本当に好きな人にしか、自分のみじめな思い出なんて晒せないんだ」

 

「君が後悔のない人生を送れることを祈ってるよ」

 

「同情がほしくないときもある。相手が嫌がる厚意だったら、それも暴力だ」

 

「いつか、ニライカナイで。おとなしく、待ってろよ。いつか、ぼくも行ってやるから」

この本の総評

読みやすさ
(2.0)
雰囲気
(4.0)
沖縄感
(5.0)
読後感
(3.0)
総合評価
(3.0)

 

 

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1 COMMENT

陸奥屋琴

この本で読書感想文を書こうとしている者です。
突然すいません。
お父さんの性格が気になったのですね。
私はお父さんのその性格があったからこそ
「おかあさん」としての晴子さんの魅力が
浮かび上がってきたのではないかと
思っています。
追伸 春子さんではなく晴子さんだと思います。

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