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こんにちは、ぽっぽです。
今日の一冊はこちら↓
『ストーリー・セラー』 有川浩(著)
有川浩さんの作品は数多くありますが、特に人気なのが『図書館戦争』シリーズでしょうか?
アニメ化、そして実写映画化もされている有名な作品ですね。
今回読んだ作品は、もともとあった『StorySeller』と対になる書き下ろし小説を加えた一冊です。
本の概要
「仕事を辞めるか、このまま死に至るか。二つに一つです」
思考することと引き替えに寿命を失っていく病気に侵されてしまった彼女。
小説家の彼女と、彼女を支え続けてきた夫。
生きるために書くことを辞めるのか。書くために命を削るのか。
究極の選択を前に、彼女が選んだ道とは・・・。
3つの特徴
読みやすさ
著者の作品の最大の特徴は、やはり読みやすさだと思います。
難しい言葉や意味が分からない表現などはほとんどなく、最後までテンポよく読める、そんな小説。
かといって個性がないわけではなく、独特な言い回しで読者の興味をぐっと引きつける場面も多くあります。
今回の作品は、内容自体はとても重く心にズシっとくるものでした。
しかし、“哀しさや暗い部分”ばかりにフォーカスしていないのが特徴的です。
あくまでも2人の関係性や愛情の部分が丁寧に描かれていて、そこがとても魅力だと思いました。
独特な本の構成
この作品は、『Story Seller』に掲載された一編 “Side:A” に、単行本のために書き下ろされた “Side:B” を収録した、二本立ての構成になっています。
Side:AとSide:Bは対になっている物語です。
作中作小説の物語はあまり読んだことがなかったため、新鮮でした。
最後まで読んで、「これってどこまでが本当で、どこからが創作の話なのだろう?」と、一瞬混乱はしましたが。
明確に言及はしていないので、読者が自由に受けとれるラストなのかなと思います。
キャラクター設定と言葉選び
登場人物についてあえて具体的な要素を書かない作品も多いですが、
有川さんの作品は、ひとりひとりどんな人間なのかを、彼らの視点や会話の内容から読者に伝えてくれます。
個人的には、Side:Aのとことん男前な彼女と、Side:Bのユーモアの効かせ方と甘やかし方が絶妙にうまい彼がツボでした。
彼や彼女が放つ言葉のチョイスも独特で、本好きとしてはぐっとくるポイントがたくさんあります。
本の感想
有川さんの作品がたくさん映像化されているのは、キャラクター設定や構成がしっかりとしていて、物語性が強いからなのかなと感じました。
今回の一冊は、リアリティがないわけではないし、人間の汚い部分や深い愛情などもきちんと描かれているのに、”ひとつの物語”を読んでいる感が強いです。
あくまでも客観的に彼らの物語をみている、と言ったらいいのでしょうか・・・
重めの内容でもこのくらいさらっと読めるのは有川さんならではですよね。
あえて抽象的にぼやかした表現を使ったりしていないので、わかりやすく、喜怒哀楽がしっかりしている部分もいいなと思いました。
有川さんの小説の中ではめずらしく映画化はされていない作品ですが、ぜひ読んでみてください。
印象に残った言葉
「ー猫、剝げかけ」
「妻を愛しているからです。妻の安眠を守るのです」
「俺は君を甘やかすのが好きなの。君を甘やかすのが俺の人生の目標と言っても過言じゃないね。どうだ、嬉しいか」
「あたしは彼のためではなく、あたしが彼を失わないためにしか祈れない」
この本の総評
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