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【No.19】母娘の闇と隠された秘密とは?『群青の夜の羽毛布』 山本文緒(著)

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こんにちは、ぽっぽです。

今日の一冊はこちら↓

『群青の夜の羽毛布』 山本文緒(著)

タイトルと表紙から、ファンタジー系・ほっこり系の内容かと思いきや、ホラーすら感じさせる常軌を逸した家族の話なので、ご注意を。

本の概要(あらすじ)

「うちは誰も、門限を破らないの」

丘の上に暮らす不思議な女性に惹かれた大学生の鉄男。

ちょっとした出来事をきっかけに仲良くなり、彼女との関係がはじまった。

しかし鉄男は、24歳にもなって門限を守り、ひどく神経質で不安定な彼女に、だんだんと違和感をおぼえていく。

なぜ彼女は頑なに門限を守るのか?なにに怯えているのか?どうして家を出ないのか・・・?

恋愛の先にある、家族の深い闇にせまる物語。

3つの特徴

母と娘の歪んだ関係

毬谷家は、母と娘ふたりの、女3人で暮らしている。

娘の名前は、「さとる」と「みつる」。

どちらも男性的な名前なので、最初は混乱しました。

なぜ男の子の名前をつけたのかは、物語のなかで明かされます。

母とさとるの関係は、母と娘というよりも、支配する側とされる側。

小さい頃から、身体的虐待や心理的虐待を受け続け、大人になってからも、母の支配から逃れられないさとる。

さとるが母から浴びせられる暴力や暴言は、みていて心が痛みます。

家族ってなんでこんなに閉鎖的で、いまだに家族神話に縛られているのだろう。

最後にさとるが母に反論する場面で、少し光がみえた気がしました。

さとると鉄男の関係

ふたりの出会いは、とあるスーパー。

アルバイトの鉄男は、毎日買い物に来る謎の女性さとるに惹かれ、恋愛関係へと発展したのだ。

しかし、儚げで不思議な雰囲気をまとう ”おねえさま” だと思っていたさとるの印象は、だんだんと変わっていく。

神経質で不安定で、彼女の家族もまた奇妙。

何度も彼女のことをめんどくさいと思っても、それでも見捨てられない鉄男。

これは恋なのか?愛なのか?それとも同情なのか?

そして鉄男もまた、さとるに嘘をついていて・・・

家族の秘密

この物語では、終盤までさとるの父親については明かされていません。

そして父親の秘密こそが、この家族のもっとも深い闇の部分なのです。

離婚したのか、死別したのか、それとも・・・?

本の感想

山本文緒さんは、人間の汚い部分や闇を描くのが上手だなと思いました。

何冊か著者の小説を読んできましたが、そういう人間のリアルな部分を描きながらも、嫌な気持ちで終わらない独特の雰囲気が好きだったのですが・・・

今回読んだ作品は、他の作品と比べると、読後感があまりよくなかったです。

私はわりと、こういった家族の闇を描いた作品は好きですし、物語としてはインパクトもあっていいとは思います。

ただ、途中までは共感しつつも、だんだんと疑問と不快感をぬぐえない設定や展開になっていったので、

複雑な気持ちになりました。

あくまで小説として、客観的に読める人にはおすすめです。

疲れているときや、気分が沈んでいるときには、読まない方がいいのかもしれないなと思いました。

印象に残った言葉(名言)

「人は案外叱られることに弱い。優しさは常に曖昧さを伴い、曖昧さは不安をはらんでいる」

 

「母が娘に望むことは、二つのうちどちらかなのだ。ちゃんと仕事をするか、ちゃんと結婚するかそのどちらかだ。それ以外はない」

 

「健康な寝息をたてる鉄男を見下ろす。かすかな殺意が胸をかすめた。いつかなくしてしまうならば、いっそ今なくしてしまった方がいいように思えた」

 

「あなたはいいわよね、幸せよねって、お母さんのうまい手口よ。罪悪感を抱かせるのに、すごくいい台詞よ。だけど、あたしは悪いなんてこれっぽちも思わないからね」

 

「正義感でもなく、強烈な恋心でもなく、ただ自分はこの女を見捨てはしないのだろうという不思議な確信があった」

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