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こんにちは、ぽっぽです。
232冊目はこちら↓
『木になった亜沙』今村夏子(著)
以前から気になっていた作品が文庫化されていました!
全三篇とエッセイ、そして村田沙耶香さんの解説が収録された一冊。
不思議で、不穏で、切実で。
他者との繋がりを求める主人公の切実な願いを叶える、今村さんならではの発想力は圧巻です。
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本の概要(あらすじ)
「食べて、お願いーー」
小さなアパートに母と二人で住んでいる亜沙。
保育園のとき、亜沙が手渡したおやつを、友だちは絶対に受け取ってくれなかった。
小学校のとき、亜沙がよそった給食を、誰も食べようとはしなかった。
母も、先生も、施設の仲間も、飼っている金魚でさえも。
誰も、亜沙の手からものを食べてくれない。
お願いだから、誰でもいいから。
私が作ったものを、手渡したものを、どうか食べて。
そんな亜沙の切なる願いは、やがて彼女をわりばしに転生させーー(表題作)
日常と幻想が入り混じる、歪で不穏で安らかな短編集。
この本を推したい人
本書はこんな人たちに推したい本です↓
- 不思議な物語がもたらす衝撃と安堵に包まれたい方
- 日常と幻想が溶け込む独特で生々しい世界を堪能したい方
- 今村ワールドを全身で感じたい方
本の感想
三つの短編と、単行本には未収録のエッセイが収録された一冊。
今回はそのうち二つの短編について語りたいと思います。
「木になった亜沙」
あらすじ
自分の手から決して食べ物を食べてもらえない人生を歩んできた亜沙。
どんなに強く、切実に願っても。
誰も彼女の手が差し出すものを、食べてはくれない。
やがて亜沙は杉の木に生まれ変わり、割りばしとなってとある青年と出会う。
そしてついに、彼女は自分が差し出す食べ物を食べてもらえてーー
感想
あらすじだけ読むととても不思議な物語なのですが、私はどこかほっとするような安心感をおぼえました。
「私の手から食べてほしい」と願い続ける彼女が心の底から求めているのは、きっと他者との繋がり。
亜沙の手(厳密にはわりばし)から青年がごはんを食べるあの場面がとても印象的で。
“わりばしとして生まれ変わらせる”という方法で、亜沙の孤独を救った著者の発想力と優しさが、衝撃と安堵を私にもたらしてくれました。
なんだこれ?と不思議な気持ちになる人もいると思いますが、私のようにどこか安らぎを感じられる人もきっといるはず。
以前あいみょんさんもメディアでおすすめしていた作品です。
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【ブランチおすすめ】読書好きあいみょんさんがおすすめする小説3選「的になった七未」
あらすじ
子どもの頃から、様々なものをぶつけられそうになることの多かった七未。
保育園のときは、園長がどんぐりを。
小学生のときは、上級生が水風船を。
先生がドッジボールのボールを。
ぬの太郎(廃品回収をしている謎の老人)が空きビンを。
みんながいろんなものを七未に投げつけてくるのだが、彼女は絶対に最後まで逃げ切り、ただの一度も当たることはなかった。
そしてあるとき七未は「当たれば終わる」のだということに気が付きーー
感想
こちらの短編も表題作の亜沙のように、とある切実な願いを抱えて生きる女性の物語。
亜沙の願いは「食べてもらうこと」でしたが、こちらの主人公の願いは「当たること」。
当たれば終わることに気づいてから、七未は逃げ続ける人間から“逃げない人間”へと変わります。
当たってみせる、絶対に。
そんな決意を抱える彼女ですが、その後も決して「当たりたい」という願いは叶わないまま。
やがて大人になり、息子を産み、母親となった七未ですが、当たりたい欲求は消ることはなく。
しかし、ある日とうとう七未はその時を迎えるのです。
主人公の願いが意外な方法で叶えられる、というのは表題作と同じですが、こちらの方がより痛々しくて生々しくて。
逃げていたときも、逃げなくなってからも。
決して満たされることのない七未の心が、解き放たれたあの瞬間。
私の口から、思わず安堵のため息がもれました。
まとめ
全三篇の物語は、どれも奇妙で不穏で、でもとても純粋で切なくて。
日常と幻想の境界が自然と溶け込んだ、不思議だけれど心地よい世界をぜひ堪能してみてください。
本書に惹かれた方は、不器用で純粋な人たちが暴走する様を描いた短編集『父と私の桜尾通商店街』もぜひ。
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【全7編】不器用な主人公たちが織りなす不気味でユーモラスな短編集『父と私の桜尾通り商店街』今村夏子 (著)印象に残った言葉
「きみの手は、きれいすぎる」
「ミユキちゃんにとってはただのわりばしかもしれないけど、おれにとっては特別なわりばしだってことも、ひょっとしたらあるかもしれないだろ」
「はやく、はやく、ナナちゃん、はやく」
「当たりたい。当たりたいのに当たらない。だから自分で当てている。一番手近にあるのが、たまたま自分のこぶしだっただけなのだ」
「どうもしなくていいんです。あなたには、思いがあります。それだけで、じゅうぶんです」
「わたしの鼻先には、あの夜に触れたひげの感触が、今も消えることなく残っている」
「いっそのこと発売日に一軒一軒書店を尋ねて自分の文章が印刷されたページにビーフシチューをかけて回りたい……」
「明日の娘の憂鬱を想像して私が憂鬱になった」
この本の総評
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