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【映画 No.2】山崎賢人さん×松岡茉優さん×行定勲監督が贈る、又吉直樹さんの大ヒット恋愛小説 『劇場』

こんにちは、ぽっぽです。

今日の映画はこちら↓

『劇場』原作:又吉 直樹(著)

『火花』で芥川賞を受賞した又吉直樹さんの原作を、行定勲監督が映画化した『劇場』。

劇場公開と「Amazon Prime Video」の同時配信という珍しい展開で話題になっている作品です。

私は今回「Amazon Prime Video」で観てみました。映画館にも行きづらい今、こういったサービスの便利さを実感しています。

まだ会員になっていない方は、この機会に試してみてはいかかですか?

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映画の概要(あらすじ)

「ここが一番安全な場所だよ」

 

学生時代からの友人・野原とともに劇団「おろか」を立ち上げた、脚本家兼演出家・永田。

 

しかし、彼の独特な作風はことごとく酷評され、夢は遠ざかるばかり。

 

永田の傲慢な態度に嫌気がさした劇団員たちからも見放されてしまう。

 

解散状態となってしまった劇団。理想と現実の大きな隔たり。

 

思い悩む毎日の中で、永田はある日、街で女優の夢を抱いて上京した沙希と出会うーー。

主な登場人物

  • 永田(山崎賢人):主演。劇団「おろか」の脚本家兼演出家。成功を信じて夢を追い続ける。
  • 沙希(松岡茉優):ヒロイン。女優になる夢を抱いて上京した学生。永田の才能を信じ、支え続ける。
  • 野原(寛一郎):永田と共に劇団「おろか」を立ち上げた、学生時代からの友人。
  • 青山(伊藤沙莉):劇団「おろか」の元劇団員。
  • 小峰(King Gnu・井口理):演劇界でも注目を浴びている劇団「まだ死んでないよ」の期待の星。

一番 会いたい人に会いに行く。
こんな当たり前のことが、なんでできへんかったんやろな。

演劇の世界で夢を追い求める主人公と、その夢を応援する献身的なヒロインの愛を描いたストーリー。

ありふれた題材、よくあるキャラクター設定、物語の展開。

設定だけをみると、無難で陳腐な内容と思われてしまうかもしれませんが、実際に観てみるとそんなことは全くなく。

主人公やヒロインに共感や感情移入できる人もできない人も、すべてを巻き込んでしまうほどの抱擁力のある作品でした。

3つの特徴

恋愛×青春

「恋愛がわからないからこそ、書きたかった」と原作者である又吉さんが語る本作。

しかし実際に観てみると、たしかに永田と沙希の7年にわたる愛を描いたものではあるのですが、どこか恋愛映画という枠だけではしっくりこない。

しいていうなら、永田のドキュメンタリー映画を観ているかのような。

ラブストーリーが根本にありつつも、夢を追い求め続ける苦しさや葛藤がより際立っている作品に思えました。

夢を追う若者が挫折を味わいながらもがき続ける、青春小説っぽさもあります。

夢を追い求めた経験がある人間、現在進行形でもがいている人間は、永田の胸の内に共感がやまないのではないでしょうか。

理想、現実、挫折、嫉妬、葛藤・・・こういったものの全てが、真っ直ぐにぶつかれない沙希との関係にもつながっています。

一般的な恋愛映画の枠だとしっくりこないのは、この作品での恋愛の描きかたが独特だからかなと思いました。

情熱や激しさを感じるのは演劇に対する思いのほうで、恋愛においてはわりと淡々と進んでいきます。

性的な描写はおろか、キスシーンでさえない。これがすごく特徴的で、個人的にはとても良いなと思ったところ。

わかりやすい方法を使わず、あえて難儀なやり方でふたりの距離感をここまで表現しているのは純粋に凄いと思いました。

印象的なシーン

派手な演出があるわけではないものの、印象に残るシーンがいくつもある作品。

例えば、沙希が永田に光熱費を払ってほしいとお願いするシーン。(永田は家賃も生活費も払わずに、沙希の家に転がり込んでいる)

沙希:「今後のことも考えて、光熱費・・・だけ、払ってもらえないかな?」

永田:「うーん・・・でもここ、沙希ちゃんの家やし。人の家の光熱費を払う理由がね、わからん」

このクズっぷりにはさすがにドン引き。

沙希が笑ってくれるからと、やましいことの後にブロック塀を家に持ち帰るシーンには「愚かだなぁ」と思わず苦笑。

なんでも笑って許してくれる沙希が、はじめて怒りを爆発させたシーンも印象的です。

沙希の顔から笑顔がなくなってゆき、だんだんと堕ちていく彼女の姿は胸に迫るものがありました。

こういった小さなエピソードを積み上げて、ひとつの作品として完成している物語。

最後には『劇場』というタイトルに相応しい、映画と劇場がつながるラストシーンが待っています。

キャスティング

原作を読んでいないので「イメージと違った!」ということもなく、役柄に合ったキャスティングだなと思いました。

山崎賢人さん演じる永田は客観的に言ってしまえば「ろくでもない男」。

もし友達の恋人だったら、みんなこぞって「そんな人やめときなよ!」と言うタイプの奴。

けれどその「ろくでもない男」の中にある不安定な魅力を、山崎さんが存分に引き出していました。

永田のおろかさや弱さや優しさを、愛おしいとさえ感じさせてしまう演技力はすごい。

好青年役が多いイメージの山崎さんの、<ボサボサの髪、うつろな目、無精髭に猫背のヒモ男>という新たな一面をみることがきます。

松岡茉優さん演じる沙希は、やりすぎてしまうとその純粋さや無邪気さが胡散臭くて白けてしまいそうですが、とても自然で。

彼女の無垢な笑顔による癒しと、その純粋さがもたらす苛立ちや劣等感。その両方の部分を上手に表現していました。

監督は数々の名作(『世界の中心で、愛をさけぶ』や『ナラタージュ』など)を手掛けてきた行定勲監督

(次作は2020年9月11日公開予定の『窮鼠はチーズの夢を見る』)

恋愛映画が得意でない私でも、行定監督の恋愛映画は抵抗なく観ることができます。

恋愛面においてはリアリティさはありつつも、生々しいシーンがないので恋愛映画苦手勢にもおすすめです。

映画の感想

主人公が淡々と胸の内を語るモノローグが多く、映画を観ているのに主人公の自伝を読んでいるような不思議な感覚になる作品でした。

 

主人公のつぶやきはどことなく古典作品チックで、レトロさも感じられる下北沢の雰囲気もよかったです。

 

永田や沙希に共感できる人はもちろん、そうでない人も決して客観的でいられない、引き込む力がある映画。

 

それはおそらく又吉さんの原作に上乗せされた、キャストの演技力の高さや監督の手腕によるものなのかなと思いました。

 

正直ストーリー云々というよりも、見せかたが素晴らしい映画!という感じ。

 

映画を観てから原作を読むことはあまりしないのですが、この作品に関しては原作も読んでみようかなと思いました。

 

小説の雰囲気や文章のリズム、登場人物やお芝居のシーン。原作ではどんな風に描かれているのか、とても気になったので。

 

原作を読んだ方もまだの方も、この連休中にぜひ観てみてください。

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この映画の総評

観やすさ
(5.0)
雰囲気
(4.0)
キャスト
(4.0)
個性
(3.0)
総合評価
(4.0)

 

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