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こんにちは、ぽっぽです。
今日の一冊はこちら↓
『シュガーレス・ラヴ』山本 文緒(著)
二十年以上前の作品なので少し昔の雰囲気もありますが、
内容的には現代でも心当たりがある人が多そうなテーマです。
恋、仕事、家庭。そこからくるストレス、病気。
それぞれに悩みを抱える10人の女性を描いた物語。
重苦しい雰囲気もありつつサラッと終わる短編なので、ぜひ読んでみてください。
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本の概要(あらすじ)
「完全に健康であることを理想に生きる必要はないのかもしれない」
失恋、不倫、仕事、家族・・・
10人の女性たちを取り巻く様々な人間模様。
ストレスが引き起こす心と体の不調と、再生までの姿を描いた短編小説。
その言葉が、その視線が、その愛情が。
現代を生きる彼女たちを、追い詰めてゆくーー
3つの特徴
10人の悩める女性たち
- 彼女の冷蔵庫<骨粗鬆症>
- ご清潔な不倫<アトピー性皮膚炎>
- 観賞用美人<便秘>
- いるか療法<突発性難聴>
- ねむらぬテレフォン<睡眠障害>
- 月も見ていない<生理痛>
- 夏の空色<アルコール依存症>
- 秤の上の小さな子供<肥満>
- 過剰愛情失調症<自立性神経失調症>
- シュガーレス・ラヴ<味覚異常>
年齢も境遇もバラバラの女性たちが主人公ですが、
共通しているのは「ストレスによる心身の不調を抱えている」という点。
自他ともに「病気」だとはっきり認識できるものもあれば、
周囲からは理解されづらい症状もあり、内容は様々です。
その症状を引き起こしている原因は人それぞれですが、
どれも<人間関係>が一端を担っているのは確か。
“ストレス”と言ってしまうと陳腐に聞こえますが、
<自分を取り巻く様々な人間関係が心に深刻なダメージを与え、それが体にまで影響及ぼしている>
というのは、身に覚えがある方も多いのでは?
誰でも少なからず心身の不調を抱えて生きていると思うので、思わず共感してしまう内容もあるのではないでしょうか。
私はストレスに弱く体もあまり強いタイプではないため、当てはまる症状がたくさんありました。
他人には理解してもらえない不調を経験したことがある方、現在進行形で経験中の方はぜひ読んでみてください。
等身大の描き方
山本文雄さんの作品は、恋愛や家族などの重めの人間関係をテーマにしているものが多い印象です。
そしてどの作品を読んでも思うのが、“等身大の人”を描いているということ。
人間の汚い部分やカッコ悪い部分などを包み隠さずリアルに表現していて、それでいて不快にならずに読めるところが不思議です。
今作でも、主人公たちが悩んで、つまづいて、間違えて、諦めて、それでも最後には立ち上がって前に進もうとする様子と心理描写が丁寧に描かれています。
「病気、不調」をテーマにしつつも誰もが同情や共感を示してくれるような内容ではなく、当事者にしかわからない苦しさも取り上げてくれている部分が魅力だと思いました。
心や体の不調は本当にその人自身にしか分からないもの。
誰からも気づいてもらえない虚しさや「たいしたことない」と流されてしまう憤りを経験したことのある方は、思わず自己投影してしまうかもしれませんね。
暗すぎず、明るすぎない
このテーマなので重苦しい雰囲気を想像するかもしれませんが、そんなことはないので安心して手に取ってみてください。
暗くないと言ったら語弊がありますが、胃もたれするような重さはありません。
むしろ読後は爽快感すら感じました。
病気を患っている人を描いているというよりは、その原因となる人間関係であったり、そこから再生しようとする姿に焦点を当てている作品です。
とはいえ完全に回復するだとかパッと明るくなるという感じではなく、それぞれの“前に進もうとする瞬間”を描いてサッと幕を引く感じ。
それがこの暗すぎず明るすぎない絶妙な空気感を作っているのだと思います。
本の感想
最近の作品ではありませんが、ストレスを抱えながら生きる現代人に読んで欲しい一冊。
女性特有の悩みや不調も描かれているため、特に大人の女性は感情移入しながら読める物語もたくさんあると思います。
私自身、今作に登場する「睡眠障害」や「自律神経失調症」などで苦しんだ経験があるので、
まるであの頃の自分を客観的に見ているような気持ちになりました。
インフルエンザや胃潰瘍なら周囲からも「病気」と認めてもらえるのに、睡眠障害や慢性的な頭痛、倦怠感などは意外と本人にしかその辛さはわからないものです。
私はお医者さんにでさえ「ストレスですね」の一言で片付けられ、ビタミン剤を渡されて帰らされた苦い記憶があります。
夜眠れなくても、耳が聞こえなくても、頭痛が治らなくても。全て「ストレスですね」で終了。
処方される睡眠導入剤やビタミン剤を飲んでも、正直気休め程度であまり効果はありませんでした。
ストレスが根本にあることは理解できますが、なんだか都合の良い言葉として使われているなぁと感じてしまいますよね。
なんだか話が逸れてしまいましたが、つまりはこういった不調は珍しいことではなく、きっと現代人の誰もが抱えている問題なのだと思います。
あまり気負わずに読める内容なので、もし心当たりがある方はぜひ読んでみてください。
少し心が軽くなるかもしれませんよ。
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印象に残った言葉(名言)
「醜かったり、弱かったり、役に立たないものは葬り去られる運命にある。その原因が何であろうとも。それが淘汰というものだ」
「完全に健康であること、完璧に愛しあうことを理想に生きる必要はないのかもしれない。みっともないまま歩いていっても今はいいような気がした」
「善人ぶっていたから、無理がきたのだ。だから耳が聞こえなくなったのだ。私はそう解釈をした。だから自ら一人きりになり、孤独な毎日に安らぎを見いだした。他人と係わらなければ、自分の弱い面を見ないで済む」
「好きなのに、つらい。何故矛盾するのか分からない。何故目覚めてしまうのか分からない」
「世の中には愛されたがってる人ばっかりで、愛してあげられる人はほんの少ししかいないのよ。貴重がられて当然よ」
「私はそうやって生きてきた。本当と嘘の間にあるグレーゾーンを使って。健康と病気のその狭間で」
この本の総評
山本文緒さんの他の作品
【No.19】~母娘の闇と隠された秘密とは~ 『群青の夜の羽毛布』 山本 文緒(著) 【No.27】~純愛?狂気?他人を愛しすぎてしまう女性の衝撃の過去~ 『恋愛中毒』 山本 文緒(著) 【No.61】〜美しければしあわせになれる?ほんとうの美しさとは?〜 『きっと君は泣く』 山本文緒 (著) 【No.121】31歳、31通りの人生の“最優先事項”を切りとった、珠玉の短編小説集『ファースト・プライオリティー』 山本 文緒(著) 【No.139】日常に潜むささやかな「罪」を描いた10の短編小説集『ブラック・ティー 』 山本 文緒(著)
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