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こんにちは、ぽっぽです。
今日の一冊はこちら↓
『キッチン』吉本ばなな(著)
この作品は、吉本ばななさんのデビュー作にして、世界中で愛され続けている小説です。
『キッチン』に出逢ったのはもう何年も前ですが、初めて読んだときの、心が救われるような感覚は今でも忘れられません。
本の概要
この本は3つの物語に分かれていて、それぞれ話の中で「死」が根底にあるテーマとして描かれています。
「キッチン」
「私がこの世でいちばん好きな場所は台所だと思う。」
この一文から始まる物語の主人公は、桜井みかげ。幼い頃に両親を亡くし、祖母と二人で暮らしていたが、その唯一の家族である祖母も他界してしまう。
台所で眠る以外、無気力に日々が流れていたみかげの元に、生前祖母が行きつけだった花屋の青年・田辺雄一が訪れる。彼はみかげの大学の後輩でもあったが、特に親しい間柄ではなかった。
そんな彼が、突然みかげに「しばらくうちに来ませんか。」と言ったのだ。
そこからみかげと雄一、そして雄一の母親えり子との奇妙な同居生活が始まる。
絶望の底にいたみかげが、彼らとの不自然で優しい日常の中で少しずつ立ち直っていくまでが描かれています。
「満月-キッチン2-」
田辺家で過ごすみかげは、祖母の死と向き合い、自分の核となるもの(料理)を見つけた。
大学を辞め、田辺家を出て料理研究家のアシスタントとして働き始めたみかげに、雄一から悲しい知らせが届く。
立ち直りつつあったみかげに再び訪れた絶望。『キッチン』ではえり子とともに、みかげのそばにいてくれていた雄一だったが・・・。
『キッチン』の続きであるこの物語では、みかげと雄一の関係性にも少しずつ変化がでてきます。孤独な2人が悲しい現実を経て、ふたたび前を向くことができるのかーー。
「ムーンライト・シャドウ」
突然の事故で恋人・等を失ってしまった主人公のさつきと、兄と恋人・ゆみこを一度に失った等の弟・柊。
絶望の淵から逃れるため、さつきはジョギングを始め、柊はゆみこの形見であるセーラー服を着て過ごすようになる。
さつきの毎朝のジョギングのコースの折り返し地点は、等とよく待ち合わせをしていた川。
ある朝、さつきはその川で不思議な女性に声を掛けられる。彼女が教えてくれた、百年に一度の偶然が重なりあって起きる、「七夕現象」とは・・。
この物語は『キッチン』とは別の物語です。さつきと柊が、それぞれ大切な人を失った悲しみを抱えながらも必死に生きる姿が描かれています。
不思議な出来事を経て、2人は立ち直れるのでしょうか--。
本の感想
「死」をテーマとした作品は、ドラマチックで感動的なものが多いように思いますが、この作品はそういった小説とは全く違う印象を受けました。
「死」を特別なものとして感情的に捉えるのではなく、あくまで日常を通して「生きること、死ぬこと」を丁寧に描いている作品だなと思いました。
著者の吉本ばななさんは、深い内容を淡々と描くのが本当に上手だなと、読むたびに感じます。
吉本ばななさん特有の、独特の世界観・繊細で美しい表現・心にしみる名言が随所に散りばめられたこの作品は、これからもたくさんの人たちに読んでほしい一冊です。
心に残った言葉
「人生は本当にいっぺん絶望しないと、そこで本当に捨てらんないのは自分のどこなのかをわかんないと、本当に楽しいことがなにかわかんないうちに大っきくなっちゃうと思うの。」(えり子)
「本当にひとり立ちしたい人は、なにかを育てるといいのよ。子供とかさ、鉢植えとかね。そうすると、自分の限界がわかるのよ。そこからがはじまりなのよ。」(えり子)
「幸福とは、自分が実はひとりだということを、なるべく感じなくていい人生だ。」(みかげ)
「どうしても、自分がいつか死ぬということを感じ続けていたい。でないと生きている気がしない。だから、こんな人生になった。」(みかげ)
この本の総評
吉本ばななさんの他の作品
【No.45】~いろんな”さきちゃん”に訪れる、小さな奇跡の物語〜 『さきちゃんたちの夜』 よしもと ばなな(著) 【No.75】少女が大人になってゆく季節を描いた、儚く美しい物語〜『 TUGUMI 』吉本ばなな(著)
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