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こんにちは、ぽっぽです。
今日の一冊はこちら↓
『あひる』今村夏子(著)
この作品は、今村夏子さんが三島賞を受賞した『こちらあみ子』以降2作目の表題作であり、芥川賞の候補にもなっていました。
この本は人からの贈り物で、読む前はふわっとした内容を想像していたのですが、良い意味で裏切られました。
好みは分かれるかもしれませんが、個人的にはとても好きな世界観です。
本の概要
この本は3つの短編に分かれていて、それぞれ話の中で「鳥」がでてきます。
「あひる」
あひるの名前は「のりたま」。父が昔の同僚から託されたあひるが、我が家にやって来た。
娘の<わたし>は、2階の部屋で資格試験の勉強をしている。
静かだった家が、のりたまを見に来る子どもたちで賑やかになった。
父も母も孫ができたようだと嬉しそうである。
しかし、のりたまが体調を崩し病院へと連れて行かれると、子どもたちは来なくなり、家はまた寂しくなった。
2週間後、帰って来たのりたまは、以前より小さくなったように見えて・・・。
「おばあちゃんの家」
みのりのおばあちゃんは、みのりの家のそばにある”インキョ”に住んでいる。おばあちゃんは、家族の誰とも血が繋がっていない。
おばあちゃんは、みのりが教科書を音読したり、歌を歌ったりすると、にこにこ笑って音のない拍手をくれる。みのりはおばあちゃんが大好きだ。
しかし、最近おばあちゃんの様子がおかしい。弟は、おばあちゃんが一人でしゃべっていると言う。
それからもおばあちゃんの不可思議な行動は続き・・・。
「森の兄弟」
モリオは妹のモリコと一緒によく森へおやつを調達しに行く。
モリオはイタドリ、モリコは花の蜜が好きだ。
モリコは森で孔雀を見たという。
ある日、民家でびわの木を見つけた2人。木によじ登って実を落とし、夢中で食べていると、どこからか「ぼくちゃん」と呼ぶ声がして--。
「おばあちゃんの家」と「森の兄弟」は別の話ではありますが、繋がりがあります。
不可解な謎は最後まで読むことでスッキリするのか、それとも・・・?
本の感想
本を読み終えてまず思ったのは「作者はこの物語の先に何をみているのだろう」ということでした。
物語の内容自体は、とてもシンプルです。「あひる」が家にやって来た、ある家族の話。それだけです。
それなのに、心がざわざわする。背筋がぞわっとする。話の何気ない描写の中に違和感が散りばめられている作品だと思いました。
描かれているのは、あくまでも日常。ストーリーも淡々と進んでいく。
ただ、どこか引っかかる。直接的な表現がないからこそ、読む側はいろんなことを想像して、思考の先にあるものにぞっとする。
奇妙で不可思議な世界観に引き込まれる作品です。
印象に残った言葉
「でも、何も聞けなかった。父と母が緊張した様子で、わたしの次の言葉を待っているのがわかったからだ。」(あひる)
「みのりの首筋に鳥肌が立った。おばあちゃんは、おばあちゃんにしか見えない相手と会話している。その相手というのは、おばあちゃんにとって、きっと誰よりも、みのりよりも、大好きで大切な存在に違いない。」(おばあちゃんの家)
「モリオになんでもあげるといった。全部もっていってといってくれた。漫画一冊さえ買ってもらえないモリオに。ヨーグルト一個買ってもらえないモリオに。」(森の兄弟)
この本の総評
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