※当サイトはアフィリエイト広告を利用しています
こんにちは、ぽっぽです。
今日の一冊はこちら↓
『イノセント・デイズ』早見和真(著)
早見和真さんの小説を読むのは初めてで、この小説がドラマ化されていることも、読み終えた後で知りました。
「暗い」「絶望」「救い」・・・そんな言葉で片付けられないくらいの、言葉の先にある”何か”を、最後まで読んで感じました。
うまく伝えることができないけれど、とにかく読んでほしい。
本当に切実に、たくさんの人に手にとってほしい、読んでみて考えてほしい。
本の概要
元恋人の家に放火し、妻と双子の娘の命を奪った罪により、田中幸乃に下された判決は、死刑。
凶悪な犯行の背景には、一体何があったのか。
義理の姉、医者、幼なじみ、親友、元恋人の友人、刑務官・・・
彼女の半生に関わった人物たちの回想により、幼少期から事件に至るまでの彼女の背景に迫る。
事件の裏に隠された、あまりにも哀しい真実と彼女の意志とは・・・。
田中幸乃が死刑宣告をうけるところから、物語ははじまる。
章を追うごとに明かされる、彼女の過去と孤独の影。
語り手によって揺らぐ、真実と闇。
正義とは何か、真実はどこにあるのかーー
本の感想
悲惨な事件のニュースを見た時、私は本当に自分の頭で考えることをしていただろうか?
報道やネットでの断片的な情報や、根拠のない憶測、薄っぺらい正義感。
真実なんて、本人以外の誰にもわからない。だからこそ、目に入る情報だけを鵜呑みにし、それが真実であるかのように思い込む。
でも、本当にそれでいいのか?そういう社会が、哀しい事件を引き起こす要因のひとつではないのか?
改めてそう感じてしまう作品でした。
ここではネタバレを控えるために、詳しい感想は控えますが、
重たい内容にもかかわらず、ラストまでページをめくる手が止まりませんでした。
真相を知りたいという思いはもちろん、それ以上に「幸乃を信じたい」「幸乃を救いたい」という思いがどんどん強くなり、切実な願いに変わっていったからだと思います。
この小説を読んで感じることは人それぞれだと思いますが、たくさんの人が何かを考えるきっかけになるはずです。
印象に残った言葉
「犯罪者を「自分とは違う生き物」と断じられるのはどうしてか。たまたまいつか雨が降らなかったから、自分たちは平々凡々と生きてこられただけかもしれないのに。」
「彼女が死ぬために生きようとする姿を、この目に焼き付けなければならなかった。」
「もし本当に私を必要としてくれる人がいるんだとしたら、もうその人に見捨てられるのが恐いんです
・・・死ぬことよりずっと恐いことなんです」
「なんかいかにもだなってさ、私も間違いなくそう思ってたんだ。何も知らないくせに。自分勝手にきめつけて」
この本の総評
コメントを残す