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こんにちは、ぽっぽです。
今日の一冊はこちら↓
『針がとぶ』 吉田篤弘(著)
しばらく本棚であたためていた、吉田篤弘さんの小説。
読み終えてしまうのが寂しくて、夜寝る前に少しずつ読みました。
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本の概要(あらすじ)
「そこに、わたしの聴くことのできない音楽があった」
大好きな叔母が遺した、LPレコードのかすかな傷。
ホテルのクロークに残された、一着のコート。
遊園地の駐車場にやって来た黒猫と餡パン。
絵描きが訪れた<長袖半島>と、世界中の作家が集まる<半袖半島>。
響き合う、7つの幻想的な物語。
3つの特徴
7つの物語
- 「針がとぶ」
- 「金曜日の本」ー『クロークルームからの報告』より
- 「月と6月と観覧車」
- 「パスパルトゥ」
- 「少しだけ海の見えるところ 1990-1995」
- 「路地裏の小さな猿」
- 「最後から二番目の晩餐」
- <extra story>「水曜日の帽子」ークロークルームからのもうひとつの報告
さまざまな場所で紡がれる物語が、帽子やコート、電球、鳥、自転車、雑貨屋などのささやかなものたちで、互いに引き寄せあっていく。
それはとても違和感がなくて、まるで物語同士が呼び合うように自然と繋がっていきます。
個性豊かな登場人物たち
それぞれの物語に登場するのは、年齢も性別もバラバラな個性的な人たち。
「グッドバイ」が口癖の詩人の叔母と、カメラマンになった姪のユイ。
ホテルのクローク係と、「マスト・ビー」が口癖の本屋の店主。
遊園地のアルバイトのバリカンと、黒猫のコクテン。
「自転車修理人」兼「鳥博士」兼「雑貨屋店主」のパスパルトゥ。
最後から二番目の晩餐を繰り返す青年。etc…
彼らの共通点は「あるもの」や「続いていくもの」よりも、「ないもの」や「消えていってしまうもの」ばかりに想いを寄せてしまうところ。
LPレコードの針がとぶ瞬間、こと切れた電球、期限切れのポルトガル製フィルムに、掌に書かれた文字・・・。
静寂で柔らかな雰囲気の中に、ほんの少しのさみしさをまとっている物語たちです。
物語のなかの物語
本作では、作中作というような形で、童話やちょっとした物語が登場します。
『運命の女賭博師』『すべてを記録する男のはなし』『磁石を飲み込んでしまった路地裏の猿の話』『ルビーがたくさん採れる街のはなし』『常夜灯が好きになってしまった天使の話』・・・
どれも心惹かれるお話ばかりでしたが、私がいちばん好きなのは「最後から二番目の晩餐」に登場する『ルビーがたくさん採れる街のはなし』。
本物のルビーの指輪をつけた人々が「贋ルビー」の美しさに感嘆する様子が目に浮かんで、その不思議な世界観がなんだかとても印象に残っています。
文章、世界観、余白、装丁、挿絵、登場するすべての人やものーーー。
この作品に含まれるすべてが愛おしくて、いつまでも読んでいたくなるような小説でした。
最後に、本屋の店主の言葉を失敬して、本の総評を。
本の感想
それぞれに舞台や登場人物の違う独立した物語でありながら、かすかに繋がり合って、最後には一枚の絵になるような。そんな不思議な物語です。
長編ともとれるし、短編ともとれる。しいて分類するなら連作短編だと思いますが、なんとも絶妙なまとまり方をしています。
あるささやかな点で物語同士が響き合う瞬間には、おもわず心の中で感嘆のため息をついてしまいました。
7つの物語のリンクは、うっかりするとそれと気づかないくらいに自然で。
緻密な計算がなければ完成し得ないはずなのに、そこに著者の意図が全く透けて見えないところにも感動しました。
彼方此方に散らばっている小さなカケラは他作品ともリンクしているので、ぜひいろんな作品を読んでその繋がりを見つけてみてくださいね。
せつなくて、やさしくて、読み終えた後にはどこかなつかしさを感じる、あたかかい余韻が続く物語でした。
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印象に残った言葉(名言)
「去る者、日々に疎し」
「あんたって、変な娘。私はいつだって私から逃げ出したいのに」
「初めて眼鏡をかけたときのことを私は忘れない。すべてが明瞭になった瞬間、同時に絶望的な違和感を覚えた」
「あのね、物知りなんて結局は何の役にも立たないの」
「たぶんこの世は運命さえ手なずけてしまえば、あとはどうにでもなる。手なずけられればの話」
「もっと世界を見よ。海を見よ。鳥を見よ。自転車がある。行くべし、ブンシオ」
「正確な名前で呼び合うより、勝手な名前で呼び合うときの方が、人と人は親密になっているものだ」
「でも、人は垂直の生きものだから」
「すべてを、望んでは、ならない」
「そういえば、さみしいというのは、どうしていいかわからないことであった」
「本当に素晴らしいところは、どんな地図にも載っていない」
「君はもう俺の物語など書く必要はない。もう俺は哀しくなんかない」
この本の総評
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