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こんにちは、ぽっぽです。
今日の一冊はこちら↓
『祝祭と予感』恩田陸(著)
映画化もされた大人気小説『蜜蜂と遠雷』のスピンオフ作品。
本編を読んだ方はぜひこちらも読んでみてください。
全6編の物語はもちろん、おまけのエッセイ集も必読です!
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本の概要(あらすじ)
「生きていく。この世界で」
亜夜とマサル(となぜか塵)がコンクールのツアー中に恩師の墓参りに行く「祝祭と掃苔」。
塵とホフマン先生の奇跡のような出会いを描いた「伝説と予感」。
他全6編の物語を収録した『蜜蜂と遠雷』のスピンオフ作品。
巻末には特別おまけのエッセイ集「響きと灯り」を収録。
3つの特徴
『蜜蜂と遠雷』
本書はスピンオフ作品なので『蜜蜂と遠雷』を読んでいることが必須です。
読みやすそうなのでまずはこちらから……と手を伸ばしたくなるかもしれませんが、必ず先に『蜜蜂と遠雷』を読んでくださいね。
あっ、でもこちらは映画公開に合わせて出版されたんですよね。たしか。
私は映画を観ていないのでどこまで原作を反映しているのかはわかりませんが、いずれにしても原作or映画で内容を知っていることが前提になるかと思います。
いきなり本書から読んでしまったという方は、ぜひ次は『蜜蜂と遠雷』をどうぞ。
『蜜蜂と遠雷』の感想は別途記事にしてあるのでこちらも合わせて読んでみてください。
詳細はこちらをクリック
【No.30】12年もの時を経て完成した至極の一冊『蜜蜂と遠雷』恩田陸(著)前作を読んでからブランクがある方は再読してから読むか、ざっと登場人物だけでも復習してから読むといいかもしれません。
私は前作から一年以上経ってはいたものの、かなり印象に残っている作品だったので「これ誰だっけ?」とはなりませんでしたが笑。
こちらを読んでからまた前作を再読してもより面白く感じるかもしれませんね。
6つのスピンオフ
本書はメインの登場人物をはじめ、前作では脇役だった人たちの物語も描かれています。
塵・亜夜・マサル・明石の四人を中心としたスピンオフだと思っていたので意外でした。
ちなみに今回明石は登場しません。ちょっと残念。
「祝祭と掃苔(そうたい)」
コンサートの入賞ツアー中に亜夜とマサルとなぜか塵が、恩師である綿貫先生のお墓参りをする後日譚。前作のエピローグ的物語。
「獅子と芍薬」
マサルの師匠であるナサニエル・シルヴァーバーグと元妻である嵯峨三枝子の馴れ初めの物語。
「袈裟と鞦韆(ぶらんこ)」
作曲家・菱沼忠明がコンクールの課題曲「春と修羅」を作曲するに至った背景を描いた物語。
「竪琴と葦笛(あしぶえ)」
マサルとナサニエル・シルヴァーバーグの出会いと師弟関係に至るまでの経緯を描いた物語。
「鈴蘭と階段」
亜夜の友人である奏がヴィオラとの運命的な出会いを果たす瞬間を描いた物語。
「伝説と予感」
風間塵と巨匠ユウジ・フォン=ホフマンとの出会いの瞬間を描いた物語。
時系列・主人公ともにバラバラな6つの物語ですが、どれも短いながらも味わいのあるスピンオフでした。
多くの人が興味を惹かれるのは塵とホフマン先生の出会いの物語「伝説と予感」だと思いますが、それ以外の物語もどれも面白くて。
前作で気になっていたナサニエルと三枝子の関係性や、亜夜の入賞をきっかけにヴィオラに転向した奏のその後も知ることができました。
もっと知りたいというところで終わってしまうので、一つ読み終えるごとに名残惜しくて。
おまけエッセイ「響きと灯り」
文庫化にあたり、特別おまけとして巻末に収録されたのが著者のエッセイ集。
文章は横書きで最終ページから読む形式になっています。
タイトルはフォークナーの『響きと怒り』をもじって『響きと灯り』。
『蜜蜂と遠雷」を執筆したことで、音楽関係のエッセイを書く機会が増えたのだそうです。
内容は「音楽」に関するあれこれなのですが、著者自身の音楽体験を振り返る内容が多い印象でした。
私は音楽の知識がないので理解し難い部分もありましたが、それでも著者と音楽の軌跡を垣間見られた気がして楽しかったです。
そして何より興味深かったのが『蜜蜂と遠雷』の裏話について。
この作品を書こうと思ったきっかけや、プログラム作りに苦戦したこと。
誰に何を弾かせるかも相当悩まれたようで、<プログラムを作る→音源を聴く>という地道な作業をひたすら繰り返したそうです。
どれだけの労力と時間を費やして完成にまでたどり着いたのか、想像するだけで恐ろしくなりました。
あの壮大な物語の裏にある苦労を知ってからまた読み返してみると、さらに感慨深そうですよね。
本編を読んだ方はぜひ巻末のエッセイ集も忘れずに読んでくださいね!
本の感想
『蜜蜂と遠雷』の圧巻のボリュームとは真逆の、とても短いスピンオフ集。
前作は永遠とも思えるような読後の余韻が続きましたが、本書はどこか名残惜しくスッと消えていく感じでした。
どの物語も「もっと読ませて!!」と思うくらい儚いので、良い意味で「物足りない」作品。
6つのスピンオフの中で一番印象に残っているのは「袈裟と鞦韆」。
奏者ではなく“作曲家”の視点で描かれた唯一の物語です。
他の物語と比べると暗くて切ない雰囲気なのですが、あの課題曲の裏にはこんなエピソードがあったのかと不覚にも泣きそうになってしまいました。
今回は明石が出ないので残念だと書きましたが、このスピンオフはどこか彼に繋がる部分があって。
ホップ農家をしながら曲を作り続けた健次の姿は、生活者の音楽を掲げてコンクールに挑戦した明石の姿と重なって見えました。
そう考えると、彼が本編で菱沼賞を受賞した理由もすごく腑に落ちるというか。
実際には登場しませんが、あの曲を弾く彼の姿が脳裏に浮かぶとても素敵なスピンオフだと思いました。
ずっと気になっていた塵とホフマン先生の出会いを描いた「伝説と予感」ももちろん素敵でしたが、こちらはまだまだ知りたいことがありすぎて。
登場人物たちの背景やその後をさらに深掘りした続編もいつか描いて欲しい……!
と思っている方も多いと思いますが、続編については「彼らについて書くべき話は『祝祭と予感』で完結している」とあとがきに書かれていました。
少し寂しい気もしますが、彼らがこれからも生み出し続けるであろう音楽については、読者自身で想像していけばいいのかもしれませんね。
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この本の総評
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