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こんにちは、ぽっぽです。
今日の一冊はこちら↓
『もういちど生まれる』朝井リョウ(著)
葛藤や焦りを抱えながらも一歩踏み出す大学生たちを描いた、爽やかな青春小説。
彼らが抱える様々な苦悩に、同世代の若者は共感できる部分が沢山あると思います。
「あれから何年経つのだろう…」と遠い目をしている大人も、読めばきっと懐かしくなるはず。
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本の概要(あらすじ)
「この世界に生まれ落ちたみたいだったよ」
彼氏がいるのに、別の人からキスをされてしまった汐梨。
好きな女の子になかなか振り向いてもらえない翔太。
再婚を考える母親に複雑な感情を抱える新。
美人で華やかな大学生活を送る姉に嫉妬する双子の妹・梢。
”すごくない”自分の限界を感じながらもがくダンサーの遥。
5人の主人公がおくる、心に突き刺さる連作短編小説。
3つの特徴
5つの物語
本作は登場人物たちがゆるく繋がっていく連作短編小説。
内容はそれそれ違うものの、どこかしらで別の物語とのリンクがあるので、全体としてまとまりのある一冊です。
- 「ひーちゃんは線香花火」
- 「燃えるスカートのあの子」
- 「僕は魔法が使えない」
- 「もういちど生まれる」
- 「破りたかったもののすべて」
大学生、予備校生、美大生、ダンサー。
20歳前後の主人公たちが、それぞれの日常の中で一歩踏み出す瞬間までを描いた物語たち。
多方面から登場人物たちの繋がりを見ることができるので、人物相関図を作りながら読んでも面白いかもしれません。
子どもでも大人でもない
子どもでもなく、大人でもない。その境界線に立つ大学生。
「何かになりたいのに、何にもなれない」劣等感やジレンマは、大人へと移り変わっていくこの時期だからこその悩みですよね。
本作は自由を謳歌する大学生の華やかな部分ではなく、「負の感情」に焦点を当てています。
抱えているものはそれぞれ違いますが、己の「アイデンティティ」をめぐりもがき続ける主人公たち。
特別な事情や出来事はありませんが、だからこそ共感を得やすい内容だと思います。
若者たちは今の自分を彼らに自己投影してしまうかもしれませんし、大人たちは「私にもこんな時期があったなぁ」と懐かしくなるかもしれません。
何かを持っている人、いない人
本作に登場する学生たちを大雑把に分けるならば、「何かを持っている(と思っている)人たちと、何も持っていない(と思っている)人たち」。
自分には何もないと思っている人たちは、将来の夢にむかって突き進んでいる人や、華やかな毎日をおくっている人に憧れている反面、嫉妬や劣等感を感じていて。
けれど何かを持っている人たちもまた、それぞれの場所で埋もれてしまったり、自信を失ってしまっていたり。
嫉妬や憧れの対象である彼らもまた、苦悩を抱えてもがいている姿が描かれています。
大学はいろんな人がいるので自分を見失いがちな時期でもありますが、つまることろ本作に登場するこの言葉が、大学という場所を的確に表しているなと思いました。
「大学って、そういうところだ。無責任を背負って、自由を装っている。未来どころか、三歩先のことだって、本当は誰にも見えていないんだ」
本の感想
「青春小説」はなんとなく物怖じしてしまうジャンルですが、本作は抵抗なくスルスルと読んでしまいました。
<恋愛>を主軸に置いているのかなと思いきや、実は全編通して描かれているのは個々の<アイデンティティ>をめぐる悩みや葛藤。
大学生ならではの不安や劣等感などの負の感情が繊細に綴られています。
ストーリー自体はインパクトのあるものではありませんが、だからこそスルスルと読みやすくて、重たくなりすぎず。
かといって平坦すぎるわけではなく、時折ハッとなる言葉なんかも紛れていました。
彼らと同じようにもがき続ける若者はもちろん、
「そういえばあの頃、こんなことを思っていたなぁ…」と懐かしさに浸りたい大人にもおすすめの一冊です。
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印象に残った言葉(名言)
「男が言うたいしたことじゃないって、女にとっては、たいしたことなのよね」
「人に見下されて生きていくのって、誰かを見下して生きていくよりも、たぶん楽なんだ。たぶんね」
「気分を盛り上げるためにお酒を飲むようになったのは、いつからだったろう。初対面の人と気兼ねなく話すための架け橋がお酒になってしまったのは、いつからだったろう」
「自分は何か持っているって思う人と、自分には何もないって思う人と、どちらが上手に生きていけるのだろう」
「楽しすぎる瞬間は、真っただ中にいるとなぜだか泣きたい気持ちになる。両手では抱えきれないこの幸福は、早くすぎてしまって思い出になってほしいと思う」
「この世界の本当の美しさや汚さは、どんなに上手に絵の具を混ぜ合わせたって表現できないと思う。どんな場所にもさまざまな出来事が染み込んでいて、この世界に存在するということの重みは、どうしたって描ききれない」
「みんながわかる面白いものっていうのが一番むずかしいよな。誰にもわからないものなんて、誰にだって創れる」
「こうやってひとは死ぬんだと思った。残された者の両手にありあまるほどの「そのひと」を残したまま、そのひとはもう二度とひっくり返されることのない砂時計になる。やがて記憶はどんどんこぼれていく。両手に何もなくなっても、もうそのままだ」
「海を分母に、空を分子にしたら、1を超えるのだろうか」
「私は「普通に話せる」と言う感覚はとても難しいと思う。笑わせようとか、盛り上げようとか、沈黙が気まずいとか、そういうことを一切気にしなくていいような、心拍数の変動が全くないような「普通」の会話ができる相手って、きっと、すごく貴重だ」
「うらやましいから、だいきらい。人間って単純で複雑だ」
「あのころ私たちは、他の人と違うことを「すごい」と思っていた。嫌になるような日常のくり返しの中で、非日常を見せてくれる人間のことを、「すごい」と思っていた。勉強ができたり料理がうまかったり、同じことの繰り返しの日々の中に楽しさを見出せたり、日常に根ざしている才能を「すごい」と感じられるのは、もっともっとあとのことなんだ」
「自分の目で見て、初めてわかることって、あると思うよ」
この本の総評
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