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【No.152】2022年映画公開予定!芥川賞作家の衝撃のデビュー作『こちらあみ子』 今村夏子(著)

こんにちは、ぽっぽです。

今日の一冊はこちら↓

『こちらあみ子』今村夏子(著)

第26回太宰治賞・第24回三島由紀夫賞 W受賞作品。

芥川賞作家である今村夏子さんの衝撃のデビュー作です。

映画『花束みたいな恋をした』で話題にもなっていた作品

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本の概要(あらすじ)

「応答せよ。応答せよ。こちらあみ子」

 

純粋で一途で、少し風変わりな少女・あみ子。

 

父と兄、書道教室の先生である母と、お腹の中の赤ちゃんの四人家族だ。

 

あみ子は同級生ののり君に、小学生の頃からずっと片想いをしている。

 

純粋無垢で、真っ直ぐで、一途なあみ子。

 

しかし、そんなあみ子の言動は、次第に周囲の人々を変えてゆきーー。

3つの特徴

純粋無垢な世界観

主人公の少女・あみ子を一言で説明するなら、<純粋無垢で一途な女の子>でしょうか。

そう言うと聞こえは良いですが、実際のあみ子はかなり強烈。

「ありえない」「理解できない」

こんな言葉で表現したくなるような女の子です。

だって、考えられますか?

長い間ずっと片想いしている男の子の苗字も知らないだなんて。

その好きな男の子に殴られて、前歯を三本も失くしただなんて。

それでもまだその子を好きだなんて。

他にもまだまだ、あみ子はありえない言動のオンパレード。

当然あみ子の世界は他者から受け入れられることはなく、爪弾きにされてしまいます。

学校ではいじめられ、家族からは見放され。

けれどあみ子はそれすら気づく様子もなく、純粋で一途なまま。

あみ子の純粋無垢さがより周囲の残酷さに拍車をかけているようで、終始心がザワつきました。

どこか奇妙な雰囲気が漂う作品です。

3つの物語

今作は表題作の『こちらあみ子』の他に、2つの短編小説『ピクニック』『チズさん』が収録されています。

あみ子の物語にも衝撃を受けましたが、さらに凄いなと思ったのは『ピクニック』。

文章自体は淡々としていてどこか温かさすら感じられるのに、物語は違和感を抱えたまま、残念な方向へと進んでいきます。

「善意」という仮面に隠されていたものが透けて見えた瞬間にゾッとさせられ、怖いなと感じました。

幸福の象徴として描かれている「お母さん」との対比も、なんだか切なかったです。

実はこの『ピクニック』、最近公開された映画『花束みたいな恋をした』にも登場しているそうです。

なんでも、有村架純さん&菅田将暉さん演じるカップルを繋ぐ、重要な作品なんだとか。

映画から小説を知って、この本を手に取られた方もいるようですね。

私は映画の方は全く興味がなかったのですが(恋愛ものは苦手で)、今村夏子さんの世界観が映画の中でどう語られるのか興味が湧いたので、いつか観てみようかなと思います。

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映画化決定

最近『星の子』が芦田愛菜さん主演で映画化されたばかりですが、なんと『こちらあみ子』も2022年に映画公開されることが決定しています。

今年の7月には広島県での撮影が行われたようですね。

両親役は井浦新さん尾野真千子さん

監督は『星の子』で助監督を務めていた、森井勇佑監督です。

(本作が監督デビュー作品らしいです!)

主人公のあみ子をはじめとする子どもたちの役は、演技経験の有無を問わずにオーディションで決定した模様。

よりリアルな作品になるのではないかと期待が高まりますね。

この奇妙で残酷でどこか滑稽な世界観が、映画でどう表現されるのでしょうか。

映画には原作にはないオリジナルシーンもあるようです。

映画化にあたっては”クラウドファンディング”も実施されたみたいだね!

本の感想

読み終えた瞬間に「まいったなぁ・・・」と頭を抱えてしまいました。

 

正直、言葉にして表現するのが難しいと感じた作品です。

 

かなりはっきりと好みが分かれる内容だと思いました。

 

「あみ子」というひとりの少女をどう見るのか、心のざらつきをどう受け取るのかで印象が180度変わりそうな作品。

 

今村さんの作品は『あひる』『星の子』を読みましたが、これがデビュー作というのはなかなか衝撃的です(笑)

 

“純粋無垢”というものが、まさかこういった視点で描かれるとは。

 

あみ子の純粋さが周囲を黒く染め上げていく、なんとも言えない残酷さに息苦しくなりました。

 

「救いがない」と感じた人もいるようですが、私は今作で唯一の救いだと思ったのがクラスメイトの<坊主頭の少年>。

 

『星の子』でも同様に、さりげなく登場する同級生の男の子の存在が印象的でした。

 

今村さんの作品で主人公を救ってくれるのは家族でも友人でもなく、ちょっと不器用だけれど優しい少年たちなんですよね。

 

後半で描かれるあみ子と少年の会話がとても味わい深かったです。

 

 

今作はこれまでの作品以上に強烈に印象に残っていて、今でも時々「あみ子」が私の頭をよぎる瞬間があります。

 

(『ピクニック』も頭にこびりついてしまっています)

 

しばらく読みたくないなと思う反面、たまに無性に読み返したくなるときがあって。

 

また一歩、今村奈津子さんの沼に足を踏み入れてしまったなと思いました。

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この本の総評

読みやすさ
(5.0)
文章
(4.0)
個性
(5.0)
読後感
(3.0)
総合評価
(4.0)

 

今村夏子さんの作品

【No.2】~ほんわか小説と思いきや、実は・・・!?~ 『あひる』 今村夏子(著) 【No.102】宗教にのめり込む家族の愛と崩壊を描いた物語『星の子』 今村 夏子(著)

 

 

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