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【No.103】〜「食」と「旅」と「大人の恋」と。“特別じゃない私たちの、特別な日常”を描いた物語〜 『わたしたちは銀のフォークと薬を手にして』 島本 理生(著)

こんにちは、ぽっぽです。

今日の一冊はこちら↓

『わたしたちは銀のフォークと薬を手にして』 島本 理生(著)

島本さんの作品は「恋愛小説」のイメージが強いので、全て読んでいるわけではありませんが、『リトル・バイ・リトル』『ナラタージュ』はとても好きです。

今回の作品をひと言で表すなら大人の恋愛小説】

特に三十代の女性におすすめの一冊です。

恋愛をしている人もしていない人も。結婚をしている人もしていない人も。共感できる部分がたくさんあると思います。

難しい問題を内包している物語ですが、雰囲気は穏やかで温かさもあり、読後感がとても良いです。

「食」「旅」もテーマになっているので、夏休みのこの時期にもぴったり。

蟹、生しらす、石垣牛・・・美味しそうな食べ物がたくさん登場します!

本の概要(あらすじ)

「三十歳の私は、その日、夕方の春の海辺で、どこへ行けるか分からない恋を始めた」

 

ワーカホリック気味のOL、知世、三十歳。

 

最近の楽しみは、半年前に仕事で出会った年上のWEBエンジニア・椎名さんとの月二回のデート。

 

蟹鍋と日本酒、江ノ島の生しらすと鎌倉ビール、雨の日の焼き鳥とレモンサワー・・・

 

美味しいものを、一緒に食べられる心地よい関係。

 

その気持ちが恋に変わり始めた頃、椎名さんからある重大な秘密を打ち明けられる。

 

行方のわからない“大人の恋”がむかう先はーー?

3つの特徴

食と旅

恋愛小説でありながらも、まず触れたくなるのは「食」と「旅」。

大阪で食べるホルモン、SL列車と山女魚の塩焼き、石垣島の海ぶどうと石垣牛・・・

四季折々の食べ物や、旅先での名物料理、それとおいしいお酒。

私にとって、他人と食事をすることや旅をすることは、なかなかハードルの高い行為です。

表面上は楽しく振る舞うことができても、気を使いすぎて帰り際にはヘトヘトになっている、なんてこともよくあります。

だからこそ私にとって、気負わずに安心して食事や旅を楽しめる相手というのは本当に大事。

知世が椎名さんと焼き鳥を食べながら思ったこの台詞が、とても印象に残っています。

「もしかしたら一緒に焼き鳥が食べられるって、一緒に生きていけるくらい大きなことなのかもしれない」

たくさんの食と旅を通して、お互いのことを知っていく知世と椎名さん。

その過程が、おいしい食事と旅の風景とともに、丁寧に描かれています。

大人の恋愛

三十代の女性のリアルがつまっている物語。

登場人物それぞれが抱える悩みや葛藤、焦りや不安などは、決して他人事とは思えないリアルさがあります。

女性は特に、仕事や結婚や出産など、人生においていろんなことに「年齢」がつきまといます。

自分で意識していなくても、周囲から変に気を遣われたり、詮索されたり、口を出されたり。

そういうことがこれからどんどん増えていくのかと思うと、ちょっとげんなりしてしまいます。

「三十代って中途半端だなあ、て思う。上にも下にも挟まれて、結婚や子供の話題が無関係にも冗談にもならないから、変に気を遣われて。そのわりに比較され要因っていうか」

同年代の女性が思わず共感してしまうような台詞も満載です。

軸になるのは知世の物語ですが、友人の茉奈や飯田ちゃん、妹の知夏目線で語られる物語もあります。

彼女たちそれぞれの物語にも、共感できる部分がたくさんあります。

現実的なんだけれど、決して悲観的ではないので、こういったリアルな部分も抵抗感なく読むことができました。

「私たちは女性として生まれ、否応なしに女性として扱われる。それはひどくわずらわしくもあるけれど、やっぱりそんなに悪くもない」

「当たり前」という価値観

恋愛、結婚、幸せ、人生。

「自分ならどうするか、自分はどうしたいのか」を改めて考えさせてくれる物語です。

難しい問題を抱える知世と椎名さんの関係には、いくつかの選択肢がありました。

知世の選択は、他の人なら選ばなかったかもしれない道。

知世の家族のように、反対する人も少なくはないでしょう。

けれど私はそんな二人をみて、人は「当たり前」に縛られることなく、自分の人生を選択していけるのだということに気づかされました。

ひとりひとり違う人間で、だからこそいろんな生き方や選択肢があるのは自然なこと。

恋愛だって、結婚だって、家族との関わり方だって。

「当たり前」という価値観に縛られることなく、自分の頭で考えて選びとっていきたいね。

本の感想

おいしいご飯が食べたい、おいしいお酒がのみたい、旅をしたい。

 

ひとりでもいいけれど、できれば「おいしいね、楽しいね」と笑いあえる誰かと一緒に。

 

そんなことをしみじみと感じた小説でした。

 

椎名さんの抱える秘密はとても重たく、けれど大きな括りでみれば誰にだって起こり得ること。

 

だからこそ、もし自分が知世の立場だったら、あるいは椎名さんの立場だったらと、立ち止まって考えずにはいられない場面もありました。

 

リアルな心理描写も多く、共感したり嫉妬したり、胸を痛めたりしながら読みましたが、読後感は軽やか。

 

美味しい食事や旅の風景も丁寧に描かれていて、他とはひと味違う、大人の恋愛小説です。

 

たくさんの食と旅を通して関係を築いていく、椎名さんと知世の空気感はとても心地よくて。

 

ふたりは見ていて羨ましくなってしまうくらい、本当に素敵な組み合わせでした。

 

とりあえず、焼き鳥を食べながらレモンサワーを飲みたい。

 

印象に残った言葉(名言)

「この人にもっとそばにいてほしい。そんなことを思って積極的に恋愛を始めるには、三十歳という年齢はいささか現実を中途半端に知りすぎている」

 

「大人になるって、この人を好きになるとは思わなかったっていう恋愛が始まることかもしれない」

 

「私の定時上がりのイメージって、合コンよりも先にお通夜なの?」

 

「咀嚼しながら、ふと思う。この世は焼き鳥とレモンサワーを一緒に楽しめる相手とできない相手に分かれることに」

 

「どうして人生には、結婚以外の正解が用意されていないのだろう」

 

「私が男に車が好きって言うと、助手席専門でしょ、とか当たり前に返してくるの腹立つからマニュアル免許にした」

 

「たくさんのよけいなことを考えて、いくつもの現実をこなさなければならない。私たちは、そういう生き物だ」

 

「健康だから。病気じゃないから。それだけで人は人の体をびっくりするほど粗雑に扱う」

 

「薄々分かっていた。年収じゃない。顔でもない。いや、外見はちょっと大事だけれど、それよりも必要なもの。それはなに一つ特別じゃないわたしと向き合ってくれる、感心と愛情」

 

「若いイケメンは毎年量産されてくるけど、ロマンスグレーの紳士は希少価値が高い」

 

「親だって別々の人間なのに、期待にはすべて応えなきゃいけないとか、思い通りにならなきゃいけないとか、今まで思ってたのって呪いだった」

 

「どこへもいける孤独だってあるだろう。だけど、どこへも行けない孤独だってあるんだ」

 

「一人だって生きられる。だけど二人が出会ったことで、お互いやまわりまで変えるほどの夜がどこまでも広がって打ち寄せていくのだ」

島本理生さんの他の作品

❇︎【第159回直木賞受賞作品】少女はなぜ、父親を殺害したのか?

【No.51】~父親を殺害した少女の抱える秘密に迫る物語〜 『ファーストラヴ』 島本 理生(著)

この本の総評

読みやすさ
(5.0)
雰囲気
(4.0)
恋愛
(4.0)
(4.0)
総合評価
(4.0)

 

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