※当サイトはアフィリエイト広告を利用しています
こんにちは、ぽっぽです。
今日の一冊はこちら↓
『破天荒フェニックス』 田中修治(著)
メガネチェーンOWNDAYの社長自らが執筆した、倒産寸前企業からの再生の物語。
今や年商180億円・12か国300店舗を展開するOWNDAYS。
今後さらにブランドを広めていくために、という目的で今回執筆にあたったみたいです。
堀江貴文さんをはじめたくさんの著名人からも絶賛され、テレビドラマ化もされている話題の作品です。
本の概要(あらすじ)
「メガネ業界で、世界一を目指す!」
田中修治30歳、倒産寸前のオンデーズを買収し、新社長に就任する。
仲間を引き連れて再生を目指す田中社長だったが、
就任からわずか3ヶ月で突きつけられた現実が、銀行からの「死刑宣告」。
その後も待ち受けるのは、資金ショート、銀行や融資先からの裏切り、予期せぬ震災・・・
さまざまな困難に立ち向かう、破綻寸前企業からの怒涛の快進撃の物語!
3つの特徴
読者の度肝を抜く破天荒っぷり
物語の序盤から、田中社長の破天荒っぷりに度肝を抜かされます。
売上:20億円
負債:14億円(毎月返済1億円)
営業赤字:月2000万円
オンデーズの買収時の財務状況です。
会計の知識がない人でも、この企業がどれだけ危ないかがわかると思います。
100人中100人が”絶対に倒産する”と断言するほどの会社を、なぜ田中社長は買収したのか?
どうやってこの会社を再生していくのか?
破天荒な社長に振り回されながらも、全力で奔走する社員たちにも注目です。
最初から最後までハラハラの連続
窮地に直面し、なんとか乗り越えたと思ったら、また新たな窮地に立たされて・・・
最後までこの繰り返しで、全然安心してみていられませんでした。
企業の管理部門で働く人や、会計の知識がある人は、特に緊迫感を感じてハラハラし続けることになると思います。
私自身、何度も直面する資金ショート(しかも3億円!)の場面では、絶望しました。。。
本当にこれだけのことを乗り越えてきたのかと思うと、ぞっとするほどです。
この本を読むと、ただのサクセスストーリーではないことがわかると思います。
印象に残ったひとつのエピソード
印象的なエピソードはたくさんありましたが、その中のひとつを紹介します。
2011年3月11日 東日本大震災のときの出来事
大企業が被災地に義援金を寄付する中、それでも自分たちにできることを考えていた。
そこで思いついたのが、「避難所の出張メガネ屋」。
機材や商品をワゴン車に積んで避難所を回り、メガネを失くして困っている人に、無料でメガネを作って配布するのだ。
そこで彼らが出会ったのが、ひとりのお婆ちゃん。
お婆ちゃんは、メガネのお礼にと差し入れを持ってきて、嬉しそうにこう話しました。
津波から逃れて避難所にたどり着いたが、家族と離れ離れになり、無事でいるのか不安な日々をおくっていた。
避難所では毎日、生存者や身元確認の取れたご遺体の名前が掲示板に貼り出される。
けれど、逃げる途中でメガネを失くしてしまって、家族の名前を確認することができなかった。
そんなとき、オンデーズが来てメガネを作ってくれたから、そこでやっと、家族全員の生存を確認することができた。
あなたたちのおかげで家族に会うことができる。来てくれて本当にありがとう。
そう言って涙をこぼしながら、何度も何度もありがとうとお婆ちゃんは言います。
そんなお婆ちゃんの話を聞いて、田中社長は改めて気づかされたのです。
「オンデーズがお客様に本当に売らなければいけないのは、安いメガネでもお洒落なメガネでもなく、「メガネをかけて見えるようになった素晴らしい世界」だったのだ」
オンデーズは今でも「OWNDAYS Eye Camp」というプロジェクトを立ち上げ、収益の一部を貧困地域や被災地でのメガネの無料配布にあてているそうです。
本の感想
小説なのか、ビジネス書なのか、よくわからずに読み始めましたが、読み応えのある一冊でした。ちょっと長いですけどね。
作家さんが書いた小説というわけではないので、文章力は少し物足りない気がしました。
実話をもとにして書いたフィクションみたいなので、全部が本当にあったことではないのでしょうけど、それを差し引いてもドラマチックな内容でした。
経営の素人からみてもわかる田中さんのすごさは、「いざというときに腹をくくれる覚悟」「チャンスを掴み取る勇気」「人を大切にする信念」。
窮地に立たされても、会社のために奔走してくれる社員、手を差し伸べてくれる人たち。
人をないがしろにしないからこそ、人に恵まれているのだなと思いました。
経営者はもちろん、人を動かす立場にある人や、仕事に行き詰まっている人など、たくさんの働く大人たちの参考になる一冊です。
印象に残った言葉(名言)
「俺みたいに、会社も小さくて資金も信用もない若い経営者が、大きなチャンスを掴むためには、皆んなが嫌がるような案件、ちょうどこのオンデーズみたいな、燃え盛る炎の中に自ら選んで手を突っ込んでいくようなことでもしないと、なかなか難しいでしょう?」
「愚痴や文句がこれだけ沢山出てくるっていうことは、ポジティブに捉えれば、少なくともまだ「オンデーズで働いていたい。だから良い方向に変わってほしい」という願いの裏返しだと思うんだよね」
「「企業買収」という一見華やかな物語の裏表紙には、決算書や報告書には表れてこない、複雑な人々の欲や感情、利権が、べっとりと血糊のようにこびり付いている」
「企業は「人」そのものなのだ。優秀な人を惹きつけることができなければ、企業は絶対に経営者の能力以上には成長しない」
「責任ある仕事ってのは、やれそうな人に任せるより、やりたい人に任せるのが一番大事だ」
この本の総評
[…] […]